2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

神さまの左手 34

レオナルドは、ようやっとモデルの選定に入ったようだった。 ようだった、と云うのは、有体に云えば、画帳を持って、街中をほっつき歩いているだけ、のように見えなくもなかったからだ。 西に行っては道行く人の姿を画帳に納め、東に行っては気に入った人に…

泰範の話とか。

……唐突に、空海語り。 いや、ちょっと先生の話は考え中&若干リンクしてなくもないような……? で、表題の“泰範”ですが。 知っている人は知っている、空海と伝教大師・最澄の訣別の原因となったかもしれない男、ですね。 この泰範と云う男、最澄より11、空…

花がたみ 〜雪〜 三

新たに座を立てるにも、金が充分にあろうはずはなく。 金策は、伊賀の長兄・小太郎に頼んで、都合をつけてもらうことにした。 「三郎も三郎だが、お前も大概無手法だな、四郎よ」 杉ノ木の館で迎えてくれた長兄は、そう云って溜息をついてきた。 小太郎兄は…

半色 六

「内裏を戦の場にするわけにはゆかぬ」 と云う父の言葉に従って、重盛は、叔父である頼盛とともに出陣することになった。 とは云え、三条殿に攻め寄せるわけではもちろんなく、敵をこちらに引きつけるため、六波羅の近隣に兵を散開させる、と云う布陣であっ…

「新春戦国鍋祭」観劇記。

ってわけで、行ってきました、「新春戦国鍋祭」。 ネタバレあります、が、畳みませんのでご注意下さい〜。 † † † † † 今回は、珍しく沖田番との観劇。 えー、ぶっちゃけ何が見たかったって、「ミュージック・トゥナイト」が見たかっただけ、と云う今回の舞台…

北辺の星辰 58

箱館までの帰途の間、自分が何をしていたのかを、歳三ははっきりと憶えてはいない。 ただ、ひたすら今後のことを考えていたのは憶えている。 開陽が沈み、甲鉄艦の奪取にも失敗した以上、箱館府の命運は尽きたと云っても過言ではなかった。本土と蝦夷地の間…

小噺・小野妹子の儀

「(跪いて)――厩戸皇子様、小野妹子、お呼びと伺い、まかり越しましてございます」 「(破顔して)おや、妹子、よく来たね」 「(胡散くせー)……して、御用の向きは」 「うん。実はこの度、隋へ使者を遣わそうと思うのだがね」 「……はぁ(七年前の続きか、ご苦労な…