2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

北辺の星辰 20

「何だ、相馬、野村も――着いてたのか」 歳三は、ほっと息をついて、微笑みをふたりに向けた。 流山で、江戸で別れてこの方、このふたりの消息はまったく聞こえてはこなかったので、正直、近藤とともに処断されたか、あるいは放逐されて、そのまま故郷へ戻っ…

小噺・岡田以蔵の儀

「土方さん、俺ァ、心底がっかりしましたぜ」 「あァ? 何の話だよ」 「まさか、奴があんなんだとァ思いませんでしたぜ」 「だから、何がだよ」 「いえね、最近、源さんとこの傍うろうろしてる奴がいたんで、中に入れてやったんですけども」 「あァ」 「それ…

めぐり逢いて 27

そうして、鉄之助は日野本陣の客人となった。 とは云え、それは、虜囚にも似た日々のはじまりでもあったのだが。 官軍の、旧幕臣残党狩りが厳しいと云うことで、鉄之助は、日中はほとんどずっと、館の控えの間のひとつ――北向きの、一番奥の六畳間――で過ごし…

北辺の星辰 19

九月十二日、歳三は、榎本らに伴われて青葉山城に登城し、藩執政の大條孫三郎や遠藤文七郎、藩主・伊達慶邦らに面会した。 歳三としては、奥州同盟の行末を見定める絶好の機会と思っていたのだが――仙台藩は、どうやら恭順の方向で藩論がまとまりつつあるよう…

小噺・銀魂!

「……土方さん、何読んでやがるんで……ってェ、あァ、例のアレですかい」 「ん? あァ、昨日、新刊が出てたからなァ、やっと終わったぜ、真選組動乱編」 「伊東参謀が出てたんでしたっけ。ってェ、あァ、俺らの知ってる伊東さんとァ、かなりいろいろ違ったおひ…

資料のこと・三訂。

またまた資料が増えたので、この辺でまた一覧など。こ、今度こそ、これで買い収め、にしたいなぁ…… タイトル、著者名、出版社名、ISBN(面倒なので、殆どは10桁の方)の順で。 「新選組始末記」 (子母澤寛 中公文庫 し 15-10) 4122027586 「新選組遺聞」 (子母…