「Warriors」観劇記。

えーと、休日編は1回だけパスして(あたしだって、たったと終わらせたいんだ!!)、本日見てきたお芝居の感想を。
昨日から池袋の東京芸術劇場小ホール2でやってる、劇団め組の「Warriors」です。
ネタばれを若干含みますので(でも折り畳まない)、これからご覧の方はご注意を。
あ! あと、毒も吐いてますので、それもご注意!


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えぇと、今回は山南役と一緒でした、と云うか、芝居とか映画とかは大抵山南役とだ、そう云えば。沖田番はお留守番。


とりあえず、開演のかなり前に山南役と落ちあってお茶の後、チケットの引換(招待券だったの)をし、ホール内へ。I列の右手――それなりに後ろか(まァ、これが割と幸いしたと云うか……)。
ほぼ定刻で、舞台開演。
お話の内容的には、幕末の豊前小倉藩の家中の騒動と云うか何と云うか。まァあれだ、佐幕の勤王のってェあれこれですね。小倉は門司の港のあるところで、要は長州・下関が目と鼻の先(本当に!)の土地なのですが。


えェと、まずもって、この話の主役って誰だよ? と云う。
貰ったチラシのキャスト一覧を見ると、蒲生鉄之進と新宮乙之介がW主人公っぽく見えますが、最初に出てくるのは、家老の息子・島崎志津摩とその幼馴染二人で、やや軽い。主役(?)の乙之介が出てくるのが、桂さんの出てきた後(しかも脇っぽい役回り)、もう一人の主役(?)鉄之進に至っては、話が後半に突入してから(第三景――その前に二景五場の場面転換有)と云う。
それから、乙之介と志津摩の幼馴染ふたり、および長州の下っ端ふたり、の見分けがイマイチつかず。面がまァまァなのが揃ってるのかどうだか、とりあえず混乱しました――それを云うなら、桂さんと総司(!)もなんだけど。


殺陣は――山伏・沖ノ島有緜(福岡に、沖ノ島って島がありますよね、そう云えば)の棒術が、一番しっかりしてました。っつーか、あれは実戦でもある程度いけそう。但し、スピードがもうちょっとないと、剣には勝てないな。乙之介と総司は微妙、っつーかまァ、殺陣だからねェと云うか。
しかし、ここは話の内容と噛んでくるところなんですけども、一体みなさん、人斬りをどんなもんだと思ってるんですかね? いや、何か最後の方で、総司が「相手が人間だと思ったら斬れないじゃないか」的なことを云うのですが。
馬鹿云うなよ、人間だと思ってる相手を斬れるから「人斬り」って云うんじゃねェか。相手を人間だと思わないから斬れるってんなら、そんなものァ普通の人間なんだよ。さっきまで一緒に呑んでた相手でも、必要とあらば斬れるのが「人斬り」なんだぜ、と思っちゃった――まァ、お芝居なんだけど。


小倉藩の若者の阿呆な熱狂は、ある意味幕末の勤王志士たちの熱狂に通じるものはあるなと思いましたが、しかし、傍から見てどれほど阿呆だろうと、あの時の若者たち本人は、かなり真剣だったとは思います。
そう云う意味では、このお芝居の中の若者どもは、真面目さには欠けるわね。これが「今のニッポン」(コピーより)だと云うのなら、なるほど、彼らには「見えていたのかも知れない」のですが。


どうもね――当然だけど、生ぬるーいメッセージだったなァと云うか。
殺生はいけない、考えすぎると自分の考えしか見えなくなる、etc.――それはまァ、そう云うメッセージもありだけどさ、それを、幕末を舞台にして、桂さんとか総司とか出してやる意味ってあるのかな?
まァ、百歩譲ってあるとしても、そもそも、あれを舞台でやる必然性もわからん。あれなら、もうちょっと膨らませて、主役をひとりに絞って、映画でやった方が良かったんじゃないかなァと思わずにはいられませんでした。
っつーか、だから主役誰よ……
あと、何か知らないけど、ラブを強調しすぎです。っつーか、有緜と伊賀娘のラブと、鉄之進と梅吉のあれこれはともかくとして、鉄之進の妹・紫と総司のラブは、必要なもの? 何か、男女と見ればラブにしなきゃ的な感じで、正直ちょっとうんざりしましたよ。


とりあえず、乙之介はカッコ良かった。沖ノ島有緜と中小路栄承、それから筆頭家老(だよね?)の小宮民部のひとと、姐さんズ(正室・貞と芸者の梅吉)も良かったですよ。
それ以外はなァ――っつーか、本当に総司の存在の意味がわかんない。話的にもいなくていいし、設定としても激しく不自然(小倉とかに行くなら、総司じゃなくて崎だろ)。
あと、勢力図が入り組みすぎてて、1時間50分の芝居の中では、これきちんとやるのは無理です。小倉の佐幕派と勤王派と、勤王山伏の一派と、長州と新撰組ってさ――一派につきひとりだとしても、5人重いのがいるんだよ。それで2時間足らずは無理だ! すくなくとも、舞台では無理だ!
っつーか、ぶっちゃけ、「水戸×門」や「暴れん×将軍」的、“幕末痛快時代劇”の方が良かったんじゃないのかね。勧善懲悪的剣劇ものにした方が。
幕末はロマンなのでみなさんやりたいんだろうけど、正直、善悪正邪の別も判然としないようなところなので、そういうのはちょっとお芝居には厳しいと思いますよ。すくなくとも、真っ向から行くのは厳しいよ。話としての筋は通そうよ、な?


構成について云えば、流れは滞りなかったのですが、やはり主役級の登場が遅い(っつーかだから、主役ホントは誰よ?)のと、EDが冗長なのが目立ちました。できれば、藩主が亡くなる云々のあたり(ドタバタ入れる前)、そうでなければ伊賀ものの娘の一礼の直後、最悪でも乙之介と総司の立ち会いの一合目手前でアウト、にしてほしかったなァ。
場面転換は素早くて良し、音響はやや謎(選曲と、挿入のタイミングのチョイスが)。
シリアスとドタバタの配分は良い、が、シリアスの部分がイマイチ散漫(理由は上のとおり)なので、メリハリ的にはいまひとつ。
とは云え、私的には、ドタバタもほとんど笑えませんでしたが。


しかしまァ……
これ見たお蔭で、5月あたりに予定している鬼の話のミュージカル(主役の歌が下手)が、ますます不安になって参りました。
や、まァ殺陣はアレとして、お話が――しかしまァ、あっちは鬼が中心だし、視点のブレは起こりにくいかな。あとは、どれくらい話を整理して作ってくるかだな……不安……


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さてさて、次はバトン休日編。次こそ最後にしたいですね……