2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

久々に。

書評って云うか、ここ暫くで読んだ本の感想とか。ま、小説メインですけどね(漫画の乏しい時代区分だからね……)。 ちょこちょこ書いてたのの取りまとめっぽいカンジになりますが。 『空海の風景』 上・下 (司馬遼太郎 中公文庫) まァ、阿闍梨の話ってったら、…

奇しき蓮華の台にて 〜青〜 後篇

泰範のことである。 弘仁三年十二月の胎蔵界灌頂ののち、高雄山寺に居ついて、かれこれ三年ほどが経っていた。 その間、泰範は空海について、東大寺の法会に参列したり、あるいは空海の求める山間の幽地を求めて、吉野から熊野までを踏破したりしていた。 「…

北辺の星辰 62

「――市村君を、お出しになったそうですね」 自室へ戻った歳三をそのような言葉で迎えたのは、どこか苦さを含んだ表情の島田魁だった。 「……早耳だな」 歳三が苦笑すると、 「よもや、市村君がおとなしく出されるままになるとは思いもしませんでしたよ」 「ま…