「神殿」観劇記。

っつーわけで、新撰組関連の芝居Part2の感想を。
東京芸術劇場小ホール1で上演中の、and endless「神殿」です。
またしても、ネタばれを含む&毒吐いてます(しかし畳まない)ので、ご注意!


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実は今朝、昨日の観劇記を読み返して、結構感情的に書いちゃった(ちょっと手厳しすぎ?)かなと、ちょこっと反省のようなものをしてみたのですが。
今日の舞台見て思いました、あたし絶対間違ってねェ


さて、2日目「神殿」ですが。
今回は会津箱館のお話、のはずでした、が。
ちょっと、あの場所ホントはどこよ? 箱館とかじゃないだろ、ホントは。


正直云って、今回も鬼が主役である必然性が見当たらない。まったく魅力的に見えるエピソードもなく、みんなが鬼を慕う理由も(芝居的に)わかりませんでした。
相変わらず、怒鳴りゃあいいと思ってる感のある主役。まったく鼻持ちならない鬼で、笑うしかねェって云うか。
やけに熱血な釜さん(こんなんだったら、箱館戦争のラストはもうちょっと違ったかもなァ)、ヤクザじみた大久保(一蔵)さん+西郷どどん――出てくる必然性って、な、一ちゃん、ぱっつぁん、原田、崎、イメージ違い過ぎな島田魁+中島登(入れ替わってたらちょうどいい)、相馬は、出だししばらく鉄ちゃんかと思ってました。何だ、あの変に前向きな相馬って。
この段で、もうかなりぐだぐだですね。


っつーかこの話、鬼なんぞ脇にほっぽっといて、勝さん主役っつーか視点キャラで押し進めた方が良かったんじゃね? そしたら、龍馬の件も、松陰先生の件も、鬼の件も、邑葉様の件も、何もかもスムーズに運んだと思うんですけどね、芝居の流れとして。
まァ何か、主役兼脚本兼演出のひと(大学、在学期間被ってるっぽい)が鬼好きだから+もうじきそいつが35になるから、鬼の話をやりたかったんじゃないか(by山南役)ということらしいんですが――本当に鬼を軸にした話がやりたいんだったら、京都では新撰組まわりだけ、会津箱館では、箱館政府主要メンバーだけ、で話を作るべきだったと思います。
どっちでもいいんだけど、とにかく「堕天」「神殿」の二本通じての、がんとした太い軸がないので、結局全部がグダグダになって終わった感あり。鬼か、勝さんか、どっちかで筋を通してほしかった。
この辺、劇団主宰と脚本、演出、主役が同じ人間ってのは激しくヤバいよね。止められる人間がいないって云うか。っつーか、意見する人もいないんだ? ヤバいよねー。はははん。
(主役以外の)役者さんは悪くはないのに、もったいないなーと思いました。


……まァ、もう史実云々は(トンデモ系だから)激しく措いとくとして、今回(「神殿」)一番苛ついたのは、桂さん以下薩長土肥(肥はいなかったなァ、土は相変わらず乾さん=板垣退助が出てましたが)の扱いと云うか。
って云うか、維新志士の理想とかそう云うのが、科白とか行動とかに全く見えてこなかったこと。……これじゃあ、単なる悪役じゃん。
正直、私はいろいろ引っ張ってるので、もしかしたら幕末維新を完全に冷静には見られないのかも知れないけども、それにしても、薩長のあの扱いはあんまりだ。薩長土肥も、新撰組も旧幕軍も、自分たちの信じるより良い未来のために生命張ったってのに、この話からはそれがまったく感じられなかった。
「堕天」はまだ良かったですよ? 龍馬がいて、松陰先生がいて、理想と手段の違いのぶつかり合い的なところもいろいろあったしね。
だけど、「神殿」は駄目だ。桂さんとかどどんとか大久保(一蔵)さんとかの思い描いた「新しい国」(「神の国」とか云うフレーズを安易に使いやがってましたが、それもどうだ)の、イメージの片鱗すらも見えなかった。「堕天」では、あんなに「新しい国が」とか云わせてたくせにな。
っつーか、本当に「神殿」は、単なるチンピラ同士の縄張り争い的な感じしかなく、とても理想に燃える男たちの話には思えなかった。
「堕天」もややそうでしたが、「神殿」はホント、吐気がしましたよ。冒涜するなよ、と云う気分でいっぱい。マジで。


……えーと。
細かいところを突っ込むと、昨日の科白のアレ、“勅令”ではなく“勅命”だった模様――しかし“天皇の命令”なのは同じことだけどね。
あと、原田は十番隊組長です。七番隊は谷三十郎。それくらいはねェ。
釜さんの“最強艦隊”、蟠龍と回天があって、開陽(幕軍最強艦船!)がないのは、座礁黒歴史だから?
それを云ったら、山南さん、高台寺党と油小路の惨劇、なんかが出ないのも、黒歴史だからなのか?
まァ、蝦夷とかマイナー(好きな方、すみません/汗)だから、史実とか突っ込まない人がほとんどだろうけど、それにしても話が無茶だ。何で鬼がそんなウェイト重いかな。鬼、陸軍及び箱館奉行並で、幹部の中では軽い方だったんだけど。
あ、あとこれは云っておきたい、会話が怒鳴り合いばっかりで、正直それがキツかった。単にがなってるだけなんだもん。恫喝でも何でも、もっとスマートにやって戴きたいですね(にっこり)。
そう云やァ結局、例のキー「堕天が堕ち、神殿が現れる」って、何だったの?


とりあえず、とおしての感想は「けったくそ悪ィ話」でした。
さぁて、下旬に行く予定の芝居はどうかな……


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と云うわけで、毒まみれの観劇記は終了。
次は、まだルネサンスではなく――鬼の話でもないですよー、ふふふふふ……