奈良古代紀行 2

ってことで、奈良旅行二日目。
お暇と心の余裕がおありの方は、続きをどうぞー。






二日目は朝七時くらいにスタート。
相変わらず早めに起きる沖田番と、ぎりぎりまで寝る私。


「……起きなせェよ」
「……(布団被る)」
「起きなせェって云ってんでしょうが」
「……(深く潜りこむ)」
「起きろってんですよ!! (布団剥ぐ)」
「ギャー!! (載られた)」


と云う……通常運転ですね、どっちも。
朝食はロビー階のレストランで。バイキングスタイル。
和洋そろっていてうまうま。
去年の京都は、食べ過ぎて大変だったので、今回は控えめに。まぁ、それでもひたすら歩くから、そこまで太らんだろうとは思うのですが。



部屋に戻ってちょっとまったりして、9時くらいになったので、そろそろスタート。
今日は、とにかく奈良公園近辺を。
三条通をたらっと歩き、まずは興福寺
三条通から興福寺の境内に行く途中のところに、高札がいろいろ集められてるところがある。見ると、どうやら本物は一番上の古びたのだけで、後は写しとか、それらしく書かれた最近のっぽい(字が違うので……)。
沖田番と読もうとしてみる、が、一番上のは下の方が他の高札で隠れていて、全文が読めぬ……
が、まぁ何というか、マナー広告とかそう云うのに近い感じでした。いつでも人間変わらんのね……
でもって、もうちょい先の階段を上がり、まずは南円堂。
当然厨子は開扉されておりません。が、お堂自体は開いてたのでお参り。不動堂(確か)と一言神社にもお参りし、金堂へ。
と、いつもは¥500-くらい取ってるのに、節分だからと云うことで、無料で金堂拝観できました! 節分いいよね! こないだの醍醐寺も同じだったし! (上醍醐は違います) 人も少なくてホテルも安いし、ホントお勧めです、節分の奈良・京都。
あちこちに立ってる看板を見てると、今日の夕方18:30〜、ここで節分会と云うか追儺式と云うか、鬼追い式があるそうだ。ほほう。
春日大社の万燈会にも行きたいし、じゃあ夜はここからスタートだな! と云いつつ、次は奈良公園と云うか東大寺



鹿に襲われたことのある沖田番、ぴったりくっついて歩きます。


「アンタとくっついて歩いてると、鹿が寄ってこねェんでさァ」


って、鹿除けオーラでも放ってんのか私!
が、実際、南大門を通るあたりで沖田番が写真を撮るために立ち止まった(私はたらたら先に歩いてた)ら、後ろから鹿に体当たりされたのだそうで……まァな、カラスに頭の上に乗られたヤツだもんな……
ぶうぶう文句を云われつつ、東大寺の伽藍の中へ。
ここは流石に5年ぶりくらいなので、そう変わった感じはしないよな。
沖田番がお一人様観光客(多分中国人?)に写真撮ってくれと頼まれたりとかしつつも、無事に大仏殿に入る。
うむ、まぁここはそんなに変わんないよな。変わってたら大変。
せっかくだから般若心経とか買ってみようかと思ったのですが、沖田番に止められ断念。まぁ、高野山で戴いたの(薄いリーフレットですが)もあるし、岩波文庫の『般若心経・金剛般若経』もあるよな、と云うね。



で、奈良公園をたらっと回って戒壇院を拝観した後、手向山八幡でお田植神事をちょっと見る。
能舞台的なところで、翁の面をつけた人が、まぁ田植えのアレコレを演じていたのですが、牛役の子がかわ! 手綱的なものでぱしっとやられて(何回か)、「もぉ〜」とやっと声を上げると、観光客がどっと笑う、の繰り返し。牛に犂をつけて田を耕してるとこだったみたいです。
その後、翁が鍬やら何やらで田を起こして、苗を植えた、とこくらいまでで手向山八幡を離れ、二月堂へ。お水取りのあそこ。
上に上がると、福豆(?)を売ってたのでそれを戴く。節分ですからね。
お参りして、回廊を下る。
外に出たところで、節分限定なのかな? "厄除鬼"なるグッズを販売していたので、(以前福島であかべこのを買い損ねたし)緑の厄除け鬼のリフレクターをGet。うん、欲しかったんだリフレクター。通勤の時、駅まで自転車に乗るしね。
ちなみに厄除鬼は5色ありまして、赤は貪欲、青は怒り、黄色は"我を通す"、黒は愚痴、緑は不摂生を表すのだそうな。どうも、元興寺の鬼の話が元のようです。奈良の鬼は、悪いものを退治してくれるそうなので、"鬼は外"とは云っちゃいかんのだとか。つまり、緑は不摂生を断滅してくれるわけですね! (←そうか……?)
でも実際、帰ってきてこのリフレクター鞄につけてから、寝落ちするのが早くなったので、あまり夜更かししなくなったかも……(当社比) 効き目あるのか。



さて、ここからは春日大社。夜も来るつもりですが(万燈籠)、とにかく一度行っておこうと云う。
しかし、歩いてみると、結構距離が……若草山の麓を抜け、一言主神社にお参りしつつ春日大社
遷宮中だか何だかで、仮拝殿から斜めにお参り。中の拝観には\500-かかるようですが、まぁ以前も見たはず(修学旅行でな)だし、他も行きたいからねと今回はパス。
その後、ささやきの小径とやらを通って、志賀直哉邸の近くに出ます。
っても、志賀直哉にはまったく興味ないんだよなー。自分内"文豪"は、芥川龍之介夏目漱石ときて、最近やっと川端康成が入ってきた(『雪国』ちゃんと通して読んだら、文章表現凄くて驚愕した――なるほど、これはノーベル賞取るわ。今まで読んだ中で、日本語の特質を余すところなく駆使できているのはこの人が随一だなと思います)くらいで、正直他はな……
ってわけで、あの辺のcafeに入ろうかと思っていたのですが、目当てのところはお休み。火水休みのとこ多いな、奈良。
仕方なく別のお店に入る。ここが割と良かった! 自家製レモンケーキが酸っぱ過ぎず、しかし適度な酸味で疲れてきた身体に沁みこみました("沁"=刺激を感じる……そう云うとこも確かにあった)。ちょっとまったり。



そして、ついでだからと新薬師寺へ。
途中、阿闍梨や鑑真とゆかりがあると云う不空院(不空三蔵しか思い出さん……)をかるくお参りし、鏡神社(新薬師寺の隣り)にも参拝して、おもむろに新薬師寺です。
えーと、ここは光明皇后が、聖武天皇の眼病平癒を祈願して建てたとか云うお寺。西ノ京の薬師寺とかを想定すると残念な感じが致しますが、まぁまぁそれでも古めなお寺ですよ。建物の感じとかも古めかしいです。南都の中心からもちょっと外れ気味だからか、重衡の焼き打ちの時とか、あんまり影響出なかったんだろうか……そんなこともないか。
まぁとにかく、昔の古い仏像も残ってて、そこはまぁまぁ。但し、拝観料がお高め……(¥600-) 維持保存費だと思うと仕方ないんでしょうが。



薬師寺を出たら、奈良のリーフレット(多分観光協会発行のヤツ)で気になってた"滝坂の道"へ。つまりは旧柳生街道です。
何でも、途中途中に石仏があるとかで、それも見たいなーと思って行ったわけですが。
車両通行止めになっている道をどんどん西へ進むと、鬱蒼とした木立の中に入っていきます。でもって石畳。うむ、いかにも旧道。
どこからかチェーンソーの音が聞こえてくるのですが、農林試験場だか何だかの試験地らしく、そこらへんにそれらしき軽トラも止まってます(しかし、途中の橋、めっさ狭く、崩れててロープとか張ってあったんだが、あそこを渡ってきたんだろうか……よく脱輪しなかったなー)。それを越えてどんどん行く。
川べりを進むような道ですね。でもって坂。だから"滝坂の道"か? 川は結構な急流。意外に緑が多い――関西は常緑樹が多いって云うもんなー。
どんどん歩いていくと、向こうから年配の方々の一団が……ストックとか持ってるし、装備も本格的なハイキング、って云うかトレッキング? 用。お喋りしつつ、どんどん行く。凄い健脚。
奈良市内観光からそのまま歩いてきてる我々、やや浮いた格好? (しかし、私も沖田番も、結構歩ける靴なのだが)とか思いつつ、さらに歩く。途中に"寝仏"や"朝日観音""夕日観音"などと書かれた札が立っており、見るとそこここに石仏が――おおう。
しかし、"夕日観音"からちょっと行ったところ(次は首切り地蔵、だっけな)で、そろそろ時間が――もう小一時間以上歩いてるしな。


「このまま行くと、鬼追う式とかに間に合いませんぜ」(その前にかるく何か食べておきたいからね)


と云う沖田番の言葉に、じゃあこの辺で引き返すかとUターン。
しかし、この滝坂の道、と云うか旧柳生街道、整備されつつはあるんだけど、熊野古道松本峠あたりと較べると、若干石畳の状態とかがアレで、歩きづらい……
ともあれ、てくてく歩いて戻る。
三条通あたりのカフェで何か食べたい、の前に、見ておきたかった頭塔へ。



頭塔と云うのは、奈良時代に作られた戒壇と云う説のある、謎の積石遺跡です。奈良県の公式HPには、"東大寺二月堂修二会をはじめた実忠が、良弁の命により造"とか書いてありますが、何に使われたのかは定かではないっぽい。五来重氏(またですよ)の『石の宗教』に、これと類似の岡山の熊山遺跡は、昨今仏塔だと云うことがわかったようなのですが、こっちはどうも……"仏塔"ったって、五重塔とかいろいろあったはずの奈良の中心地(まぁ、ここは厳密にいうと当時の奈良のはずれのような気もしますが……高畑だし)の話ですから、どうなんだと云う話ですが。
しかしながら、ここが……
下調べしておかなかった(汗)ので、天辺が建物の隙間から見えるのですが、どこをどう行ったらいいのかわからん……!
ちなみに、見学するためには、ウェルネス飛鳥路と云うホテルのフロントに申し出て、協力金(と云う名の拝観料)¥300-を払うと見られる模様。
と云うのを後で知ったので、当然見れないままで撤収。
次回(今年の秋)は救世観音像の御開帳に来たい(しかし、メインは京都で上醍醐リベンジ!)ので、その時についでに見学します、そうします……



そこからたらたらっと歩いてならまち方面へ。
どこかに入ろうにもイマイチ店が見つからず、そうこうしているうちに元興寺の近くまで来たので、ついでだからと拝観。
ここも節分会で拝観無料に。が、火渡りとかは既に終わっていたので、簡単にお堂の外からお参り。
ここは、例の(最澄阿闍梨が取り合った(笑)と云う)泰範がいたお寺。あと、多分阿闍梨を得度させたお坊さんが確か元興寺の人だったんじゃなかったかなー、泰ナントカ云う人だったので。
泰範結構美形だったと云う噂ですが、沖田番と「ビボウ(ぷっ)」「ビボウ(ぷっ)」とか云いながらお参りしてました。ヒドイ。
でもって、たらっと歩いて結局三条通に戻り、昨日から気になってたPINOCCHIOと云うカフェへ。
ここは結構フードががっつり! 定番のパスタやサンドウィッチとかのほかに、ピザやドリアもあります。
私はドリア(具は忘れた……)、沖田番はパスタ。どっちもうまうま。昼抜きで歩き回ってたのでまだ足りず、さらにピザを追加。こっちもうまー。
コーヒーもお代わりしたりして、まったりと18:00近くまで過ごす。
しかし、通された席が窓際で、外が見えるのはいいんだが、隙間風と云うか外の冷気がじわじわと……結構しっかり暖房入ってたのに、盆地ってやっぱ寒いのね……
外が暗くなってきたら、そろそろねと店を出る。



興福寺の金堂前についたのは18:00頃(だったはず)。金堂のすぐ前には、後で投げられる福豆(?)を求める人が入って行っていますが、途中で抜けて春日大社に行きたい私ども、境目の外側すぐのところでスタンバイします。
陽が落ちたので、とにかく寒い! 足踏みしながら待つこと30分ほどで、いよいよ鬼追う式スタート。
まずは読経。興福寺法相宗なので、ともかくお経が全然違う。法相宗唯識なのですが、唯識のお経って何だろうなー。まぁ般若心経は読んでましたが、しかし有名な玄奘三蔵訳ではないヤツだった。鳩摩羅什の訳なのかな? 全部違うわけではなくて、部分部分違うカンジ。私の頭の中にあるのは、もちろん玄奘三蔵訳の方(しかも歌ってみたR&B……)なので、まぁ、違うってことだけしかわかんないのですが。
読経があって、散華とかあって(しかし堂内でだったので、拾った人とかはいないはず)、そろそろ鬼の登場です! と云うのがもう19:30。
マジか、万燈籠〜20:00とかだったはず。もう行かなきゃ! と云うことで、結構な人ごみをかき分けてログアウト。
一目散に春日大社へ向かいます。



真っ暗な奈良公園を抜けて、春日大社へ。
一の鳥居が割と近かったので、そこから表参道をどんどん行く。
参道には即席の燈籠(木枠に紙を張って、中に電球を入れてる)がずらりと並んでいて、中々幻想的な光景。その中を、もの凄い速足で移動します。
だって、興福寺春日大社間って、多分1km弱くらいあるんですよ。しかも夜道だし、燈籠が灯ってるって云っても、街中歩くよりは全然暗い。そこをせかせかせかせか歩きます。
途中、小さな提灯(中は蝋燭)を持ってる人たちに度々行きあう。どこで売ってるんだろうなーと思ったら、夫婦大國社でした。¥500-。
火をつけてもらって掲げて歩くも、何故か沖田番の提灯のみ支柱(つか、まぁ棒)から外れて落ちる。火が消える――何故。


「まぁ、燃えちまわなかったからいいんですけどねェ」


ぶつぶつ云いながらも、春日大社に到着。
途中から、参道の両側の石灯籠に全部灯が入っていて、それはそれで綺麗だったのですが、やはり春日大社のあの燈籠に灯が入ってるのは、またちょっと違います。ものすごく美しい。
やっぱり廻廊の拝観とかはせず、外から格子越しに燈籠の灯りを見たり撮ったり(沖田番が)して、そろそろ20:00だしと岐路につきます。本チャンの夕飯食べたい。



表参道をまた帰って、奈良公園に出る。
暗いので道が微妙にわからず、登大路に出ようと、道を北上。
途中、沖田番の提灯がまた消える。蝋燭が短くなってるので、私の方から火を移すのも難しい。消したまま歩き。
もちろん人はほとんどいないので、速足で歩く。いや、やっぱ何かこうね、古い街だから、何かいそうじゃないですか、暗いところに。
ざくざく歩いて登大路に出るも、やはり公園内を歩かなくてはならないようだ(道幅が広いので横断歩道ではなく地下通路があり、その関係で歩道が切れてた)。仕方なく公園内を興福寺方面へ。
興福寺では、当然鬼追う式も終わり、片付けもほぼ終わってる状態でした。でもまぁ明るいので、境内を通り抜け、南円堂の横の階段を下りて三条通に出ます。



夕飯(っても、もう21:00近く)は、駅に近いやまと庵本店で。初日から気になってたお店。
本当はもう一ヵ所、東向通商店街にあるトラットリア(?)も気になってたのですが、今回は地産地消の店の緑の提灯優先で。
遅いし疲れた(半山道一時間歩いたしね)ので、アルコールは飲まず、今回はウーロン茶とかで。メニューは魚が結構売りなのかな、とも思ったのですが、そんなに魚好きじゃないので、たこの天ぷらとかごぼうのゴマ揚げとか和牛のステーキとかを戴きます。うまうま。
今回は遅かったのでそんなに食べませんでしたが、次回行くことがあったらもっと食べたい! もちろん地酒もね!



10:20くらいに店を出て、ホテルに戻る。
大浴場はぎりぎりセーフ。充分あったまれました。
部屋に戻って何となくEテレをつけたら、金/田/一/秀/穂先生と厚/切/り/ジェ/イ/ソ/ンの対談の再放送がやってて、それをまったりと見る。や、私は一度見ましたがね。
うむ、アメリカ人はアメリカ人なのだなー、と思いました。最近よく見る「日本すげぇ!」的なアレコレは、正直恥しい気しかしないのですが、まぁ、アメリカと較べると、ねぇ。P.オースターが駄目でカズオ・イシグロは読めるってのは、やっぱりアメリカよりはイギリスの方が気質が近いからなのかも。オッさんとかD.フランシスとかP.ラヴゼイとかもイギリス人だしなー。
でもって、終わったら2355。例の朝の0655と同じ、謎のまったり番組。これをまったり見て、沖田番が、


「しまった、5分もこんな番組に!」


って、たいばにの某うさこさんですか、みたいなことを云ってました。えー、このまったりがいいんじゃん、2355。
0655だと、"おれ、猫"とかいいですよね。



でもって、お酒もないまま、この日は撃沈。トータル何km歩いたのか……
三日目に続きます〜。