「――蟠龍が来ないのです」 海軍奉行・荒井郁之助は、いつもは能天気な笑みを浮かべるその顔を、不安げに歪めてそう云った。 「ただ単に遅れているだけなのではないのですか」 山田港に入って、まだ半日しか経っていない。あの荒天で船団がばらばらになったの…
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