2007-05-08から1日間の記事一覧

北辺の星辰 11

望月光蔵と云う男は、四〇も半ばほどの、中肉中背の男だった。きちんと整えられた髷と月代、黒紋付と仙台平の袴を身につけた、いかにも幕臣、しかも文官に相応しい身なりである。 そして、文官に相応しく、荒事には向かぬ性を思わせる、穏やかな面差しをして…