あの子と同居バトン 入れ替え戦。

明けました、今年も宜しくお願い致します。(一応喪中なので、こんな感じで失礼いたします)


新年一発目の更新は、同居バトン入れ替え戦から。鉄ちゃんの話(最終話)は、あんまりどうよと思ったので。
またしても激しく重い(txt15.8kb)ので、折り畳みます――お暇な方は、下からどうぞ。


あの子と同居バトン
指定キャラ→『土方歳三


 沖田総司が戻ってきてしまった――ありがたくないことに。
 何しろ奴は、朝は早いし夜も早い。健康的と云えば聞こえはいいが、生活スタイルは、はっきり云って一致しない。同居人には向かないことこの上ない。
 まァ、幕末の剣客にしてはおとなしいが――しかし、大小を腰に差して、袴をつけ、月代は綺麗に剃り上げて街中を闊歩されると――目立つ、と云うより、悪目立ちして仕方がない。正直、あれを連れて買い物、とかなど、冗談じゃない、と云う気分でいっぱいだ。
 さて、どうしたものかと考えて。
 ――そうだ、奴のところに押し付けよう。
 沖田番なら、朝も早いし、夜もまァ早い。割合生活サイクルが近いから、無用な混乱はなくていいはずだ。
 それに、沖田番は、格闘系なごみ生物なので、のさのさした剣の天才とも、相性は悪くないだろう。
 そうと決めたら、善は急げ、総司を手招きして、声をかける。
「あのさァ、知り合いんとこがアレだから、ちょっとそっちに行ってくれる?」
 アレ、の中身はもちろん云わない。云ったなら、何やら恨みごとめいたこと――たとえば、「俺のことなんか要らねェってェんですね」と云うような――を口にされて、話がややこしくなるのが落ちだからだ。
 案に相違して。
「俺ァ構いませんぜ」
 と云って、総司はあっさり沖田番のところへ出て行った。多分、向こうも、生活サイクルの違いに辟易していたに違いない。
 これで、早朝にたたき起こされる生活ともおさらばだ、と安堵していると。
 PHSの着メロが鳴った。沖田番からの着信だ。
「おう。着いたか?」
《着いたさ。で、そっちに土方さん行かせたから》
「は?」
土方歳三。夜中までTV見てても平気だよって云ったら、あっさり。そろそろ着くんじゃ?》
 ――ああぁァ!?
 驚愕する耳に。
 ピンポーン――
 玄関のチャイムの音が、不吉に鳴り響いた。


■朝はあなたと「土方歳三」、どっちが先に起きてる?


 電話の内線の音が鳴る。
 前後して、PHSのアラームも鳴る。起床時間だ。
「…………」
 むくりと起き上がるが、隣りに眠る男は、身じろぎもしない。
 ――まァ、仕事ねェもんなァ。
 自分だって、仕事の日でなければ、昼ごろまで寝ているのだし。
 しかしながら、こちらにもこちらの事情がある。
「……おーい」
 声をかけて揺さぶると、煩そうに片眼が開いた。
「朝。起きないと、飯食いっぱぐれるよ」
「……んー……――」
 かなりの寝ぼけ眼だ。
 が、起きる意思はあるらしく、むくりと上体だけ起きあがった。髪が寝ぐせであちこちに撥ね、みっともないこと甚だしい。
 これが、幕末戊辰を戦い抜いた、新撰組の鬼の副長、かと思うと――
 ――鬼好きな女の子たちは、すげェガッカリするんだろうなァ……
 まァ、しかしそんなことは知ったことではないのだ。
 鬼に占領される前にと、そそくさとトイレへ入るその目の隅に、男がのっそり立ち上がるのが見えた。


■朝食どっちが作る? 何がいい?


 身支度を整え、階下へ降りる。
 居間に入ると、もう朝食の準備はできている――と云うか、両親は既に食べ終わっている。
「おはようございます」
 鬼――どうも、「土方」だの「歳三」だのはこそばゆい感じがして駄目だ――は、部屋に入ってくるなり、満面の笑みで挨拶をした。
「ああ、おはよう」
「おはよう、土方さん。よくお休みになれました?」
 愛想のよい鬼に、両親も普通に客扱いで応対している――総司の時とはえらい違いだ。
 ――まァ、外面いいもんなァ、鬼……
 カップを温めている湯を捨て、一緒にトーストを取って来ながら、ぼんやりとおもう。
 こっちだって人のことは云えないが、しかしいざ目の前で見てみると、見事としか云いようがない――その猫のかぶりっぷりが。
「ちょっと、駄目でしょ、土方さんの分も持ってきてあげなきゃ」
 母は――よくある話だが、男性には甘い――、そう云ってくるが、
「あァ、いや、結構です、自分でできますし」
 と、できた振りをする鬼もどうだと思わずにはいられない。
 ――いいじゃん、居候なんだから、やらしときゃ!
 大体、TVの中の時刻は、もう8時を7分過ぎている。こちらは時間との勝負なのだ、急ぐ必要のない相手――まして、それは鬼なのだ――などに、手厚くしてやる暇はない。
 まったくもう、だから早く起きなさいって云ってるのに、とぶつぶつこぼす母に任せて、ともかくも、大急ぎで朝食をつめこんだ。


■そろそろ学校(仕事)の時間です。「土方歳三」はどうすると思う?


「ごちそうさまっ」
 皿を片づけ、玄関へ急ぐ。
 と、母の代わりに鬼がついてきた。
「おう、行って来い」
 ――うむ、偉そうだ。
 別に威張っているわけではなさそうだが、何と云うか、素で偉そうなのだ。
 ――あたしも、傍から見るとこんなんなのかなァ……
 よく“偉そう”と云われる身には、ちょっとアレだが反面教師か――しかし、素なのだから、直そうと思って直せるものでもなさそうだが。
「……あたしの部屋の本は読んでてもいいけど、一応場所が決まってるから、あんまり散らかさないでよ」
 暇つぶしの手段を与えようと云うと、
「とっくに散らかってるじゃねェか、なァ?」
 と、耳の痛い言葉が返ってきた。
「煩ェよ!」
 思わず云い返すが、鬼はふふんと鼻先で笑うばかり。
 ――畜生……
 だが、この男に鎖をつけておけるわけもなし、まァ、総司よりは親ともうまくやれるだろうし、適当に放っておくしかない。部屋が(本で)散らかっているのは、確かに本当のことなのだし。
「とにかく、行ってきますっ!」
 叫んで飛び出し、自転車を駆る。
 その背中へ、
「おう、気をつけてな」
 鬼の声が、そんな言葉とともに追いかけてきた。


■学校(仕事)帰りに「土方歳三」とばったり! 相手の反応は?


「……何やってんの」
 家の近くの交差点で、ふと、向こうからやってくる鬼に気づき、自転車を止める。
「おう、帰りか」
 鬼――土方歳三は云って、片手に持ったメモを、ひらひらと振った。
「そこの“すーぱー”とやらで、春菊と水菜を買ってきてくれと、御母堂に云われてな」
 それは。
 品物自体は、江戸の人間にもわかりそうだが、しかし、スーパーでひとりで買い物、と云うのは、
 ――どう考えても無理なんじゃないか?
 江戸時代には、スーパーなんてなかったのだし。
 ここで行き合わなかったら、一体どうするつもりだったのだろう――鬼が、ではなく、母の方が。
 ――まァいいや。
 行き合ったからには、付き合ってやらねばなるまい。
 と云うわけで、スーパーで春菊と水菜、ついでに夜食用の隠匿物資(ラーメンやらポテチやら)を買い込み、外に出る。
 と、木枯らしがびょうと吹いて、思わず寒さに身震いする。
 それと同時に、
 ――おなか減った……
 自分がひどく空腹なのを思い出した。
「……ねェ」
「何だ」
「おなか減らない?」
 すこしの間の後、
「……減った」
 返った答えは明確だった。
「じゃあさ、あれ食べてこ」
 と指さしたのは、スーパーの敷地内に建つ、たこ焼き屋
「何だありゃあ」
 小首を傾げる男に、
「たこ焼き」
 と云いながら6つ入りを買い与え、自分の分も買うと、傍らの床几――としか云いようのない長椅子――に腰掛け、ぱくりとひとつ口に入れる。
 真似をするように、鬼もひとつをぱくりとやって。
「……あひィ!」
 熱々のたこ焼きで口の中を火傷しそうになったのか、涙目でこちらを見つめてくる。
「ははははは!」
 ばァかと云いながら噛みしめたたこ焼きは、やっぱりこちらも熱々で。
「……っちィ……」
 上顎の皮が、べろりと剥げ、そのあたりがひりひりと痛む。
 すこし涙目になりながら立ち上がり、傍の自販機に、口の中を冷やすための烏龍茶2本分の硬貨を投入した。


■家に帰ったけど、あなたはやることがあります。そんな中「土方歳三」はどうすると思う?


「……散らかさないでって云ったじゃん」
 部屋に入るなりそう云ってやると、鬼はぷいとそっぽを向いた。
 部屋の床には、あちこちに本の山。うず高く積むのは、確かに元からのものでもあるけれど、足の踏み場もないほどでは決してなかったはずだ――すくなくとも、今朝家を出る時までは。
「くっそ、帰ったらいきなりこれかよ……」
 ぼやきながら、山になった本を確認する。
 それでも一応、めちゃくちゃにはしないよう考えてはくれたらしい――山ごとの本は、最初の棚ごとのジャンル分けではあるようだ。ただし、その中での並びはと云うと、これはもう、ばらばらだとしか云いようがないのだけれど。
「だから、散らかすなって云ったのに……」
 ぶつぶつと云いながら、本を棚に詰めだすと、鬼は、
「ちょっと、下ァ手伝ってくるぜ」
 などと云いながら、そそくさと階下へ降りて行ってしまった。
 ――畜生、こういう時だけ……
 さっさと逃げやがって、とは思ったが、まァ、棚に詰めるだけなら、仕事の時よりは楽なのだ――新しく本が増えたりはしないので。
 今回は勘弁してやるか、と思いながら本を詰め終わると、
「御飯よー」
 ちょうどよく、母の声が呼ばわってきた。


■さぁ、夕食にしよう! どっちが作る?


 春菊と水菜で想像したとおり、今日の夕食は鍋だ――しかも、「炭があるから」と、火鍋になった。
「何です、これは?」
 行儀よく訊ねる鬼は、目の前の不思議なかたちをした“鍋”を、ためつすがめつ見つめている。
 まァそうだろう、江戸から来た人間でなくとも、この手の“鍋”を自宅で見るのは珍しい。タイすきの店などでは目にする人も多かろうけれど。
 スープで満たされたドーナツ型の“鍋”の中央にそびえ立つ煙突――うちの火鍋は、その中に炭を入れて使うタイプのものだ。ガスや固形燃料を使うものはそれなりに出回っているようだが、炭となると、そもそも需要がないらしく、母も、これを買いにわざわざかっぱ橋まで出かけたくらいなのだ。
「火鍋。砕けちゃった炭があるから」
「???」
 鬼は、一向要領を得ない顔をしている。
 百聞は一件に如かず、の言葉のとおり。なので、ぐつぐつと煮立ったスープの中に、水菜と春雨、豆腐を放り込み、浮いたところで、おろしポン酢に七味と分葱を入れたものをつけてやる。
「……」
「どう?」
「うめェな!」
 云いながら、鬼は、あらかじめ入れてあった鶏肉団子にも箸をつけた。
「うめェ!」
「お口に合って良かったわ。たくさんありますから、どんどん召し上がってくださいね」
 母が、にこやかに云いながら、春雨や人参、牡蠣などをどさどさとスープの中に投入した。
「おそれいります」
 対する鬼は、どこまでもにこやかだ――何かもう、この猿芝居に、段々げんなりした気分になる。
 とにかく、早いとこ食事を終わらせて、この男をどうにかしなければ。
 鬼の姿を眺めやりながら、そう決意して、もくもくと白滝を噛みしめた。


■夕食も終わり、テレビに夢中なあなた。「土方歳三」の反応は?


 片付けを終えて、自分の部屋に戻る。
 TVとPS2の電源を入れ、はじめるのは「戦国BASARA 2 武将外伝」――まだ、浅井夫婦のEDを見ていないのだ。
 が、どうしても愛の差故に、選ぶのは――
『いきが良いじゃねぇか!』
「きゃーっ♥ ちかちゃーんっ♥♥」
 長宗我部元親――四国を統一した、イカすアニキである。BASARAでは、このちかちゃんが自分的お気に入りなのだ。
 いや、小十郎でもいい、伊達の殿も好きだ、が、ちかちゃんはひどく誰かを思い出させるのだ。例えば、長州で胸を病んで死んだ若き志士であるだとか、箱館の千代ヶ岱陣屋で散った老将であるだとか。どこがどうと云うわけではなく、まとう雰囲気が、程度なのではあるが。
 しかしながら、ちかちゃんは、伊達の主従に較べて、どうしても遣い辛い。技が直線的過ぎたり(同じ理由で、上杉謙信も微妙だ)、入力から技発動に間があったりするので、練習も兼ねて使うことになりがちなのだ――と云うか、伊達の殿は、既にLv.が90overなので、これ以上上げても、という気分なこともある。
「……何だそりゃあ」
 本願寺で、僧兵どもを血祭りに上げている、兼、金稼ぎに血道を上げていると、鬼が声をかけてきた。
 先刻から、じっと黙って画面を見ていたのだが、遂に黙っていられなくなったらしい。
「ん〜? 戦国BASARA
「て云うか、そもそもTVで何やってるんだってェ訊いてるんだが」
「あ?」
 そうか、そこから説明しないとわからないか――そうだよなァ、江戸時代人だものなァ。ゲームどころかTVだって知らないはずだもんなァ。
「これはゲーム。TVに繋いでやるんだけど――このコントローラーで、こう、動かすと、……ほら、画面でこの絵が動くでしょ。で、これで、この――と、ゲージのついた敵兵を示し――敵を、△か□を押して倒すわけ。△の方が攻撃力はあるけど、□の方が技に癖がなくて使い易いかなー」
「ふんふん」
「で、下の、このゲージがいっぱいになったら、○を押して、必殺技がだせるのよ」
「ほォ。どんなか、ちょっとやってみろ」
 偉そうに云われたが、ここは黙って頷いておく。
 ゲームを再スタートし、いざ金稼ぎの旅へ。
 雑魚僧兵どもと、葛籠兵を薙ぎ倒し、いざ、最奥のステージへ――敵は、本願寺顕如
『拙僧は――』
 などと云う名乗りのムービーはさっさとスキップし、貯めておいたゲージで、バサラ技を発動する。
 あっと云う間に、顕如の体力ゲージが半分になった。
 と、
『金じゃあ! 金じゃあ!』
 顕如が箱から金をばらまきはじめ――味方がほとんど、顕如側へ寝返ってしまったのだ。
「うぉ!? やべェんじゃねェのか!」
「へーきへーき」
 と云うか、これからが金の稼ぎどころだ。
 追撃してくる顕如には構わず、ひたすら裏切り者を薙ぎ倒してゆく。耳に心地よい音とともに、みるみる貯まってゆく小判の数。
「ふふふふ、目指せ五千両!」
 ワンステージで四千両越えすれば、トータルでは結構な金額になる。ここで稼いだ金で、次は、
 ――是非とも小十郎の武具と防具を……!
 結局。
 顕如の猛攻に堪え切れず、再びバサラ技を発動させてステージをクリアしてしまった――しばらく粘って、獲得した小判は、結局四千両足らず。ボーナスを入れても、上位の武具には手が届かない。どうも、籤運も悪いようだ。
「……ちぇーっ」
 と云って、コントローラーを放りだすと、
「俺もやる」
 と、鬼がそれを取り上げた。
「あ、じゃあ、伊達の殿がいいよ、レベル高いから使いやすいよ」
 そう云って、「自由合戦」で、伊達政宗を選んでやる。
『OK, Are you ready?』
 声とともにステージ選択――ここは、上田城電撃戦くらいがいいだろう。
「っしゃあ!」
 鬼はにやりと笑い、武田の赤備を攻略しにかかった。



 そして、1時間の後。
「ぐおぉ、汚ねェ!」
「レベルはそっちのが高いじゃん!」
 などと云い合いつつ、画面内で殺し合いをする伊達の殿と小十郎の姿が――


■なんとお風呂で「土方歳三」と遭遇! どうする?


「うー、さぶ……」
 と呟きながら、洗面所の戸を開ける、と。
「あ?」
 間抜けな声を上げて振り返ったのは、鬼。
 あ、はこっちだ、と云うか、
「……何か穿けよ!」
 何で、まっぱで鏡覗いてやがるんだ! つーか、自分もさっさと戸を閉めろ!
 慌てて戸を閉めると、
「いや、俺ァ今から入るとこだがな?」
 中から、含み笑う声。
 ああ、畜生、まったく立派に“男”だよ! 思ったよりもしっかりした体格だったよ! 筋肉だってしっかりついてたさ!
 だからって、一応恥かしげとか何とか――
 ――ないか。男だもんなァ……
 父親と云い弟と云い、そしてこの鬼と云い――どうして男連中と云うのは、やや露出過多のきらいがあるのだろう。
 どうなんだろう、鬼も、こう、潔く素っ裸で家の中をうろついたりするのだろうか――だとしたら、それは父親や弟もびっくりなのだが。
 ――とりあえず、あたしにァできねェなァ……
 イマイチ、このあたりが理解の範疇外なのは、男女の別の故なのか。
 溜息ひとつをこぼし、とりあえず撤退する。
 鬼が風呂から出てきたのは、たっぷり1時間ちかく経ってからのことだった。


■「土方歳三」と一緒に寝ることに! あなたはどうする?


 午前1時、まだもくもくと「戦国BASARA」をやっている――対戦していて、何の叫びもないのは、流石に隣室の親には五月蝿かろうと思うからだ。
 もっとも、
「……ぐおっ」
「……うがっ」
「……げっ」
「……くそ」
 声をひそめているだけで、何かを声にしていないわけではなかったが。
「……そろそろ寝るか」
 と鬼が云いだしたのは、午前2時をまわる頃。
 眠くなったのではなく、指と眼が限界にきたのだ、きっと。
「そだな」
 頷いたのは、翌日は、沖田番と日野へ散歩に行く予定があるからで。
 だが、
「……ここで寝るのかよ」
「この夜更けに、冷てェ布団に俺を寝かすつもりか? おめェ鬼だろう」
「どの口が云うか、どの口がー!!」
 大体、風呂から上がった段で、こっちの部屋でBASARAをやると云うのが間違いなのだ。冬のこの時期、誰だって冷たい布団にもぐりたいわけはないのだし、温まったうちから足だけでも突っ込んで、あらかじめ寝床を温めておくのが、正しい冬の夜の過ごし方だと思うのだが。
 第一、ひとのことを「鬼」だなどと、
 ――おめェにだけァ云われたかねェや。
 と呟く横で、鬼はもう、もそもそと掛布を被っている。
 あァ、もう、仕方がない。
 いろいろと(総司から)聞かされている、鬼の寝相のあれやこれやが気にならなくはなかったが――自分がベッドから追い出されるのも業腹で、こちらももそもそと布団をかぶり、部屋の電気をリモコンで消した。


■お休みなさい。では次に妄想させる人 を何人でも! キャラも指定して下さい!


 朝目が醒めても、鬼は隣りで眠っていた。と云うか、絡みついてくる腕が苦しい。
 ――こ、これが噂の……
 頭を締め上げられたり、首を絞められたりした人間が続出したと云う、あれか。
 ――首んとこに入んなくて、本当によかった……
 などと胸をなで下ろしている暇はない。時計を見ると、いつもの休みの朝よりもかなり早いが、もたもたしているとすぐに待ち合わせの時間になってしまう。きりきり起きて、着替えなくては。
「もしもし、そろそろ起きないと、遅刻するよー」
 云って揺さぶってやって、あとは昨日の朝の繰り返しだ。
 朝食をとって、いざ出発、と思ったところで。
「……おい、このジーンズとやら、股座がきついんだがな」
 身長が大して(5cm差)変わらないので、自分のもので平気だろうと思っていたが――どうやら、メンズとレディースは、そのあたりのカットが違うらしい。鬼は、もぞもぞと心地悪げにしている。
 コートやシャツは、弟(身長175cm)が家に置き去りにしていたものを着せてOKだったが、ボトムはそうもいかなかったようだ。
 時計を見る――約束の時間に待ち合わせ場所に着くためには、もうそんなに余裕はない。が。
「――ゆ、ゆにくろ行こう、ゆにくろ」
 時間もないが金もない。ならば、近所のゆにくろでボトムを買って、そのまま店前のバス停からバスに飛び乗る、のが正しいだろう。
「今から買いに行くのか? あんまり時間ねェんじゃあねェのか?」
「だから、ソッコーでいくんじゃん!」
 叫んで、コートとバッグ、鬼の手をひっつかみ。
「行ってきまーすっ!」
 叫びとともに、家を飛び出した。


……to be continued 「休日編」


† † † † †


……うぅむ、やっぱそんなには可笑しくないなァ。
鬼と私はわりと似たタイプなので、あんまりハチャメチャにならないと云うか、お互い猫をかぶっちゃうので、様子見になりがちと云うか。
これでも情け容赦ない感じにはしてるんだけどなァ、鬼が突っ込ませないんだよなァ。
まァ、同じシチュエーションなら、あたしも鬼には突っ込ませませんが。
あと、『戦国BASARA』に血道を上げてますが――実は、セリフは多分『2』のもので、『英雄外伝』じゃあありません。が、今PS2壊れてるので、セリフの確認ができなかったの……PS3買ったら(え)書き直すかもです。


でもって休日編ですが。
勝手に設問のない休日に、一緒に日野へ行ってみようという――めっさ目立ちますか。しかし、幸い(?)我々の休日は、世間の平日なので、行っても日野本陣と石田寺と高幡不動くらいだし、変装(?)もしていくので、きっとばれないはず――つーか、鬼はともかく、総司は顔も知れてないしなー。みんな小柄な美少年だと思ってるから、全然ばれないと思いますわ。
そっちもたらたら書きますよ。


さてさて、では今年もこんな調子で参りますので、どうぞ宜しくお願い致します。


次は、「休日編」か、鉄ちゃんの話最終話で。