イタリア紀行 その3

イタリア旅行記、続き。
暇と興味の以下同文。


4日目。フィレンツェ。自分的本命です!


朝食後、市中散策して、開館前のウフィッツィへ。
冬の開館直後のウフィッツィは、檄空いてます。まばら(2階部分が改修工事中だしね)な観客の中、かぶりつきで名画や彫刻を。うわ、ミケの『ドーニの聖家族』が15cm前に! うう、先生の『受胎告知』も触れそう! おお、ボッティチェルリの『春』と『ヴィーナスの誕生』が! あれ、これフィリッポ・リッピだ、こっちはフラ・アンジェリコ、あああ、エル・グレコまで!
と云う凄いコレクションでした。3階の回廊には、歴代の法王&主要な欧州の偉い人たちの肖像と、メディチの歴代の肖像画があってうっとり――あああ、ジュリアーノ(ヌムール公)が……♥ とか云って、沖田番に怒られる。あと、豚(レオⅩ世)発言も怒られたな……でも、豚は豚だもん。と、ミケちゃんなら云うだろう。うん。
しかし、『ドーニの聖家族』=『トンド・ドーニ』、本当にヨセフが先生に似てる! 写真でも思ってたけど、間近で見ると、本当にこれ、レオナルド・ダ・ヴィンチだよ! と云うことは、やはり、青年がモデルだと云うこのマリアは、サライ……?
キリストの髪が、ミケちゃんの肖像のと良く似たぐるぐるの焦茶の巻毛で、何となく「そうか、ミケ、君はやっぱり先生の子供になりたかったんだね……」とほくそ笑む。怪しい。
でも、ミケのキリスト、ぷくぷくしてて可愛いですよ! 別に、それほど同性愛的傾向がどうこうとは(この絵に関しては)思わなかったなぁ。うん、ちょっと微笑ましい絵でした。見れて良かった。


急ぎ足だったので、フリー(ちょこっと)はミケの『トンド・ドーニ』をまた舐めるように見、『受胎告知』(三月の来日時には、こんな風には見られない!)をまたじっと見て、お次はヴェッキオ橋へ。
もちろん中の“ヴァザーリの回廊”には入れないので、橋の上までですが。
貴金属店密集地ですが、貧乏旅行者には買えるはずもなく、そのままフリータイムに突入。
夕食(予定)のトリッパ(牛の胃袋)屋をチェックしに行った、ら、そのそばで、日曜日なのに文房具屋が開いてて……♥
実は、フィレンツェの野望のひとつが、文房具屋でマーブル紙を! だったのです。
わー、わー! と叫びながら店内へ。
凄い! 色とりどりのマーブル紙製品が――しかして、紙は?
……あった! わぁ、Saldi(=sale)だって! えっ、1枚3/5/12ユーロ? 何、傷ありなの? でも安い!
だって、伊東屋で日本製の完品(3ユーロのと同じサイズ)買うと、¥1,500-くらいするよ? 今のユーロ高の状況で円換算にしたって、一枚¥510-くらいだぞ? 安い! しかも、日本のマーブル紙って、綺麗だけどこちんとしてるんだよね。手仕事の温かみに欠けると云うか。ううう、嬉しい〜♥
大小含めて8枚買い、ついでにお土産用の手帖と封蝋用のスタンプを買う。全部で64ユーロ(端数は切り捨ててくれた……これも嬉しい)。まぁ、マーブル紙こんな買う観光客少ないよね。
ああ、でもお買い得だった♥


昼食後、他のツアーの人はピサ行きですが、それを放棄して、フィレンツェ散策。
まずはカーザ・ブォナロッティから、と思ったら、たどり着いてみたら既に閉館後……呆然。他にも訪ねてきた観光客(not日本人)も呆然と立ち尽くしている。
実はこの美術館、14:00閉館だったのだ――しかし、小さいところなので、場所は載ってても、開館時間まではどこのガイド書も載せてなかったの。敗北。
……働けよ、イタリア人!
火曜休み、〜14:00閉館(開館時間は、多分8:30くらい……)なので、もし行ってみようと思われる方は、気をつけてください。ちなみに場所もわかり辛く、サンタ・クローチェ教会の北のほうの路地を入るカンジです。歴史地区からは外れているので、いろいろご注意。でも、サンタ・クローチェ教会には、ミケちゃんの墓廟もあるらしいので、合わせていくといいんじゃないかな。


で、仕方がないので、さっきチェックしたトリッパ屋(屋台)でトリッパを食べ、もうひとつの目玉、サン・ロレンツォ聖堂新聖具室、所謂メディチ家礼拝堂、へ行こうと思ったのですが――第三日曜は開いてると聞いていたのに、なぜかこちらも休み。何ィ!
ヴェロッキオのダヴィデの収蔵されてるバルジェッロ美術館も休みだし、アカデミア美術館にはもう間に合わない……
「……ヴェッキオ宮へ行こう!」
沖田番が云い出し、急ぎフィレンツェ市庁舎へ。ここには、レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロが競い合った壁画の壁(上にはヴァザーリの絵が描かれてるんだけど)があるのです。
さすが現役の市庁舎、入館のための検査が厳しい。空港並みと云うか。金属探知機を抜けて、鞄の中も見せて、いざ。
ちょっと迷う(チケット売場と入口が……)も、無事に旧五百人会議室へ。
……すげぇ、高い……そして、昔、学者先生たちが剥がした(下に先生の絵があるか確かめるため)絵を見て、にやり笑い。ちなみにその壁、今の学界の通説では、逆の壁だったことになっています。ヴァザーリ、ちょっと気の毒だわ……


で、ヴェッキオ宮の中をざっと見(『アンギアーリの戦い』の模写も見たよ)、またドゥオモ近辺へ。
「ジョットの鐘楼に登ろう!」
ドゥオモ美術館(ミケのピエタが入っている)は閉館、クーポラにも上れない(時間が遅くて)ので、沖田番が云う。
よし上ろう。ジョットの鐘楼は、19:30まで開いているのだ(入れるのは40分前まで)。
しかし、階段がきつい……その上狭い……ところどころで休める場所があるのですが、そこから上を目指すたび、階段が狭くなる。
鐘の真下まで行き着いた、途端に鐘がなる。五月蠅い、が、音は日本のお寺の鐘の音に似てる。重い音ががらんごろんと響く。
逃げるように上へ――天辺に着くと、ちょうど落日でした。
陽が沈み、あたりが薄暗くなってくると、街路に灯が点ります。フィレンツェの歴史地区は、通り通りをライトアップ(っても、日本のより断然暗いけどね)するようになっているのだそうで。足許には光の河、遠くには、蝋燭の光のように揺れる灯が。
折りよくも、あちこちで教会の鐘が――遠くの教会から近くの教会へ、伝播してゆく鐘の響き。ああ、ヨーロッパだなァ。
と、ミケ作品に振られまくった一日でしたが、これはもう、神様が「また来なさい」と云っているのだと思っておく。うん、きっとそうだ。ミケ作品とかは、次の愉しみにしておこう。うん。


でも、本当に面白かったよフィレンツェ! 街をだかだか歩くのも、歴史地区抜けて、何故かイタリアの百均(¢99-ショップだけどね)に入ったのも面白かった。
あと、昼過ぎに食ったトリッパで腹が膨れ、コーヒーだけカフェに飲みにいった(夜の8時過ぎに、ドゥオモの向こうまで行った)のも愉しかった。
うん、また行こう、フィレンツェ


でもって、まだ続きますよー。