2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

北辺の星辰 15

八月二十日、二本松城奪回に向かった幕軍が敗退したとの報があり、進攻してくる薩長軍を食い止めるため、新撰組などの守備隊が、母成峠に集結した。 歳三は、福良から母成峠の第三台場――会津と旧幕同盟軍の本部の置かれた――に移ってきていた。 ここには、会…

めぐり逢いて 22

戦いの風は、速やかに蝦夷地に吹き寄せてきた。 四月六日、英国の商船が寄港し、青森に敵艦隊の集結しつつあること、箱館在住の異国人は、二十四時間以内に家財を取りまとめ、青森へ避難するように、との通告をしてきた。 ――いよいよ決戦のときか。 鉄之助た…

小噺・甘党談義

「土方さん」 「……」 「何だってェ、そんな渋い顔してやがるんで?」 「……味が」 「は?」 「思ってたのと違ってた」 「何の話ですよ、ってェ、それァかるめ焼ですねェ」 「あァ、こないだ高幡のお不動に行ったときに、菓子屋で買ってきたんだが――」 「そう…

北辺の星辰 14

歳三が戦線に復帰したのは、七月六日、福良村でのことだった。 とは云え、ここでの歳三は、あくまでも幕軍本隊の参謀的な立場に留まり、新撰組の統括は、相変わらず斉藤一が行っていた。 「今の新撰組の隊長は俺だ」 斉藤は、いつになく強い口調でそう云った…

日野本陣行。

立て続けですが、行ってきました、日野本陣。今回は一人旅(?)。 えーと、モノレールの甲州街道駅で下車後、てくてく歩いて日野本陣へ。 行き着いたら、ガイドさんが食事休憩中とのことで、ちょこっと内部を見学。私のほかにはひとり見学者がいただけ――まァ…

めぐり逢いて 21

玉置良蔵が死んだのは、鉄之助が療養所を訪れた後、ほんの一刻もしないうちであったと云う。看護のものが声をかけようとして、息のないのに気づいたのだと。 悶絶したと云うでも、大喀血をしたと云うでもない、ごく静かな死顔だった。 ――敵方の甲鉄艦を奪取…