幕末長州紀行 その1

あるいは、下関・萩、高杉晋作追っかけ行。
お暇と興味がおありの方は、下からどうぞ〜。


何と、高校の修学旅行以来の萩ツアー。ついでに下関も攻略しようと云う趣旨の、この旅行。
4時半に起床後、始発に乗って羽田空港へ。沖田番とは、途中の駅で待ち合わせ。
モノレールで第一ターミナルへ――今回、行きはJALなのです。


が。
突端から躓く――っつーか、私のミスなんだけどね。
いや、荷物の中に、いつも使用の関のフォールディングナイフが……いっつも荷物は預けてたから、その感覚できてたら、沖田番が「今回は預けませんぜ?」とか云い出してさ……いや、今となっては云い訳ですが。
当然、手荷物検査で引っかかり。
「廃棄しますか、着払いで送りますか」と問われりゃあ、そりゃあ着払いにするしかないでしょう、「武士の魂」だもん(←違う)。


そんなこんなで、出発予定時刻をわずかに過ぎ。荷物抱えて走る走る! スタッフのにーさんも走る! こんな出発、初めて……(←当然だ)
2分遅れくらいで席に着いたら、その後さらに数分経って、サラリーマンと思しき男性が、悠々と乗り込んできた――あの猛ダッシュ何だったの……


で、まァ飛行機自体は無事に離陸したわけですが。
前日12時半寝+4時半起きの私め、ひっじょーに眠かったわけですよ。で、目的地の宇部空港までは1時間強だったので、その間くらいは寝よっかな、とか思ってたわけですよ。
ところが、沖田番が寝かしてくれないのだ。
「寝ちまうんですかい」とか云って、こちらをじっと見る――そのまなざしが、限りなく不穏。


「……その不穏な空気出すのァ、止めやがれ」
「何だってんでさァ」
「俺ァ眠ィんだ、大人しく寝かせろ」
「俺だって眠ィですぜ」
「じゃあ、おめェだって寝りゃあいいだろ」
「や、それが寝れねェんで困ってるんでさァ。……ってことで、あんたも一緒に起きてなせェよ」
「何でだ!」
「旅は道連れ、って云うじゃねェですかい」
「そんな道連れァいらねェよ!」


とすったもんだする。
ちらちらと様子を窺いながら寝ようとするが、不穏な気配で寝るに寝られん。
そうこうしている内に、


〖間もなく、宇部空港に着陸致します〗
「えええええええ!!!!!」


全然寝られないまま、宇部に到着。何だよ……


ここからはJRで移動。
宿は下関→門司港ですが、まずは途中の小月で下車。東行庵に行くのです。杉のお墓があるからね。
が、最初に乗りこんだ草江の駅は、無人駅な上に、券売機もない――近くの駄菓子屋さん? で、ぺらっとしたチケットを売ってもらうのだ。何と。
ワンマンの一両編成の電車に乗って、ガタゴトと宇部駅へ。ここで山陽本線に乗り換え、四駅で小月。
荷物を持ったままなので、タクシーで東行庵へ。
ここは、杉の愛人(っつーか妾っつーか)のおうのさんが結んだ庵で、元々はガタ(=山縣有朋)のものだったのを、譲り受けたらしい。
10分ほどで東行庵前に到着。受付近くに大荷物だけ置かせてもらって、まずは資料館っつーか記念館っつーか、の中を見学。おお、流石維新の大立者(まァ、維新前に物故してるけども)、日野の資料館より全然立派(←ヒドいもの云いだ……)。
何やら、萩の博物館に資料を貸し出してるとかで、展示は結構がらんとしてましたが、まァ萩にも行くしな、と、あるものだけざっと見学。
杉がつけたと云う鎧冑がありましたが――えっらい小さいんですけど。これ、子ども用じゃね? ってくらい小さい。
まァ杉、154cmくらいだったと云う噂を聞いたので、それだったらこんなもんかな――でも小さい。どうやって兜とか被ってたんだろ……


その後、荷物を置かせてもらったまま、裏の山(と云うより丘)にある杉の墓へ。
たらっと上がる――墓もちっさい。隣りにはおうのさん、っつーか梅処さんのお墓――は隣りじゃないや、隣りは奇兵隊の何とかいう人。本人たっての願いで、杉の横に葬ってもらったらしい。どんだけ杉のこと好きなの。
ちょっと下の方にあるおうのさんの墓にも手を合わせて(そう云や、杉には合掌だ――何でだろ)、続いて杉の像を。
えーと、(杉ファンのひと、ゴメンナサイにつき、以下反転で)高い台の上に、立像の杉――しかも像デカい。どんだけ拡大してあんの。(反転終了)と、沖田番が云っておりました。私じゃないよー。
だって、


「…………(不穏なオーラ)」
「……おめェ、何か今、やべェこと考えてたろ」
「いいえェ?(爽笑)」
「嘘つけよ、おめェがそんな顔してる時ァ、碌なこと考えちゃいねェんだ。――何考えてた、きりきり吐きやがれ」
「何も考えてねェですって(にこ〜)」


とか云う会話かわしてて、後で旅行のメモに↑みたいなこと書いてるんだもん。私じゃないんだー!


その後、さらに裏手の“東行庵もみじ谷”なる小道へと。なだらかな上り坂の両側に、広葉樹が茂っている――まだ、紅葉の季節には早いね。
しかし、霜が降りたか、枝先にちょこちょこと赤い葉があったりして、これはこれで風情が。
しかし、歩いていると、足許で何やら音がする。
蛙か? と思っていたら、がさがさがさがさ……細長い、鎖目の模様の生き物が、にょろりと。
蛇じゃん! しかも、ちょっと先でも別の蛇に遭遇したが――何かこれが蝮っぽい。あぶねーあぶねー。
しかし、何と云うか、野趣に富んでるな、長州。とか思いながら、来た道を戻りました。


ぐるっと回って、受付で、私は瓦煎餅(東行庵って書いてある)と「東行詩集」(杉の漢詩や和歌が載っている――糸綴じで上製、立派な本ですよ)を、沖田番はフグ型の土鈴(かわいい)をGet。
荷物を置かせてもらったお礼を云って、東行庵を後に。
で、お腹も減ったし、来る時に気になってた、向かいのドライブイン(?)でお昼。晋作蕎麦(野菜の天婦羅のぶっかけ蕎麦。梅肉と山葵で戴く)と、晋作餅(素朴な焼き餅。ノーマルと紫蘇巻きとがある)+お抹茶のセットを。うん、素朴な感じでよい。
で、そこの土産物コーナーを見ていたら、おおッ、杉のストラップが! 多分東京でも売ってるやつだと思うんだけど、“幕末維新ねつけ”というやつ。他に、龍馬、うさぎちゃん――桂さん、勝さん、西郷どどんとペリーがいるらしい。
東行庵だから杉は当然として、龍馬がいるのに桂さんがいない――何でじゃ。ぶつぶつ云いつつショーケースの中を見ていると、あれ、杉のラベルのビールが! 高幡不動で売ってた鬼のやつの、杉Ver.だ!
うきうきしながら両方(+ふぐの小さな土鈴も)買って、ビールは本日の夜のお供にしようと心に誓う。
さて、次は下関。


小月駅行きのバスを待つ間、今の(+昔の)同僚Nさんからメールが――「薄桜鬼ののってる『電撃girl's style』のBNが出てきたけど、要る?」……要ります要ります! その号、密林さんでも品切れで、角川系だから客注切っても入るかビミョーだったんだもん!
メール返信して、沖田番とたらたらお喋りしていると、しばらくしてバスが。
古い車体のバスだ――駅まで¥380-でした。って、うち〜通勤利用駅(¥210-)と、あんま距離変わんないと思うんだけどなー。終点までの距離だとしても、うちあたりだと¥250-で済むなー。
まァ、ニーズが少ないからだろうなァ(何しろ、本数も1時間に1本だし)と思いながら、終点の小月駅で下車。
また山陽本線に乗って、今度こそ下関。


この日のお宿は門司港なので、対岸の福岡県に行かなくてはならないのですが。
関門トンネルで行くか連絡船で行くか、まったく決めずに来たので、とりあえずは近い方へ行ってみようと云うことになり、連絡船の乗り場を目指す――が、地図でみると結構遠い。
まァ、時間はまだまだあるしね、と思い、荷物を引きずって移動。がらがらがらがら。
途中、電話ボックスの上に、ふぐの像が……! 何だこれ!
喜ぶ沖田番、写メを入院中(? 外泊してたんだっけ?)の母親に送る。まァ、こんなのあるのァ下関だけだよね。
で、更に道をどんどん行くと、海の交番(交番とは云っても、船が着くようなところなので、ちっさい警察署くらいの大きさはある)の横を通って、海岸沿いへ。
だらだらがらがら歩いてゆくと、“青春交響の碑”とやらにあたる。観光協会発行の地図では、龍馬と杉の像が立ってそうな感じだったのですが――実際にあったのは、得体の知れないかたちのオブジェ、に埋め込まれた二人の顔のレリーフ、でした。うぅむ、何となく詐欺にあったような気分。
まァ、杉の像は東行庵で見たし、龍馬には別に興味がない(←……)からいいんだけども。


そこからちまっと歩くと、連絡船乗り場に到着。
まだ時間も早いし、と思って、遊びまわるためにコインロッカーを探したのですが、沖田番の荷物がちょこっと大きく、見つけたロッカーには入らない。


「いっそ、ホテルに荷物置いてきちまいますかい?」
「そうだなァ、連絡船なら、こっから5分らしいし、チェックインかたがた置いてきちまった方が無難だろうなァ」
「ホテルァ近ェんでしたっけ」
「おう、連絡船降りてすぐだぜ」
「じゃあ、そうしますかい」


と云うわけで、荷物を持って、連絡船に。対岸の門司港まで、片道¥360-。バス感覚ですね。
この連絡船、朝は6時から、夜は9時まで、一時間に3本のペースで下関⇔門司港間を往復してます。
乗ってみると、これが結構速度がすごい。


「うはー! ははははははは!!」
「ガキみてェに騒いでんじゃねェよ」
「だってあんた、こんな速いんですぜ! ほら、水飛沫で虹が!」
「あ、本当だ」
「俺ァ、船の水飛沫で虹が出るの、初めて見ましたぜ! はははははー!!」
「……だから、静かにしとけってェの……」


と沖田番に騒がれつつ、5分ののちには門司港に。
下関は雑然としてる(や、観光地としてきちんと整備されてると云うよりは、生活感にあふれていると云うか)のですが、ここ門司港は、街の中心が(新幹線の開通に伴って)新しい“門司”へ移ってしまった(昔は、この門司港が“門司”だったそうですよbyうちの母)ので、完全に、古い街並みを楽しむための観光スポットになっており。
あちこちに、古い建物が立っていて、そこに調和するように、新しい店なんかも建っている――とは云え、実際に物流の拠点とかではないので、賑やかさはあんまりないです。しんとした感じ。休日だったら、また違ったのかも知れませんが。


ホテルは門司港ホテル。門司港ったら、やっぱここでしょう。コンパクトでレトロな感じの、可愛いホテルです。
9階の海側の部屋からは、関門海峡が見える――源平の合戦の地であり、四境戦争の舞台でもある――んだよね? あんま、地元(=下関)ではそう云うこと書いてなかったりするんだけど。
沖田番は、ホテルの部屋の中も撮っている――加工して、何かの画像にするためらしい。ってのは云い訳かもしれないけども。


「あんた、ちょっとそこの荷物どけて下せェよ」
「あ? 何がしてェんだ」
「そこだと、フレームん中に入っちまうんでさァ。いいから、ちっとどかしなせェよ」
「……そうかよ」


で、荷物を持って、しばらく突っ立つ。どうなの、これ。
まァ、私も、源平好きの知人のために、窓から見た壇ノ浦(の手前)を撮ったけどね……


沖田番の気が済んだところで、ホテルを出る。チェックインしちまやァ、こっちのもの〜。
まずは門司港レトロ地区巡り。
旧大阪商船門司支店、門司港駅、門司三井倶楽部(アインシュタインの滞在した部屋を見学)、海峡プラザなる店屋街(門司発祥、バナナの叩き売りにちなんだバナナマンが立ってる)を経て、国際友好記念図書館、旧門司税関、日本唯一の歩行者専用跳ね橋ブルーウィングもじ(跳ね上がってるところは、遂に見なかった……)をぐるりと。もちろん、写真も撮りまくり。夕陽に向かってシャッター切ったりね(最近のデジカメは高性能なので、ちゃんと光量絞ってくれるんですよねェ)。沖田番、謎のうっふんポーズをとる。……馬鹿っぽいよ!


「やー、こういう馬鹿っぽいの、結構好きなんでさァ」
「……それァよく知ってるがな」
「あんたもどうです? シャッター切りますぜ?」
「……いらねェよ」


だって、傍から見たら阿呆っぽいじゃん!


で、再び連絡船に乗り、下関サイドへ。
「ふぐ、ふぐ!」と叫ぶ沖田番に引きずられ、唐戸地区をたらっと回る――この辺も、レトロな建物が結構残ってます。旧下関英国領事館とか、旧秋田商会ビルとか、下関南部町郵便局(ここは現役)とか。
その辺にもカメラを向けつつ、ふぐ屋を探す、が、どうもイマイチ……高かったり、怪しげだったり。地元の人って、どの辺で食べてるんだろ?
仕方がないので、連絡船乗り場に近いカモンワーフと云う名のショッピングモール? と云うか飲食店街と云うか、に行く。
その中の、結構混んでた居酒屋系のお店に。土地柄、ふぐメニューはたくさん、だが、ふぐ雑炊がない……


「何云ってんでさァ、そんなのァ、作りゃあ済むでしょうが」
「あ?」
「あ、すんません、ふぐちりと白米、ひとつずつで」


と注文を出した沖田番。ふぐちりを食い終わるや、そのスープの中に、白米を「そりゃ!」。
……確かにふぐ雑炊ができました。旨かったよ。旨かったけど……うん。
あ、もちろん、ふぐさしもふぐ皮ポン酢も戴きました。ふぐの握り寿司とかね。旨々。
もっとも沖田番は、新宿にもあるチェーンのお店の方が(ものによっては)美味しかったとか云うすごいこと云ってましたがね。まァ、そう云うことってありそうだけどさ……


で、満腹になった後は、その辺をたらりと散策。
ボードウォーク(まァ、海辺の散歩道的な)をたらりと壇ノ浦方面へ――夜景がきれい。
ぱしゃぱしゃと写真を撮ったりしていると、あれ、何か、画面のそこここに、写ってちゃいけないはずのものが……


「あー……消しましょう(消去)」
「じゃあもう一枚。(ぱしゃ)……あれ」
「はい消して消して(消去)」
「もう一枚。(ぱしゃ)……あ」
「……もう、止めときましょうかい」


と云うわけで、沖田番は全滅、私は三枚だけ残して消去。うぅむ。
その上、何かだんだん、海からいやァな風と云うか、空気の流れが――何て云うか、東京タワーの大展望台の覗き窓から、足許を見下ろしたときみたいな、ちょっとざわっとする感じ。……何かヤバ気。
慌てて明るい方へ戻り、あとは、沖田番がふぐのオブジェと写真を撮ったり(山南役に写メしたら“まるいものがふたつ”と云う返信があって、ちょっとぷくっとしてた)して、三度連絡船に乗って、門司港へ。


もう一度たらっと(明るいあたりだけですが)レトロ地区をめぐり、ホテルに戻る。
部屋で、ほどよく冷えていた杉のビールを戴く。味は、まァ鬼のと同じだから。で、その後、湯船に瓶を沈めてラベルを剥がす(←当然でしょう)。
そののち、自分らも入浴して、この日は終了。


翌日分に続きますよー。
っつーか、いきなりこのブログのバックアップ機能が使えなくなり。結構書いた分がぱあになりました。かなり萎えた……最新のFlashPlayerは入ってるんだよ! はてなさん、どうにかしてください(怒)。