2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

箱館奉行所について。

えーと、とある方から「あれって?」と訊かれたので、ちょこっと書いてみる。 鬼の北海行内“箱館奉行所”について。 一般的に“箱館奉行所”って云うと、縮小再建された五稜郭内のアレを指すわけですが。 私の話の中に限っては、箱館市街の中のどこか(公会堂の…

神さまの左手 23

コルテ・ヴェッキアへ、小走りで行く。 ドゥオモのすこし先にある古い宮殿は、一部を当代のミラノ公であるジャン・ガレアッツォが住まいとしていたのだが、残りの部分は、イル・モーロの抱える画家や建築家に、工房として与えられていた。 円柱の立ち並ぶ回…

北辺の星辰 46

「で、落馬してそのざまか!」 案の定、投げかけられたのは、遠慮も何もない笑い声だった。 千代ヶ岱陣屋の一室に通された歳三は、火鉢に張りつきながら、 「面目ないことです」 と頭を掻いた。 馬を引いて千代ヶ岱陣屋の門をくぐると、守衛の兵たちは驚いた…

小噺・林忠崇の儀

「おう、総司」 「何ですよ、土方さん」 「今さっきここを通ってった、あの変なおっさんァ、どこのどいつだよ?」 「変なおっさん、って、俺に云わせりゃあ、どいつもこいつも“変なおっさん”ですけどねェ?」 「いや、だから、今いたろう、半袖短パンに雪駄…

神さまの左手 22

レオナルドに元気がない。 コルテ・ヴェッキアからなかなか帰ってこようとしないし、帰ってきても、またすぐに出て行ってしまう――まるで、家に留まっていたくないのだとでも云うかのように。 つい先日までは、母親が来るのだと云って、浮き浮きと、珍しく部…