2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

小噺・だんだら羽織

「……総司」 「はい?」 「何でェ、そりゃあ」 「懐かしいでしょう、昔の隊服でさァ」 「それァわかってる。そんなもん、どっから出てきたんだってェ訊いてるんじゃねェか」 「や、こないだ店屋でみつけたんで。“新撰組だんだら羽織”って、ちゃんと書いてあり…

高幡不動行・みたび。

つーわけで、行ってきました、高幡不動。はい、思いっきりあどまちに乗せられてます(笑)。 と云うのも、今回の高幡不動行きは、そもそも26日夜、山南役とTellしていた時に、「そう云や、今日のあどまち……」と云う話題になり、そこで本日、五重塔の中が拝観…

北辺の星辰 13

使者は、はじめに清水屋を訪ねていったのだと語った。 「新撰組の山口隊長殿にお聞きしたところ、土方殿は清水屋に逗留しておいでと伺いましたので――」 それで、こんなにも知らせが遅れてしまったのだと、使者は汗を拭いながら云い訳した。 山口、とは、斉藤…

めぐり逢いて 20

ふたつきの間は、平穏無事に過ぎていった。 箱館市中がいつも“平穏”であったわけでは、もちろんない。榎本総督の命によって発行された新貨が贋金として敬遠され、その使用を巡って商人たちとの間で揉めごとが起きたり、その使用を拒んだものを入牢させたりで…

小噺・中島三郎助の儀

「土方さん」 「何でェ」 「こないだ俺ァ、中島さんとやらにお会いしましたぜ」 「――どの中島さんだ」 「割と細身の、いい年のおっさんで、男くせェ気性のおひとでさァ」 「……(おっさんってェ……)それァもしや、中島三郎助さんじゃあねェのか」 「あァ、そん…

北辺の星辰 12

閏四月になってすぐに、斉藤一が清水屋へ顔を出してきた。 「お久しぶりです」 斉藤は端座して、うっそりと頭を下げてきた。 「怪我をされたとお聞きしたが、お加減はいかがですか」 「おぅ、良順先生に診て戴いたんでな、そう悪かァねェぜ」 もっとも、再び…

めぐり逢いて 19

明治二年の年があけた。 鉄之助は、副長付の小姓として、日々を忙しく過ごしていた。 かつては、小姓仲間も大勢いたのだが、会津よりこの方、大半は新撰組から離脱し、またあるものは通常の隊士として隊務にあてるようになり、人数は激減していた。 それでも…

小噺・忙中閑有

「……土方さん」 「何でェ」 「あんた、忙しいとか云ってたわりにゃあ、随分暇そうにしてるじゃねェですかい」 「いいや、暇じゃねぇぞ。実は、会津候に出さなきゃならねェ書類が、山のように溜まってる」 「……で、何でそうやってごろごろしてるんで?」 「――…

北辺の星辰 11

望月光蔵と云う男は、四〇も半ばほどの、中肉中背の男だった。きちんと整えられた髷と月代、黒紋付と仙台平の袴を身につけた、いかにも幕臣、しかも文官に相応しい身なりである。 そして、文官に相応しく、荒事には向かぬ性を思わせる、穏やかな面差しをして…

日野新撰組おっかけ行。

と云うわけで、行ってきました、日野半日ツアー。 つぅか、タイトルに偽り有。こんなもんで“おっかけ”云うのはなしだろう。 えーと、沖田番と最寄(?)駅で待ち合わせ、今回はそこから国分寺でJRに乗り換えて、中央線で日野まで。 駅を下りると、ちらほらと同…

めぐり逢いて 18

鉄之助たちが箱館・五稜郭に帰還したのは、松前を出立して三日の後、十二月十五日のことだった。 折りしも、この日は、幕軍の蝦夷全島平定を祝う祝賀の宴が催されており、副長の凱旋は、それに花を添えるものだったのだ。 また、この日には、こののち蝦夷を…

小噺・山崎烝の儀

「そうそう、土方さん」 「……何でェ」 「この間、山崎さんに会いましたぜ。源さんとこでですけど」 「……源さんとこァ、溜まり場んなってるのかよ。で、山崎は相変わらずだったか」 「相変わらずでさァ。源さんと碁打ちしてましたぜ」 「好きだよなァ、あのふ…