2012-03-09から1日間の記事一覧

奇しき蓮華の台にて 〜紅〜 四 (完)

弘仁七年は、最澄にとって、大きな節目の年になった。 奈良の僧綱の隠微な厭がらせによって、天台一乗の布教は進まず、その上、奥州に在る法相宗の僧・徳一が、天台の教義についての疑問を記した『仏性抄』を送ってよこしたのだ――法相は、南都六宗の中でも大…