「新選組」観劇記。

というわけで、当日券が取れたので、観劇記。
またしても新宿SPACE107、劇団め組の「新選組」。
ネタばれ、激烈な毒吐きあり(しかし畳まない)なので、ご注意を〜。


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えーと、今回もまた山南役と一緒の観劇。
チラシは見てたので(かっちゃん、鬼、総司、の役者の皆さん、写真が良くないわ……)、それなりの期待度で臨みました。まァ、前回(「Warriors」)のアレがあるからな。
山南役は、南さんが出るだけでいいらしい――まァ、最近の新撰組関連の芝居って、どれも南さんスルーだからにゃ。
さて、お芝居は2時間5分の上演予定。7時からなので、9時過ぎまでかァ。


えーと、最初にぶっちゃけときますと、
かっちゃんがとっても気持ち悪かった。かっちゃん役は、「Warriors」の時に山伏の沖ノ島有緜やってた人(秋本一樹さんと云うらしい)なのですが、これがね……何と云うか、暴.れ.ん.坊.将.軍のまつけんみたいで(苦笑)。いや、全体的な印象が。
カッコいいんですよ、カッコいいんだけど……かっちゃんだと思うと、気持ちが悪い
っつーか、アレだ、この気持ち悪さの源ってのは、多分、史実のかっちゃんと、良いところと悪いところが真逆だからだな。かっちゃんの女にだらしがないところをきれいに描き、油小路で平ちゃんを逃がしてやるやさしさ(敢えて甘さと云いたいが)を、切り捨てる非情さに置き換えてるからだ。善悪込みでだらしないところを、筋の通った男にしてやろうという魂胆かも知れませんが、平ちゃんに対するあの態度で、正直、男が下がったカンジ。


総司は、えらいへなちょこ。こちらは「Warriors」と配役同じ(入木純一と云うひと)でしたが、前回同様、人斬りにしては本当に覚悟がなっちゃいない。へなちょこにも程があります。
まァ、労咳で喀血した時期に関しては、いろんな作家さんとかがあり得ねェ設定をしてらっしゃる(冷静に考えて、あの当時の医療技術では、大喀血してから丸4年存命、と云うのは無理だと思う)のでアレとしても、しかし、油小路の頃はもう寝ついてなきゃおかしいだろうって云う。
まァそれを措いといたとしても、史実のあれこれ(芹鴨に一の太刀、二の太刀と入れたのは総司!)を措いたとしても、あれはちょっと、かなりへなちょこに過ぎると思う。
以前の感想でも書いたとおり、人斬りとしての度胸が据わってなくて、あの激動の時代、畳の上で死ねるかってーの。病で死ぬのは強い剣士の証ですよ。だって、誰にも切れなかったってことだもん。
っつーか、物理的に強くなくたっていいんだけど、あの程度の覚悟の男に切られたんじゃ、稔麿ん(に、髭が!)や宮部さん、芹鴨なんかも気の毒だわ。
ま、それは鬼に関しても云えることだけどねー。へっぽこが!
あと、ひととおり試衛館メンバー出てるのに、何で源さんはいないんでしょうか。スルー? スルーなの?
ところで、かっしーが取ってつけたように出てましたが――どうもなー、あれはちょっとなー。新撰組、何の大義もないじゃん。それはどうよ。


しかし一番気になったのは、それでこの話、一体何処に落とし所を見つけたいんだろうと云うところ。
佐幕・新撰組寄りと云うなら、総司のあの描き方ってのはどうかと思うし、じゃあ倒幕派寄りかと云うと、そこまででもないし。
ただ、何か全体的に、明治維新万歳的な、あの戦いは薩長の勝利で正しかったんだ的な、そう云う目線のような気がして、若干苛ッとしました。
もちろん、あの当時も“時代が変わる”予感はあっただろうけども、しかし、その時代の流れに無条件に乗ることが正義、と云うのは、やっぱ何か違うだろうって云うか。
もちろん、新選組を善玉にする必要はまったくないけれど、ああ云う中途半端な扱いは、正直云って失礼だよなーとは思います。誰にって、そりゃあ(以下略)ですよ。
悪役なら悪役で構わないけど、人を斬ることに対する罪悪感云々ってのは、幕末のテロが横行するあの時期には、正直云って相応しくはないわな。っつーか、そんな小手先の良心の呵責なんぞ、よその時代でやってくれと云うか。
斬ること、戦うことが、必ずしも善でないのは当然のことですが、安っぽい良心なんぞで幕末のあれこれを断罪してほしくはないね。史実云々ではなく、現代に置き換えればもっとわかりやすいと思うんだけど、公的武力集団としての警察乃至は自衛隊を、必要悪として認めるか、それを批難して、危険極まりない(生命の安全の保障されない)自由を享受するか、と云うレヴェルの話になると思うんだけど。
この間も思ったけど、め組の芝居って、その辺のところが安易だ。簡単なところで答えを出しちゃってる。それが危ういなーと思うのです。
っつーか、危うさどうでもいいけど、薄っぺらい感じが否めないんだよ、どうしてもな! もうちょっと、深みのある話にしていただきたいです。
しかし、あれで結構泣いてるっぽいひととかいて、すげェと思った――やァ、あたし、えらい誹ねものみたいじゃん。ま、笑い転げてた山南役よりはマシだと思うけどね(笑)。
とりあえず、見終わった後、こないだの「黒猫」(中場利一)を読み返したくなりました。あれ、やっぱすっごいよく出来てたなァ。あのとおりではないにせよ、あれはすとんと腑に落ちた。書き手が男性だからってわけではないとは思う(だって、浅田次郎新選組は大嫌いだし)んだけど、あの話はなー。男にしか書けない話って、やっぱあるよね。


えーと、貶してばっかもアレなので、良かったところ。
以蔵は良かった、っつーか、ぽい。あれ、新宮さん(唯一お名前憶えてる人)だったのか。あ、平山五郎もかァ。
芹鴨は、あああ、ああ云うカンジだなと。うん、わかった。同じ役者さんの龍馬は、えーと、平和主義者な龍馬が(個人的に)違和感なので(以下略)。でも、お芝居は確かだった。
山南役は、“南さん南さん”騒いでた割に、平ちゃんの役の方が割と可愛かったと云っていた――うぅうん、趣味の問題だな(笑)。
女性陣、お梅さんが一番だったなー、と思って、帰って「Warriors」のチラシ見たら、この方(高橋佐織さん)って、前回正室・貞をやった人だ。流石ですね。
あと、何だかんだ云っても、2時間強で上洛〜総司の死、まできれいにまとめたのは良かった。内容にはものすごく不満があるけども。
役の設定(いろんなポジションの割り振り)とかはもう仕方ないのでアレなんですが、ただ、完璧長州閥サイドに立った勧善懲悪ものなのか、それとも“内部抗争ばっかみたいだけど、新撰組だって大義があったんだ”にしたいのか、それとも佐幕・倒幕どちらも一分の道理があった、にしたいのか――繰り返しますが、それがはっきりしないのが、今回一番の問題だったと思います。


あ、そうそう、これ幕が上がってからずっと気になってた(しかし、アンケートには書きそびれた)んですが。
皆さん、腰のものの差し方が逆だ!! 脇を差すべきところに大刀が差さってて、大刀の来るべきところに脇が来てた――あれじゃ、とっさの時に抜き辛いですよ!
あと、移動する時は左手に刀を持つようにしないと、いきなり斬りかかられても対処できませんぜ。
まァ、もう大刀の長さ(多分、あれ二尺七寸〜九寸くらいあったよね――今どきの居合刀かァ。あれは、身長180cm前後の島田や一ちゃんや総司くらいじゃないと使いこなせないと思うんですがねェ)はアレとしても、差し方はねェ、立ち居振る舞いにも絡んできますから、気をつけて戴きたいですね、っつーか凄い違和感だった。
……こうして見ると、やっぱ昨年同じ場所でやった「近藤を待ちながら」の田井さん、西田さん(+α/……失礼)の大小の差し方+立ち居振る舞い、ってのは堂に入ってたよなァ。重心もちゃんと落ちてたし、非常に自然だった。
って云うか、いろいろ考えると、今のところ総合では「近藤〜」が一番、か? 平均点は低かったのに……どうだそれ。


とりあえず、来月また1〜2本芝居(もちろん幕末絡み)見に行くのですが、もうちょっと(以下略)だといいなァ……って、期待せぬが良いか……


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おおお、結構激烈だった……
何か云い残しがあるような気がしないでもないけど、とりあえずはこれで終了。
云っとくけど、これはまだ火は噴いてませんぜ。火を噴いたのは、去年のand endless……ふふ。


さてさて、次は予告どおり、阿呆話、胖之助のネタ〜(怒)。