小噺・千客万来
「……さァて、どうしたもんですかねェ、土方さん」
「何のことだ――ってェ、もしや阿部さんのことか」
「えェ、元・老中首座ともあろうお方が、俺らなんぞの屯所に逃げこんじまったんで、川路さんの下あたりが、返せってェ大騒動じゃあねェですかい」
「まァ、今いる中じゃあ、阿部さんが一番偉ェお人なのァ確かだが――ご本人が、あっちにいたくねェとおっしゃるんじゃあ、引き渡すわけにァいかねェなァ」
「まァねェ、あんなやつれておいでのお人に、“ご決断を!”も何もあったもんじゃあねェでしょうからねェ」
「まァ、徳川の御世ならあれだろうが、冥土にゃあ仰ぐ天もありゃしねェからなァ。……ともあれ、阿部さんがご自分でお決めになられるまでァ、たとい老中連と云えども、あんお人をどうこうさせやしねェよ」
「あんたァ、阿部さんにえらく肩入れしてますからねェ」
「だってよォ、俺ァ、阿部さんを見てるとこう、守って差し上げなきゃあならねェなァと、いっつも思うんだよ」
「まァ、阿部さんァ華奢なお人ですからねェ。まして、俺らみたいな荒くれもんの中にいると、本当にお姫さまみてェに見えてきますからねェ」
「うん、だからな、気力を取り戻されるまでは、俺たちが阿部さんの盾になって差し上げなきゃあならねェ。そうだろ?」
「まァ、そうでさァねェ。――それはそうと、こないだの妄霊狩りで怪我した野村と相馬の隊ァ、しばらく動かせねェでしょう。昼の巡察はどうしたもんですかねェ」
「あァ……頭が痛ェ話だよなァ、夜回りの連中ァ、昼に回すわけにゃあいかねェし――」
「そう云やァ、こないだ秋月さんと内田さんが、“お手伝いできることがあれば、何なりと”とか云っていかれましたぜ」
「ありがてェが、中々頼むにゃあちっとなァ」
「何云ってんです、玄蕃さん巻きこんでる段で、そんなのァ今さらでしょう。――そうそう、ここんとこ、会津の山川さんが入り浸ってるじゃあねェですかい」
「あァ、そう云やァ……」
「聞いた話なんですけどね、山川さん、会津の偉いさんと大喧嘩して、部下もろともこっちに転がりこんできたっぽいんですよねェ」
「ねェ、ってェ、そりゃあ一大事じゃあねェのか。会津の上っ方と揉めたら、山川さん、扶持ァどうなさるおつもりなんだ?」
「や、だから、うちでだらだらしてるんじゃねェかって。うちも、いつでも人手が足りねェでしょう? で、山川さん的にァ、声をかけられんのを待ってるんじゃあねェかなァと」
「かけていいもんなら、がんがんかけるぞ? 何しろ、二隊も動かせねェんじゃあ、どうにもならねェしな。夜回りにしても、おめェと斉藤、河上さんと服部の隊で、四つしかねェときてやがる。妄霊ァ、そんなもんじゃあ抑えきれねェってェのになァ」
「で、あんたァ、杉んところから奇兵隊預かってきたんですかい?」
「あァ。妄霊狩りやるってェんで、それじゃあうちで研修受けさせるかってェことんなってな。名前も変えさせたぜ。“鬼兵隊”だ」
「あんたァ、それァ……(呆れ)」
「銀魂と同じだ、いいだろ? (にやにや) ……で、杉を総督にするようになったんで、連中ァ杉の直下だ。だから、うちが預かるってェのも、一発で通ったってェわけさ。まァ、これで今後は、いろいろ動きやすくなるだろ」
「まァ、そうでしょうねェ。――で、どうすんです、山川さんァ入れるんで?」
「そのつもりがおありなら、もちろん入れるさ」
「どうせなら、秋月さんや内田さんにも声かけて下せェよ。あん人たちも、結構遣えるんでしょう?」
「あァ、まァなァ。……うちの人員はそれでいいとして、川路さんとこの下あたりを、どうやって抑えるかだよなァ。正直、俺ァ成り上がりだと思われて馬鹿にされてるんで、あんまり役に立たねェんだが」
「何云ってんです、土方さん。こう云う時こそ、暇隠居をうまく使わなきゃあ」
「あ?」
「水戸の御隠居に、下っぱ蹴散らしてもらやァいいじゃねェですかい」
「……おめェ、時々、とんでもねェこと考えやがるなァ」
「頭と鋏ァ使いようでさァ」
「おめェの頭でも、そうして役に立つことァあるんだなァ(しみじみ)」
「!!! ……土方さん?(にこ)」
「おぉっと! 俺ァちっと、杉んとこに顔出してこなきゃあならねェ。その前に、山川さんたちに声かけてくるぜ(脱兎)」
「土方さんって! ……何でこう、俺に突っこまれるようなこと云うかねェ、あん人も……(にこにこにこ)」
† † † † †
阿呆話at地獄の三丁目。
姫降臨やら、あの人この人参入やら。
姫(=阿倍正弘さん)は、やると思った方多いと思います――ふふふふふ。
だって、こう云うのが、小噺=冥界阿呆話の醍醐味だもん。大体、既に水戸の烈公も出してる(阿部さんと水戸の隠居は仲良し)から、そう云う意味ではOKでしょう。
とりあえず、本日の『篤姫』は、(草.刈.正.雄だけど)萌え萌えしてましたよ。姫ーッ! もう駄目だ……以後、(草.刈.正.雄とは云え)阿部さんの御姿がないかと思うと、ちょっとがっくりきます。そのうち、薩摩の高.橋.英.樹もお亡くなりになる(や、亡くなるのは斉彬殿ですが)と思うと……後は、北大路海舟を待つのみか……
で、阿部さん阿部さん云ってたら、沖田番に「こないだまで“勝さん♥”だの“杉〜♥”だの云ってたくせに〜」と云われましたが、それはあれだ、杉に“松陰先生と桂さん、どっちが大事だ”って訊くようなもんだよ(←え)。
とりあえず、自分的区分としては、勝さんのためなら死ねる、杉とはぐだぐだ呑む、阿部さんは死んでも護る、と云うカンジで。ああ、姫!!!!
とりあえず、『阿部正弘のすべて』(新人物往来社)Getしましたので、これで姫萌えを補充。しかしこの本、平成10年大河の『慶喜』時の帯が……『慶喜』の時の阿部さんってどんなんだったんだろうなァ。っても、流石にDVD買いはしませんがね……
でもって。
やっと鬼やら総司やらの、冥土での職業が!
はい、御約束のようにゴーストバスターズ(笑)。だって、斬った張ったしかできないこの連中に、他のどんな職業に就かせろと(笑)。
まァ、鬼は五百歩譲って別の職(薬屋とか?/笑)に就けたとしても、島田とか相馬とか野村とか、一ちゃんとか星さんだって、斬った張ったしかできないしなー。
しかしまァ、玄蕃さんの段でどうよとは思ってましたが、遂に山川さんも参入とは――身分とか何とか、まったく無視ですね、この組織(笑)。まァ、小笠原胖之助がお茶淹れて回ってる段で、既に何もかもアウトのような気がしないでもありませんが。
備中福山藩主(=阿倍さん)が居候、唐津藩主の息子が平隊士(っつーか、愚連隊の小隊長?)、庄内藩中老と会津藩家老が小隊長、の組織のトップは農民出身。わけがわかりません。
あ、“鬼兵隊”は、あくまでもシャレです。そういうことにしておいて下さい。
“妄霊”は、“妄執の亡霊”って感じです。読みは“もうりょう”ですが、“魍魎”とは違うカンジで。あくまでも人の念的な。
でもって、隊割ですが、こないだの一〜十に加えて、
十一番隊 秋月登之助
十二番隊 内田量太郎
十三番隊 山川大蔵
と云うことで。
十三番隊――某鰤漫画みたいですね(笑)。
ちなみに、話中には出てきませんが、診療所に松本良順先生と高松凌雲先生が、大野右仲の補佐に古屋佐久左衛門(衝鋒隊隊長)さんが入りました。対外的交渉を主に担当してます。
相変わらず無駄にゴージャスです。
ここに姫が(居候だけど)入るわけね……ふふふふふふふ……♥
この項、終了。
次は鬼の北海行〜。