濃紫と薄紫の間のいろを、“半色”と呼ぶのだと云う。濃くも薄くもない、半端な色と云う意味であるのだと。 まるで、己のようではないか――平重盛はそう考えて、小裂をひねり回しながら、小さく吐息した。 重盛は、武門のほまれ高き伊勢平氏の人間である。祖父…
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