ジュリアーノの死の知らせを聞いた時、ミケランジェロは、彼にぴったりとはりついていた青白い翳が、遂にジュリアーノを呑みこんでしまったのだと思った。 ――畜生、何だって、あんないい奴が…… モーゼ像に鑿を入れながら、ミケランジェロはぼろぼろと泣いた…
一五一五年、ジュリアーノ・デ・メディチが結婚した。相手は、フランス王ルイ十二世――ジュリアーノがローマを発った丁度その頃に崩御した――の妹でフィリベルト・ド・サヴォア、完全な政略結婚であることは、誰の目にも明らかな二人だった。 これにより、ジュ…
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