2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

左手の聖母 2

報復はすぐにきた。それも、まったく思いもよらないかたちでもって。 その日、ミケランジェロは、作業を終えて、己の部屋に戻るや、行き倒れのように床で眠ってしまったのだ。 彼の常として、一度眠りにつけば、耳元で喇叭が吹かれようと目覚めないほどであ…

左手の聖母 1

「ミケランジェロが説明してくれるでしょう」 画家のその言葉を聞いた瞬間、かぁっと頭に血が上るのを感じた。 「あんたが説明すれば良いだろう、レオナルド!!」 思わず怒鳴りつけてしまったのは、今から思えば、多分、恥かしかったからだ。 この自分、売り…