回天は、夜を徹して北へと航行した。 並走する船影はない――ただ一隻、北へ北へと進み続ける。 漆黒の空には、爪跡のような細い月が浮かんでいる。それを背に、北辰を標に、回天は進んでゆく。 海を渡る夜風の音と、船首が波を砕く音、帆を支える檣竿と、それ…
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