2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

神さまの左手 41

「おにいさん、おひま?」 声をかけてきたのは、派手々々しい色合いの安っぽいドレスを身にまとった、見るからに娼婦とわかる女だった。 レオナルドが、イル・モーロの晩餐会に呼ばれていってしまい、暇をもてあましたサライは、ミラノの街中へふらふらと出…

理趣経と理趣釈と蘇悉地経、とか。

ってわけで、予告どおりお経の話。 っても、もちろん私、哲学科とか仏教系大学とか行ったわけじゃあございませんので、いろいろ読んでの感想的なアレコレです。専門の人から見たらちゃんちゃらおかしいかも知れないけど、まァそこはそれってことで。 で、理…

奇しき蓮華の台にて 〜紅〜 三

最澄は、密教を、叡山にいながらにして学ぼうとしていた。 となれば、むろんその方法は、空海の求める面授――師と対面して直接に教えを受ける――ではなく、書物による筆授である。 幸い、大日経は手許にあるし、金剛頂系の重要な経典である『理趣経』――正式に…