小噺・大鳥圭介の儀

「そう云や、土方さん」
「何でェ」
「こないだ俺、大鳥さんに会いましたぜ」
「……ちょっと待て」
「何ですよ？」
「何でおめェに、大鳥さんがわかるってェんだ。おめェ、会ったことなかったろう」
「や、俺ァ知らなかったんですがね、一緒だった島田さんが、厭ァな顔して教えてくれたもんで」
「……島田もいたのか、てェ、何だその厭ァな顔ってな」
「だから、何かいろいろ、箱館でのあれこれがあるんでしょうさァ」
「どれの話だ？」
「そんなに心当たりがあるんですかい」
「まァ、作戦とか何とかじゃあ、いろいろな」
「……とりあえず、島田さんのは、あんたァ死なせたからでしょうさァ」
「……俺の戦死に、大鳥さんは関係ねェだろうが」
「……まァ、そう云うこともあるってことでさァ」
「なにが“そう云うこと”なのか、さっぱりわからねェ」
「……まァ、いいですよ。――ともかく、大鳥さんでさァ」
「(今の間ァ何なんだよ)……あん人に会ったってェ、どんな話しやがったんだ。どうせ俺の悪口だろう」
「土方さん、そう云うのァ“被害妄想”ってェ云うんですぜ」
「五月蠅ェ。どうせ、碌なことァ云ってやがらねェんだろうが」
「そんなこたァねェですよ。――まァ、大鳥さん、あんたのこと、何考えてんだかわからねェとは云ってましたけどね」
「あァ？」
「面と向かってはにこにこしてたけど、裏で何考えてるか、さっぱりわからなかったんですってさ。自分のことを嫌ってたくせに、内心では馬鹿にしてたくせに、って云ってましたぜ」
「……嫌ってはいなかったんだがなァ、作戦会議なんぞでは、それァもうむかついて仕方がなかったがな(爽笑)」
「あんた、それ嫌ってねェとか云わねェでしょう」
「嫌ってはいねェよ。単にムカついてただけで」
「……大鳥さんも大変だったんですねェ」
「……何が云いてェんだ」
「いやァ、別にィ」
「この野郎！(殴る)」
「おっと(かわす)、あんたってェ人ァ、本当に乱暴もんですよねェ」
「やかましいわ！」
「図星さされるとむきになるんだから。――それァともかく、大鳥さんですがね」
「だから何だよ」
「大鳥さん、あんたが戦死したってぇ報を聞いて、“これでおしまいだ”って思ったんですってさ」
「……何でおしまいだよ」
「兵を動かせる人間がいなくなった、って思ったらしいですよ。指揮官がそんなこと考えちゃあ駄目だってェ、すぐに思い返しはしたそうですけどね」
「それがわかんねェってェんだよ」
「何でですよ」
「だってなァ、考えてもみろよ、あん人ァ、適塾の出で、漢学も蘭学も修めた立派な学者で、まァ人望もあったんだぜ？　どれだけ負けて帰ったってェ、あん人を悪く云う奴ァなかった――そんな人が、何で俺ごときの戦死で、これでおしまいだってェ思わなきゃならねぇんだよ？」
「……あんたァ……」
「何だよ」
「本当は阿呆なんでしょう」
「！　何でだ、この野郎！」
「だってねェ！　普通わかるでしょう、自分の立ち位置とかねェ。あんたってのァ、何だってェそんな、自分の立ち位置だけ読めねェんですかい」
「知るか！ おめェに云われる筋合いじゃあねェ！」
「まったく、依怙地んなると、これだから――本当に、こんなんで、北じゃあ大丈夫だったんですかねェ……」

†　†　†　†　†

阿呆話at地獄の７丁目。

今回は大鳥さんの話、なのは、多分『南柯紀行』を買ったから。
が！
読めねェ、つーか日付が判然とせん！　昔の日記だからか、月が同じだと、日付だけで進むので、ぱっと見何月何日かがはっきりせんのよ。うがー！
とりあえず、ちまちまと読み進んでいきたい、が、何か、何云ってんだかわかんねーよ鳥さん！　と思うのは私だけか。勝さんの日記(全文読んだわけじゃあありませんが)の方が端的だったような気が。
って、そうか、端的じゃないから余計に混乱するのかァ……納得。

しかし、前にちらっと聞いた、鳥さんが鬼の死んだ後、大泣きしたってのは――どこから出てきたネタなんだ……出所が思い出せないし。電波か？　単なる電波なのか？　まァ、それならそれでいいんだけどさ……

あァそうだ、例の「明治維新をひっくり返せ！」脳外シュミレーション、とりあえず勝ちましたよ。が、戦後処理、つーか論功行賞つーか、人事発令が大変……
ぶっちゃけ大久保さんをあまり上に持ってきたくないので、文官のトップ(もちろん、上に勝さんがいます)を桂さんにして、その下に大鳥さん、かっしー(え)と並べて大久保さんを突っ込んでみた。大久保さんのお取りまきは、全部ばらしていろんなところに。
武官は、やっぱり西郷どんをトップにしたくないので、トップ(お飾り――しかも勝さんと同格)に慶喜くん、実権はその異母弟(架空キャラ)に握らせ、その下に高杉、西郷、近藤(以上陸軍、管区は三つ)、榎本(海軍ね)、鬼(警察)を同列で。高杉さん、公金横領するので、お目付け役が必要ですよ……総司と一ちゃんは、勝さん直属、と云いつつ、実質鬼の配下だな。タロさんは下野なさいました――お宮仕えの向かない性格らしいねェ(溜息)。榎本さんが、一族郎党の面倒見てます。すげェ。
それでもって、通商・貿易関連は龍馬にお任せ。無駄にゴージャスな閣僚人事。
みかどにご還御願ったので、まァ首都は江戸になるのですが、宮中は岩倉具視が仕切ってくれるようです。
そして、当初の野望だった、勝さんを政府のトップに、はとりあえず成功しました。
が、先行きが不安なこの組閣――みんな曲者だからねェ。とりあえず、早く西郷どんと大久保さんを切っちゃいたいなァ。どうもこのふたり、不安要素なんだよなァ。特に大久保さん！
勝さんの穏やかな老後は、このシミュレーション内ではまだまだ先のようです……
しかし、愉しいねェ、こういう(組閣人事とか)の。私、こういうのとか、権力闘争パワーゲームとか大好きですよ。戦術は向いてないんですが、こういう人間動かして流れを決めるのとかは、わりと得意だわ。ふふふふふ……

さて、次は鉄ちゃんの話の続き、江差攻略か――本当、戦争ばっかだなァ……