「堕天」観劇記。

はいはい、キリがいいところで、本日見てきた新撰組関連の芝居の感想を。
東京芸術劇場小ホール1で上演中の、and endless「堕天」です。実は、明日は続編の「神殿」なんだ……
とりあえず、ネタばれを含む&毒吐いてます(しかし畳まない)ので、ご注意!


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今回も、山南役と一緒に観劇。っつーか、山南役がよく(?)行ってる劇団らしいんだよね。小劇系。席は最前の端っこ。
チラシとか見ると、上演回数はめ組より多い――手広くやってる劇団らしい。
えーと、話自体は、池田屋事件から始まって、板橋のかっちゃん斬首でまァおしまいと云うか?
話の筋は結構トンデモ系で、まァこの長い時間(史実で云うと、4年くらい?)をよくも3時間にまとめたもんだと、そこは感心するのですが。


正直に云うと、主役の鬼に魅力がない。ただ単にがなってるだけの、チンピラのすぐ上の下っ端ヤクザ的な感じ。かっちゃんもイマイチ魅力に欠けるのですが、鬼は本当に駄目
総司+一ちゃん(女の子!)、ぱっつぁん+原田はまァまァ。原田はカッコ良かった――本物よりカッコいいかも(笑)。
何故か生きてる吉田松陰(しかも女)、何故か生き延びてる久坂玄瑞、逃げない桂さん、モヒカンのどどんにガラの悪い大久保(一蔵)さんと、ホントに脚本はトンデモ系。勝さんとかっちゃんがため口きいてたりね。


しかし、最大のアレは、××××こと龍馬でしょう! (流石にこのネタばれは伏せておく)
以蔵と龍馬のラブ、っつーか、龍馬のキャラ立てはよく出来てた(役者さんも上手かった)。ぶっちゃけ、龍馬と以蔵中心で、新撰組なしでもいいんじゃねェかと思いましたよ。
松陰先生は、役者さんは上手かったけど、どうも私、『爆笑新撰組』(by光栄)の「タマ取りじゃ、死んでこんかいわれェ!」って云うのがイメージなので、ああ云うやさしいお母さん的なのはちょっと……
って云うか、まァ話をまとめるためとは云え(多分)、鬼と総司と一ちゃん、村塾一派、龍馬と以蔵、が全部松陰の門下生ってどうよ
まァそれもトンデモ系だからってことでスルーしたとして、しかしながら、鬼と松陰の袂を分かったわけとか、何で総司と一ちゃんが鬼についてきたのか(鬼に魅力がないのはこの際措いたとしても)とか、龍馬と松陰のアレコレとか、勝さんとかっちゃんがため口のわけとか、説明一切なしって不親切ですね。っつーか、小劇系の常(なの?)でワンシーンが冗長なので、そこ削って、こう云う説明に充てりゃあいいのに、とは思いました。


でもって、龍馬+以蔵は良かったんだけど、本当に鬼が駄目
っつーか、最後の方、総司を殴ってるとこなんか、はっきり云って鬼の行動に共感なんかできないよ。こんな男に、一体誰がついてくってんだ。
それ以前にこの鬼、誰かの上に立てる男でもない。“鬼”とは云っても、よくある“鬼軍曹”的な“鬼”であって、“鬼の副長”の“鬼”ではないね。
いや、ホント、見た方おられましたら訊いてみたいですが、この鬼、カッコいいと思います? 私はちっともなんですが。
元から鬼を“カッコいい”とは思わないんですけれども、この鬼は、それ以前の問題だね。男としてカッコよくない。
主役は、脚本と演出を兼ねてる(ちなみに、私の大学の後輩だ――被ってないけど)のですが、どうもいろいろ腑に落ちない。


話以外のところを云うと、場面転換や場繋ぎは、流石に上手い――ダンスとかで繋いでいるのは、商業に近い感じが致しました。
殺陣は、ほとんどダンスも同然。ぶっちゃけ重みはない。まァ、エンタメっぽくてこれはこれでいいですが。
音響もセットも金かけてんなァと云う感じ――ただ、選曲がアレ(サ.ザ.ンとかユ.ー.ミ.ンとか安.全.地.帯とか)で、どうも学芸会的な仕上がりなのはどうだろう。
お涙頂戴の場面がうんざりするほど長い。山南役は、そう云うシーンで、役者がマジ泣きするのはなしだろうと云っていましたが、私はどうでもよかったけど、とりあえずうんざりしました。
しかし、あれでも今どきの若い子は泣けるんだねー! 吃驚! 総司やかっちゃん、松陰や龍馬の死ぬところ、後ろや横から鼻をすすり上げるような音が――マジですか。アレで泣けるんだ、すげェ!
あと、脚本、マニアックなところも突いてる(かっちゃん引っ立ててく乾さん=板垣退助とか)のはいいんですが、適当に言葉つかってるところがちらほらと。板橋の刑場に殴りこみに行く鬼が「東山道を突破しました!」って! (東山道は、近江〜出羽までの各国、及び、そこを通る街道のこと) 「将軍よりの勅令」って! (勅令は、明治以降、天皇より出された命令のこと)
トンデモ系だからって、こう云うことが許されると思うなよ。っつーか、普通の平易な言葉じゃいかんのかね。ボロ出すよりは、そっちの方がなんぼかましだろ?


っつーかね、ホントにぶっちゃけちゃうと、この話、今まで観た中で、一番胸糞悪ィ話だなァと思いました。
あ、そうそう、あと何かエ.ヴ.ァ.ン.ゲ.リ.オ.ンとかそれ的なノリで「堕天が堕ち、神殿が現れる」とか云うのがキーっぽく出てくるんですけど、あれの説明もなかったな、そう云えば……「堕天」しか見ない人もいるんだし、すこしくらいは説明しろよ、と思うのは間違ってますかね? 何か、全体的にそういう不親切さが目立ちました。
確かに龍馬は良かった、けど、それだけで何もかもチャラにできると思うなよ……?


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それにしても、これで、まだ明日「神殿」が残ってるんだよな――ところで、明日も席は最前です。たまりませんな。
と云うわけで、この項終了で。疲れきってる中で書いてるので、後日修正しないとは限らない、が、今はこれで。
明日は「神殿」の感想〜。