箱館戦争紀行 その3

蝦夷箱館、追っかけ紀行、3日目。
暇と心の余裕のある方は、続きをどうぞ〜。


本日は、ともかくも碧血碑に行くのだと心に決めてました。
ので、朝食後すぐに市電に乗って、谷地頭までGO。ここには市営の温泉もあるので、寒くなったら入ろうという目論み――だって朝から雨だったんだ。
駅(って云うかバス停みたいな?)を下りてすぐに函館山方面へ。てくてく歩いて八幡神社の鳥居をくぐり、左へ折れてさらにてくてく。道が細くなる手前に標識(小さい)があり、右折しろと書いてある――碧血碑まで600m。
坂を上がっていくと、木立の中にコンクリートブロックで作ったみたいな階段が。何か鬱蒼としてるなー。
と、ここで沖田番が思いっきりこける。


「痛ェ!」
「挫いたか」
「わからねェですけど、痛ェ!」


……それでも歩く。根性だな。
コンクリートの階段を上りきると、舗装道路の向こうに、さらに丸太(っつーか)で組んだ階段が。碧血碑まで300m、って、まだ半分かい!
それをがつがつと上って(沖田番はゆっくり)、すこしひらけた場所に出る。小高くなった奥に、石碑が見える――意外に小さい。


石碑の文字は、鳥さんが書いたものだそうですが、うん、まァそんなことはどうでもいいのでした。
お参りするとか冥福を祈るとか、そういう気分とは何か違った――ただ、その表面の“碧血碑”と云う文字を、じっと見上げるしかなくて。
五稜郭タワーの慰霊碑や、一本木関門の祠なんかとは違う、確かにここにあの時の死者たちが祀られているんだという――何だかよくわからない感慨とか。
沖田番はおとなしく手を合わせてたけど、私は頭を下げることもできなかった。何だか、そう云うのじゃなかったので――頭を下げるとか、手を合わせるとか、そう云うのじゃなかった。不謹慎かな? でもまァ、そんなんだったのです。
多分、そこには5分いたかどうかだったのですが、うん、明日も来ようと思った。できれば、次に函館に来たときにも。


去り際、空き地の外れに小さい石碑があるのに気がつく――柳川熊吉さんの碑だそうで、この方が中心になって、実行寺の僧や侠客などとともに、ここに幕軍の死者を葬ってくれたのだそう。最後は墓守として、碧血碑を守ってくれたのだとか。
箱館の人間からしたら、幕軍が来たことは迷惑ばっかりだったと思うんだけど、そういう人もいたんだなぁと思うと、いろいろ感慨深いものがあります。
ここには素直に手を合わせ、碧血碑を後に。


てくてく歩いて市電の駅まで戻り、そこから谷地頭温泉へ。
この温泉、旅館などはなく、市営の日帰り湯があるだけなのですが。
まず安い! ¥390-って、うちの近くの銭湯(一応都内ですからねー)より安いんじゃ!
何も持ってないので、タオル(¥100-)だけ買って、いざ浴場へ。間違われると面倒なので、入る前に上着は脱ぐ(一応胸はあるのよ)。
えーと、一日目に浸かった足湯と同じ水質のお湯でした。純食塩泉で、鉄分で赤褐色に濁ったお湯。源泉の温度が60〜70℃くらいということで、水でうめてあっても結構熱い。


「いい湯ですねィ」
「すこし熱いがな」
「おや、あんた、熱い湯ァ苦手でしたっけ?」
「馬鹿云うな、俺ァ熱い湯が好きさ。だが、ちょっとこの湯はなァ……」


いや、だって「低温」って書いてある湯船が43℃だって云うんですもん。ジャグジー(?)は42℃ですが、高温は45℃!
まァ、お湯の温度はずっと入ってりゃ慣れるとして、熱いのは浴場内の空気! 蒸気も相まって、サウナのよう。


「……何か息苦しいくらい熱いな……」
「そうですねェ」
「露天風呂いくか」
「そうしましょうか」


と出て行った露天風呂は――五稜郭のかたちでした! ……まァ、ぶっちゃけ星型ってことなんですけど。
こっちは44℃くらいなんですが、何しろ外気温が低い(雨が降っていたので、17℃とか18℃とかだった)ので、半身浴とかだと意外とのぼせません。


そんなこんなで1時間ばかり入ったあと、再び市電に乗って、湯の川へ――トラピスチヌ修道院へGO。
市電を降りて、歩きはじめる――ガイドに“徒歩15分”と書いてあった、ように見えたので。これが大いなる間違いだったのですが……
15分ほどの後、


「……まだですかねェ」
「あァ、まだみてェだなァ……あァ、案内板があるぜ。“あと2km”だと」
「2kmですか――まだ1/3しかきてませんねェ」
「結構歩いたような気がしたがなァ」
「俺の脚が痛ェんで、歩くのが遅くなってるんですかねェ」
「あァ、そうかも知れねェなァ」


……そんなわけァあるかー!!
本当はですね、“バスで7分、徒歩15分”だったのですが、そこを我々見落としてたのですね。
まァ、普段だったら、3kmは30分で歩くので、平気で行けたんですけども、今回は沖田番が足をやった後だった!
途中でドラッグストアに寄って、沖田番の足にテーピングしたり(またナイフが活躍)して、結局50分でトラピスチヌに到着。


トラピスチヌは、シトー会派の修道(女)院で、戒律が厳しいので有名(らしい)。その証拠に、ここの売店は、シスターじゃなくてフツーのお姉さんが売り子をやっている――聖イグナチオ教会(四谷のね)は、年配のシスターが売ってくれてたけどな。あそこは女子パウロ修道会だから、もうちょっとゆるいのかしら。
修道院の内側は見られないので、庭先だけちょこっとまわって、写真を撮って、売店へ。
私、ロザリオ編むのが趣味(……って云っていいのかなァ……でも、別に自分のため中心だしなァ)なので、いい十字架があったらほしいなァと思ってたのです。メダイは、通販で鬼のように買ったからな。
が。さすが観光地、ただ十字架ってのはなかったのでした……チェーンかキーホルダーの金具付のみで、それなりのお値段が(いや、そんなに高くはないですけどね)。通販で買ってる十字架の方が好み&安いよ! と云うことで、ここではマグダレナ・ケーキ(3個で¥400-)のみ購入。あれだ、いわゆるマドレーヌと云うやつ。


でもって、沖田番のテーピングをやり直したのですが――もうアウトだと云うことで、ここからタクシーで(事前にチケット買ってたのです)湯の川へ。
市電で戻って、五稜郭公園へ――や、博物館五稜郭分館に行きたかったのです。
が!
企画展前と云うことで、ちょうど滞在期間中ずっと休館! なにィ!
……いつもながら運がない、つーかまた古馴染みに「おめぇら……」って云われそう(泣)。
しかたなく(沖田番の足もアレだし)、五稜郭タワーに。
2日目もですが、ガチャにつぎこむ――ピンズの山南さんと総司が出ない! (一ちゃんはきました――シークレットは、案の定芹鴨) しばらくやって、望み薄とわかり、ガチャは終了(この日は……)。
で、えーと、2階のカフェで、“新撰組エスプレッソ”なるものを発見。飲んでみる。……えーと、普通のエスプレッソですが、新撰組の隊士の名がプリントされたデミタス(非売品?)がついてくるという。頼むと、エスプレッソ入りのデミタスと一緒に、箱とビニール手提げがもらえるのです。
しかし、飲んだはいいけど、このデミタス使えねェよ。実用的でないという意味でなく、恥しくて……とりあえず、かっしーがいるのに山南さんがいないことに激しく不満をおぼえました。それだけですが。


えぇと、そののち市電で十字街下車、回転寿司を(また)食べて、赤レンガにお土産を買いに。新撰組好き、つーか鬼好きの友人知人には五稜郭タワーで土産を買ってたのですが、それ以外の、職場とか関係向けに。
お約束のチョコとか何とかをGETした後、ふらりと入った函館ワインの店で、「ゆかりの人」なるワインを発見! 何と、白は鬼、そして赤が釜さんだ! レアだよ! ……レアだからどうってわけでもありませんが(苦笑)。
“やや辛口”という表示ですが、「血」の甘さにやられた私ども、赤はいいや(+釜さんよりは鬼の方がずっと良い)と云う理由により、白のハーフを購入。
お店の人が「冷たく冷やして飲むと美味しいですよ」と云っていたので、土産をおきがてら、ホテルの冷蔵庫に瓶を突っこむ。


風呂場で足湯をしたのち、ホテル近くの蔵作りの茶房ひし伊へ。抹茶セットを戴く――毎月、鶴屋八幡とか虎屋とかの上生食べてるからかな、生菓子はイマイチ。不味くはないが、格別のお味と云うわけでもない。薄茶も香りが……はいはい、五月蠅いんですよ。お茶は柳桜園が好きなんだ。
えーと、さっさと出て、護国神社坂に面したビストロ・Bons Amis(ボン・ザミと云うようです)に入る――初日から気になってたのですが、その時は食後、翌日はお店が休みだったので。辻×成絡みで有名なJolly Jelly Fishの斜め向かい。
一言で云って、檄美味でした。自分、かなり↑味には五月蠅い方だと思いますが、その私的に、これまで食べてきたお店の中で一番美味しいと思いました(マジ)。ポルチーニ茸のクリームソースのパスタとか、仔羊のステーキとか、マジ旨! そのくせお値段リーズナブル(ディナーコースが、肉と魚のメインが両方ついて¥3,800-って!)。
夜はシェフ一人で切り盛りしているようなのですが、ランチタイムはもうひとり女性がいました(最終日のランチもここだったので)。個室があったりするようなので、けっこうゆったりできるのかな。
いや、でも本当マジに美味しいので、函館滞在で時間的余裕のある方(バスツアーは無理でしょう)は、是非! 本当に云って損はないです。


超満足して、再び市電に乗り、谷地頭で温泉に入った後、部屋で夜食。よく食うなー(苦笑)。
「ゆかりの人」をあけ、マグダレナ・ケーキを食べる。ケーキは素朴なお味、ワインは確かにやや辛口、が、風味が足りないかも(本当に五月蠅いな……)。とは云え、「血」よりは飲みやすかったです。
いい気分になったところで、ベッドに潜る。
さァて、いよいよ明日は最終日ですよ……