偶には。

ここのところ、新撰組がらみの本(小説、漫画など)をいろいろ買ったので、これまでに手に入れたもの全般の感想など書いてみる。前にちょこちょこ書いてた感想の総まとめ的な。
まぁ、主観ばりばり+ネタバレありですので、お厭な方はスルーでどうぞ。
今回は巻数ものが多いので、書誌データ(ISBN等)は入れませんよー。


■小説
燃えよ剣』 上・下 (司馬遼太郎 新潮文庫)
まぁ、鬼と云えばこれだよね。新撰組小説不朽の名作。
鬼が、ちょっと、かなりカッコ良すぎるよと思いつつ、まァ読む分にはこれくらいカッコよくないとアレなのかもね、とも思います。
まんま信じると危ないけど、小説としては本当によく出来てますよね。お勧め。


新選組血風録』 (司馬遼太郎 角川文庫・中公文庫)
例の「前髪の惣三郎」とかの載ってる本。
やっぱり、小説では、司馬遼の新撰組が一番イメージに近いのかも。総司は美形じゃないけどね(笑)。


新選組烈士伝』『新選組興亡録』(司馬遼太郎・他 角川文庫)
ぶっちゃけ、『烈士伝』に池波正太郎の「色」が載ってたのと、司馬遼の未収録短編読みたさに買った本。
が、中で一番好きなのは、『興亡録』の草森紳一「歳三の写真」ですね。つーか全般的に、『興亡録』の方が面白かったような。


『歳三からの伝言』 (北原亞以子 講談社文庫)
これは――『週刊司馬遼太郎』の1巻目に、この人のインタビューがちょこっと載ってて、それでどんなのか興味を持ったので買った、はず。
えーと、鬼の顔が四角い(イメージ)。それから、ヒロインの女の子(?)の性格があんまり好きじゃない。あの子の性格は、北原さんのシュミなのかな? 何かビミョーなんだけど……どうなんでしょう、女性の目から見ると(←って、自分、女じゃねェのか)。
お話自体は――あんまり印象に残ってない……まぁ、可もなく不可もなし、ってとこでしょうか。鬼は、カッコいいけどさ――カッコいいけど、何か別の人みたいだよ……誰だよ、あれ……


『歳三 往きてまた』 (秋山香乃 文春文庫)
鬼好きの方々の間では、すごい人気らしいですね。
私はそんなに好きじゃない、と云うか、書き方が私と合わないのが主要因かな。あんなにいろんなキャラの目線であちこち跳ばれる(視点の転換が、短いスパンであるのです)と、斜め読みの帝王としては、いささか読み辛いので。何たって、西郷どんまで出てくるもんなァ。ほとんど関係ないじゃん、西郷どん
キャラの立て方も、自分の持ってるイメージとかなりあわないので、まァこれは同人小説だと思って読み飛ばしておく。


『BARAGAKI!』 1,2 (秋月こお 角川ASUKA Novels)
とりあえず、東城麻美さんのイラストに激しい違和感を感じつつ、お話の内容は――わかるけど、恥しかった……いや、“若さゆえのアヤマチ”みたいな、鬼的に。
何となく、同タイトル(中場……(失念)の『バラガキ!』)を思い出した、けど、さすがにBL系の女王様(じゃないの?)、何と云うか、愉快で甘いです。
が、まァ買うほどでもなかったかなァ(近所の図書館に入ってたので)と、今さら後悔。まァいいんだけどもさ……


『時光の隊士』シリーズ 1,2 (槇ありさ 角川ビーンズ文庫)
普通に面白く読みました。
しかし、原田=喬生にこんなになつかれる鬼って……! 永倉、藤堂組とも、鬼ってあんま仲良くなかった、つーかあんま接触がなかったような……だって、永倉さん、日記とかで鬼のことなんか全然書いてないしね!
総司の一人称が“僕”ですが、これにはあんまり違和感を感じなかった、のは性格のせいかな。
しかし、土沖だそうなので、その辺がイマイチ……ねェ。


『あさぎ色の風』シリーズ 全6巻 (藤堂夏央 集英社コバルト文庫)
最後の短編集「うたかた」を最初に(本屋の店頭で)読んで、それでこの存在を知りました。
えーと、鬼が過剰に男っぽいですね。5巻ラスト、あれはシチュエーション逆っぽいと思うのは、私だけか。総司の一人称“僕”に違和感を感じ、一ちゃんの性格にも違和感を感じ。つーか、原田と仲良くしてる総司って……! 想像がつきません、永倉さんならまだしも。
まぁ、乙女の夢なんだよね、そうだよね……ってことで、片付けておこう。


■漫画
風光る』 1〜21(続刊) (渡辺多恵子 小学館FC)
今、漫画で新撰組、と云ったら、まァ間違いなくこれが上がるんだろうなぁ。
歴史はよく調べてあると思いますが、やっぱ少女漫画(まァ、話が綺麗すぎますわね)+ドリー夢漫画だよねェ、って云うのが。
とりあえず、慶喜くんと一ちゃんとかっちゃんは腑に落ちない。性格が。お話としては、このキャラ立ての方がまとまるだろうから、いいんだけども。
とりあえず、セイちゃんがどこまで“新撰組隊士”として生きていくのかが気になるところ。もうちょっとで油小路〜戊辰戦争だしね。


『無頼』 1〜3 (岩崎陽子 秋田文庫)
実は、この話の連載が始まったときに、私、前作『王都妖奇譚』の同人やってまして(汗)、まぁいろいろ(……はははは――本当にイロイロありましたねェ、ねェ?/笑)あったのですが。
うん、この話にどうしても入っていけなかったのは、今思うと一ちゃんの顔と性格のせいなのかもねー、と。一ちゃんはアゴですよ、アゴ!(力説)
こないだ全巻手に入れて読み返してみたのですが、オカルトなのはおいといて、やっぱり美形ばっか+あまりにも前向きなのがいかんのでしょう。
ご本人さまは続けたいご様子らしいですが、う〜ん……このままいったとしたら、どんな結末に収めるおつもりなのか、そこだけは聞いてみたいかもね。


『北走新選組』(菅野文 白泉社花とゆめ)
これは絵が綺麗だったので買ったんだと思う――いまはこの方『オトメン』のひとですけども。
そう云えば、箱館新撰組を描いた漫画って珍しいよねェ、と思いながら読みました、が、結構よく出来てる話だと思います。
箱館が舞台なせいもあると思いますが、個人的には、少女漫画の新撰組では、これが一番好きかなァ。鬼が美形すぎますが(笑)。


新選組異聞 PeaceMaker』 全6巻+鐵・全5巻 (黒乃奈々絵 スクエニ)
アニメにもなったので、これはまァ、語る必要もないくらいだとは思いますが。
確か、1巻発売当時、コミック担当だったせいもあって、ごく初期に買ってました。
鉄ちゃんや山崎、藤堂、一ちゃんのイメージ、今から思うと全然違ったのに、結構面白く読んだなァ――6巻までは。『鐵』は、何か駄目だった。読むのきつかったです。作者のやる気の問題かな。
まァ、無期限連載休止だそうですので、続きは――ないと思うが良いのだろう、うん。


『ひなたの狼』 全5巻 (斉藤岬 幻冬舎バーズ)
斉藤岬の絵に惹かれて買ったのですが――うーん、何かアタマに入ってこなかった……
鬼が女の子のようで、しかもみんな断髪姿と云う、中々斬新なキャラデザでしたが、どうも性格設定が微妙で……つーか、あれだ、性格設定と行動特性が、イマイチ私の中でしっくりこなかったと云うか。
説明書きがあんまなかったからか? よくわかりません。


『疾風迅雷』 全5巻 (もりやまつる 小学館BC)
新撰組現代日本にタイムスリップ! と云う、聞くだけで突飛なお話ですが、結構面白かったです、個人的に。
さすが男性誌、つーか、このひとだからか、スピリッツだからか、フ×チ×のかっちゃん、鬼、総司と原田ってのもスゲェ。しかし、原田はもっとハンサムでは……まァいいけど。
個人的に、壬生寺の、ファンの女の子たちの描いたイラストに馬鹿笑いする四人が一番おかしかった……! ふふふ、おかしいよね……ふふ。
ラストは流石にどうよ(いや、かっちゃんがアレは……!)とは思いましたが、概ね楽しめたお話でした。絵柄(ゴツイ)があったら、ご一読を。


新選組』 (黒鉄ヒロシ PHP文庫)
自分的ベスト・オブ・新撰組漫画。綺麗なところも汚いところも、あまさず描いてあるいい漫画だと思います。
いろいろ反省させられることも多い(←何を?)のですが、うん、そう云う部分までちゃんと描いてある話って、本当に少ないもんなァ。
これは『坂本龍馬』や『幕末暗殺』も読むべきか? と思いつつ、まぁまずはこれだけで。
限りなく史実に近い新撰組を愉しみたい人向けかと。


……小説、あんま読んでないですねー。
とりあえず、こうやって書いてきてわかったけど、私、トンデモ系の話の方が(新撰組に関しては)好きみたい。転生とか、タイムスリップとか。オカルトは、まァあの当時だとマジな感じだからなぁ、崇徳上皇の慰霊祭を、明治天皇が東下する直前にやったりしてるしね。


あと、司馬遼と黒鉄さんは流石。
昔(中、高校生くらいに)、他の作家さんの書いた話(『散華』とか)も読んでたと思うんだけど、かけらも印象に残ってないし。その後何回か引っ越す間も、『燃えよ剣』だけは取ってたもんなァ。
特に、今回の新撰組の波はかなり変則(だって、電波)なので、それも超えて残るってのは、やっぱり面白いからだよねとは思います。勝さん絡みだと子母澤寛が一番(これも、中学生とかで読んでたなァ)だってのと同じかな。
そう思うと、最近の作家さんって、やっぱぬるいと云うか、レベルが(以下略)と云うか。頑張れよ、資料昔よりあるんだしさァ。


さてさて、次は大人しく、鬼の北海行かな。あれ、望月さんの回なのか……