箱館戦争紀行 その2

蝦夷箱館、追っかけ紀行、2日目。
暇と心の余裕のある方は、続きをどうぞ〜。


二日目は、朝市での朝食からスタート。
ホテルは一泊朝食付なのですが、一日だけ、それを朝市でのいくら丼(!)に変更できると聞いたのです。
沖田番、大喜び。


「函館まで来たからにゃあ、いくら丼は食べとかなきゃあいけねェでしょう」
「……朝からいくら丼かよ」
「えェ? いいじゃねェですかい、あんただっていくらァ好きでしょうに」
「それァ嫌いじゃねェがよ……」


しかしながら、朝っぱらからいくら丼、ってのは、何か重すぎるような気がするんですがね(や、基本朝食はパン+コーヒーなんで)。
まァ、しかし引っ張ってきたのは私なわけだし、それくらいは聞いてやらねばなるまい。
と云うわけで、てくてく歩いて朝市へ。指定の店があるので、そこでいくら丼を食べる――え、ちょっと、朝から茶碗2.5杯分くらいの飯ですかよ! 美味しかったけど! それにしても重いよ!
結構ヘヴィーな朝食を戴き(丼に味噌汁とイカの塩辛、メロンまでついてる)、その後、市電で函館どっくまで。称名寺に行くのです。


称名寺は、結構新しいお寺だった――いや、建物がね。
後で聞いたところによると、函館は住宅が密集している上に、三方海で風が強く、たびたび火事で街が焼けたんだそうだ。だから、結構歴史的建造物とかでも建て直しされたのがあったりするわけなのだね。そうか。
えーと、称名寺は、野村と玉ちゃんの墓参りです。蟻通とかもね。要は箱館新撰組の戦死者の墓参り。
と思ったら、境内にお地蔵様が――首が新しいのですが、身体は古い、って云うのがありまして。いつの戦禍かでやられたんだろうそれにお参り。でもって、もちろん新撰組の供養碑と、他もろもろの供養碑にも(後で知りましたが、称名寺のお隣りの実行寺のひとが、箱館戦争終了直後に、野晒しにされてた幕軍兵士の死体を埋葬してくれたのだそうで――実行寺にもお参りしときゃあ良かったなァ)。


でもって、だらりと歩いて元町公園へ。
公園と云うよりも、旧英国領事館内のティールームに行きたかったので。
沖田番の友人が勧めてくれたお店なのですが(ガイドにもよく載ってる「ヴィクトリアン・ローズ」というとこ)、うん、ここは安くて美味しかった。スコーンもお茶も熱々で、サンドウィッチはしっとりしてて、ケーキももちろん美味しい――これで¥1,050-とは激安です(+¥200-で紅茶の種類が選べる――私はキーマンにしましたよ)。
窓から見てると、中庭で何かの撮影をしてた――多分雑誌とかだと思うんだけど、小雨の降る中大変だなァと思いましたよ。

その後、市電で五稜郭公園前へ。
駅から結構あるく――と、五稜郭タワーに到着です。
以前はもっと低かったそうなのですが、近年建て直しされて、星の形が綺麗に見えます。
上の展望室に、鬼の坐像が! 沖田番はその隣りに立って、写真を撮れと云う――


「いや、これァお約束でしょうさァ」
「……おめェは撮りゃあいいさ。貸せよ、映してやる」
(かしゃ)
「どうも。――あんたもどうです? 撮ってあげますぜ」
「……いらねェよ」
「何ですよ、遠慮しちゃって」
「いらねェっつってんだろ、このすっとこどっこい!」
「えェ、そんなァ。ここまで来たんですからさァ(にこ)」


と云われたって、いらねェったらいらねェんだよ!
ちなみに沖田番は、下にある鬼の立像とも写真を撮りました――私は撮りませんでしたよ。
あ、そうそう、武田斐三郎と釜さんの像もあったのですが――何か、隅っこって云うか、外れたところにぽつねんとあって、ちょっと淋しかった……鬼のは植え込みがまわりにあって、ライトアップまでされてるのにな!
沖田番は「そりゃああんた、箱館唯一の英雄ですからねェ」とか云うが――いや、冷静に考えて、鬼は侵略者、つーか侵攻者ですから。単に、幕軍の中で(比較的)人気があったってだけですから!
だって、中島さんとか人見さんとかは町の名前になったけど、鬼はないよ? (←僻みのようだ……) そういうことなんじゃないの?


えーと、でもって、五稜郭内をぐるっとまわる――野外劇のセットとか楽屋とかを見ながら(お芝居自体は、滞在中はやってなかったので――博物館五稜郭分館もな)、城壁の上をたらりと。
……こうして見ると、五稜郭って狭い&城壁が低いよね! これじゃあ艦載砲とか防げないわけだ。人馬のみの戦いならまだしも、銃器中心の戦争では、この城じゃあ厳しいなァ。狭くてもいいんだけど、こういう狭さはなァ。
あと、城壁の稜線(って云うのかな)が長すぎます。防衛ラインが長いので、人員を余計に割かなきゃならないんだよね。だから、死角はないのかもしれないが、防衛線の穴はできる城だなァと。
とか云うのを考えながら歩いてました。


五稜郭を後にして、次は中島さん最期の地へ。
迷いつつ(GSの兄さんに道訊いたり)も、何とかたどり着く――千代台(昔は千代ヶ岱だったのにねー)で市電降りるルートのがわかりやすかったんじゃあねェのか。一日乗車券持ってたんだし。
何はともあれ、石碑の前で合掌。
次は一本木関門跡、と思ったところで雨が……! いや、ずっと霧雨程度には降ってたんだけども!
傘を差すんだか差さないんだかしつつ(や、かなり↑風が強かったんですよ)、さらに歩き――迷う。
沖田番に、飛脚便の兄さんに道を訊かせ(「てめェで訊きなせェよ!(怒)」)、さらに迷い、行き着いたGSの兄さんに道を訊かせて、ようやくたどり着く――雨が酷い……
……何か、一本木関門って、こんなとこだっけ? もっと海の傍のような気がしてました。つーか、一本木関門がと云うよりは、戦場が。埋め立て工事とかしてるだろうからアレなんだろうけども、何か……うぅうん。


沖田番にどやされて合掌しつつ(だって、何だかさー)、本降りの雨の中を、函館駅前まで。
雨に濡れて寒い沖田番、ミツバチの警戒音のような異音を発して威嚇。“しゅびびびびび”とか云うような音です。
これがミツバチのうちはいいんだ――スズメバチになったらさァ大変。何しろ沖田番、天然危険物ですから。何されるかわかったもんじゃない。
ともかく函館駅前から市電に乗って、とりあえず湯の川まで行ってみる。雨で身体が冷えて寒い!
沖田番が恨みがましいまなざしで見てくるので、湯の川のホテルで日帰り温泉に入る――¥400-、安い、が、風呂はそれなり。あったかかったですがねー。


でもって、一旦ホテルに戻り(効率の悪い移動してるなー)、朝買ってたクッキーシュー(ホテルの売店で売ってた)を食べてお茶を飲み、近場の蔵造りの茶房へ――と思ったら、閉まってた!
ついでにもう六時くらいだったので、「いっそ晩飯?」。仕方ないのでたらたらと歩き、十字街から赤レンガ近くのvery very beastへ。ここはオムライスが美味しい(とガイドに書いてあった)らしい。
沖田番はハンバーグ、私はスペシャル・オムライス。えーと、ボリューム満点、お値段リーズナブル。しかしもちょっと若くないときついかなー、って、自分ら外見年齢かなり低いんですが、特に沖田番。や、単にアーリーアメリカンテイストの内装に、ちょっと自分あわねーなァと思っただけなんです。
うん、とりあえず美味しかったですよ。ただ、本当に若向けなので、しっとりテイストをお求めの方には勧めませんが。


えーと、またたらりと歩いてホテルに帰り、この日は終了、だったはず……