小噺・閑話休題 其ノ弐

「(障子をすぱんと開けて)……おい、総司」
「(饅頭を咥えながら)何ですよ、源さん?」
「おめぇ、歳の居場所知らねぇか」
「土方さん? 部屋じゃあねェんですかい?」
「いねぇから訊いてるんじゃねぇか」
「知りませんねェ。――姐さんところじゃあねェんですかい?」
「二条には、もう使いをやった。ここ暫くは、あっちにゃあ顔出してねぇそうだ」
「ははァ。――そんなに大事な用があるんで?」
「(眉を寄せて)……あの野郎、黒谷にやる報告書投げて、どこぞに消えやがった。今日中に出せってぇ、会津方から云われてるってぇのに……」
「ははァ。そりゃあ一大事ですねェ(と云いながら、袋から饅頭を出して、ぱくり)」
「(じっと総司をみつめて)……で、どこだ」
「は?」
「歳の奴ぁ、どこに行ったかってぇ、訊いてるんだ」
「知りませんよォ(にこ)」
「……」
「知りませんって(にこにこ)」
「(目を据えて)……総司」
「もォ、知らねェって云ってるじゃあねェですかい(にっこり)」
「ほぉ。――ところでな、総司」
「はい?」
「こないだ黒谷に行った時に、珍しい菓子を頂戴したんだが」
「……(ぴくり)」
「らくがん、と云われたが、これがな(懐から包みを取り出す)」
「……どんな菓子なんで?」
「ああ、普通のは、麦粉やら何やらが混ぜてあるんだそうだが、これは、讃岐の三盆糖だけを打ちかためたものだそうでな」
「……(ごくり)」
「俺も、ひとつ食ったが、たいそう甘くて美味かったぞ(掌の上で、白い菓子を転がす)」
「……へェえ」
「……総司」
「……はい」
「で、歳は?」
「…………」
「総司、この菓子はな、滅多なことじゃ口には入らねぇ代物だぞ?」
「………………」
「歳には黙っててやるから」
「……えーと」
「おう」
「北野の上七軒の」
「ほぉ」
「最近なじみの、芸妓がいるじゃあねェですか、君何とか云う」
「ほほぉ」
「……まァ、そんな?」
「あぁ、よくわかった(頷いて、総司の手にらくがんを落としこむ)」
「わァ♥」
「ちょっと迎えに行ってくらぁ」
「はい、行ってらっしゃい(らくがんをひとつ、ぱくり)」
「歳には、おめぇに聞いたと云っといてやるぜ(にやり)」
「!!!!! 源さんの嘘吐きーっ! 鬼ーっ!!!」
「はっはっはっは!(笑)」


† † † † †


阿呆話in京都時代。今回は鬼は名前だけー。


実は、この話、元ネタは沖田番からなのですが。
元のはキャストが違いまして、小十郎&猫御前のコンビでした――小十郎は源さん、猫は総司で配置換え。まったく違和感ありませんね(苦笑)。そう考えると、この人たち(含む名のみの人)、いろんな意味で進歩がないと云うか――ははははは(苦笑)。
しかし、ホントは書類はギリで締切には間に合わせたんじゃないかなァ、鬼。ただ、中身がスカスカだったとは思うけど。つーか、いわゆるビジネス文書の雛型の域を出ない書類だと云うか。定型文どおりの報告書書いてそうだよね。まァ、人のことァ云えないんですけどもね、私もね……(苦笑)


しかしまァ、源さんも登場回数が増えてきたので、そろそろ一ちゃんや山南さんでも出すかなァ。
しかし、山南さんはともかく、一ちゃんは風.雲.新.撰.組のアレなので(でもって、行動が時々素っ頓狂)、世の斉藤一好きを敵に回す予感はするんですけどね。
あと、今蓄積中のネタは、以蔵から見た勝さんの話と、龍馬の話、かっしー一党の話と星さんとか安富とか相馬とかの話とか。まァ、気が向いた順に書きますよ。
つーか、他の話を進めてる間に、またネタが転がりこんでくるかもしれないしね。


えーとえーと、例のIZOの芝居、昨日の新聞の舞台評がイマイチで、うーん……
構成はいいが、話に深みがないとのこと。上っ面撫でただけってことですかい、そりゃあ。
うーん、そうなると、S席¥11,000-は高いなァ。つーか、自分で金出して見に行った芝居なんて、実は四季と、暴れる将軍様(サンバ目当て)くらいなんだよねェ。ミュージカルは好きだけど、ストレートプレイはやや苦手(割と小劇場系をちまちま見たせいか、過剰な演技が辛くって)なので……しかし、こないだタダ券で見た筧さんとあややのミュージカルも微妙だったしなー。
職場裏の土佐もの舞台はよりキツそうなので、今回は流すかな……


えーと、とりあえず次の更新は、多分鬼の北海行で。
その後バトン休日編で、それからルネサンスです! そろそろ、小話(読切)も混ぜていきたいですね……