2010-12-28から1日間の記事一覧

無明長夜

水干の胸許に、散るものがあった。 見れば、染みたのは朱――血の飛沫だ。 ああ、範頼の血だ、と思った――それ以外の、何の感慨もおこらなかった。 夢だとわかっていたからかも知れぬ。何となれば、範頼が自死したのは伊豆・修善寺であり、自分は鎌倉から離れて…