右手が動かなくなる徴候は、実は冬あたりから出ていたのかもしれない。槌を握る手にかすかな違和感を感じたのは、もうかなり前だったような気がするからだ。 本当に気づいたのは、三月ごろ――ウルビーノ公ロレンツォの柩にのせる“曙”と“黄昏”の整形をはじめた…
ジュリアーノの時と違って、レオナルドの死を悲しむ暇は与えられなかった。 知らせを聞いたと同じ一五一六年六月、枢機卿ジュリオ・デ・メディチ――現在の、フィレンツェの統治者である――によって、サン・ロレンツォ聖堂に聖具室を新しく作り、そこに、ロレン…
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