幕末・会津戦争行 その2

会津戦争追っかけ隊! (←……)
お暇と心の余裕がおありの方は、下からどうぞ〜。


二日目の寝起きは、良いんだか悪いんだか。目覚ましはいつもの時間くらいにセットしてたのですが、ふたりともそれより早く目が醒めてたりとか。何しろ、五時くらいからもそもそしてましたから、お互いに。
実は前日の夜が、双方夢見が悪く。いつもはすとんと寝られるですが、(しかも、前日は結構酒が入ってたのに!)何かこう、寝ようとするとどっちも“のっぺりさん”に邪魔をされてたのです。
ちなみに“のっぺりさん”と云うのは、この日の夢で初登場の、平面の上に目鼻だけがついてるような(つまりは輪郭とかがない)変なひとっつーか何つーか。目鼻立ちは結構くっきりとしてまして、例の興福寺八部衆とか、あるいは江戸時代の浮世絵の歌舞伎役者みたいな感じの顔。しかも下品でもない。
この“のっぺりさん”が、何か私どもが眠ろうとするのを邪魔してくるわけですよ。お陰でホントに仲々眠れず、夢見の悪かった沖田番なぞは、何度も枕をひっくり返して叩いてました(←夢見の悪かった時のおまじないらしい)。それで、目が醒めたのも早かったんだから、何だかなー。
しかも、空調がきいてたにも拘わらず寝汗がひどくって、とにかく汗だけ流そうと云うことで、朝湯にいく――小原庄助さんみたい(笑)。しかし、朝寝と朝酒はなかったけどね(笑)。
朝食は、和食系のバイキング。またもお米は3種類。分づき米のかわりにお粥があったので、ふたりともそれで。梅干しとか佃煮とか蕗味噌とか、辛味噌を紫蘇で巻いて揚げたのとかをつけて戴く――今回はちょっと少なめだったかな、私はね。


朝食後、9:30くらいにお宿を出、まずは東山温泉の観光案内所で、ハイカラさんの1日乗車券をGET。
でもって、それを使わずに、まずは院内まで歩く――昨日挫折した、歴代会津藩主の墓所参りに。
昨日の空模様はアレだったのに、本日はすてきな晴れ具合で、何かこう、すごく灼けそうな日差しだったり。
沖田番はサングラスと帽子を装着して、すっかりお散歩モードです。
歴代会津藩墓所の入口に立つ、と、ありゃありゃ、自転車が何台かと、白いワゴンが停まっている。上の方から草刈機の音。どうやら今日は、草刈り日らしい。
昨日は非常に不穏な空気が漂っていて、泣く泣く断念したのですが、今日は天気も良い。何より、人がいるからには、いきなり変なことが起きたりはしないだろう。
とか何とか云いながら、石段を上がる。


石段を上って、まずは(いろいろな絡みがあって/苦笑)西の御庭で、初代の嗣子・正経くんこと虎菊丸くん(←え)のお墓にお参り。立派な碑が立っている――藩主並の扱いですね。
手を合わせてお参り後、中の御庭(二代・正常)はスルーして、三代以降のお墓の並ぶ奥の方へ。
途中、管理組合だかボランティアだかの人たちに頭を下げつつ(結構な人数でした)、石段を上がって、さらに奥へ。うん、今日の森っつーか木立の様子はかなり良い。鳥も鳴いてるし、日差しも明るい。
長ーい石段を上り切ると、正面が三代藩主のお墓。っても、そこにあるのは史碑だけで、もっと高い位置に墓石が、そしてさらに向こうに鎮石(亡骸の納められてる石塔のようなもの)がある。遠いよ。
このあたりには、三代、五代〜七代と、ちょっと離れて九代・容保さんのお墓があるのです。四代と八代は、右手の別の場所に葬られてるらしい――何で?
ともかく、向こう(四代、八代の墓域)に行くのは遠いので、こっちの墓域から、そっと頭だけ下げておいて、容保さんの方へと移動。っても、途中のお墓には合掌していきますよ、ええ、もちろん。


七代のお墓のちょっと向こうに階段が有り、そこを上ると容保さんのお墓と、さらに奥に、明治以降になくなった一族のお墓があるのです。
階段(石段じゃなかった)を上り、容保さんのお墓の前へ。
……何かいろいろ感慨がある、のかな? どうも、最近容保さんと(以下略)ので、こうしてお墓にくるのも微妙な感じ……
若かりしイケメン写真と、晩年近くのひねた顔の写真とが有名ですが、ああいう繊細そうな見た目にも拘わらず、容保さんって、結構過激だから……「爆笑新選組」(KOEI)の“人間、話せば分かる。分からぬものは人間ではない。……よって、斬る!”って云うアレ、ちょっとあんなとこあるよなーと思って笑えますよ(っつーか、あれの松陰先生の記事も笑えた……“タマ取りじゃ、死んでこんかいわれェ! 鉄砲玉ができんで、志士がつとまるけ!”って云うの)。
ともかくも、墓前で手を合わせる。
でもって、隣りの一族のお墓にも――あ、墓誌に、暇隠居(=水戸の烈公こと徳川斉昭)の息子の名前が――容保さんの養子になってた時があったからにゃ。
ここは流石に最近の墓なので、史碑と墓碑と鎮石とに分かれてたりはしません。今時の、ちょっと大きなお墓ってカンジ。
ここにも手を合わせて、墓所を出る。うむ、いい感じだ。


てくてく歩いて、会津武家屋敷前へ。
ここからあかべえで七日町へ出ようと思った、ら、次の便は30分以上先……! 逆回り(飯盛山会津若松駅経由――遠い)のハイカラさんは、15分ほどで来る。
重大なミッションは昨日こなしたし、今日もミッションひとつ終了したしで、時間もあるし、とハイカラさんで七日町へ。
七日町駅前で下車すると、すぐ目の前が駅cafeです。
七日町駅と併設の、お土産屋を兼ねたカフェ。と云っても、所謂駅のお土産屋さん、ではまったくなく、今どきの雑貨屋テイストの可愛い品揃え。もちろん、地場の産物も盛りだくさん。
お土産になるものをと思ってきたのですが、いろいろ可愛くって迷う。
とりあえず一服してから考えようと、カフェの席へ(っても、ワンフロアの壁際にテーブルがいくつか並んでるって感じなのですが)。
沖田番はブラウニーのセット、私は夏季限定ヨーグルト・シフォンのセットで。シフォンはまァまァ、ブラウニーは絶品……! ちょ、ちょっと、私もブラウニーにすれば良かったかも!
で、ここで赤べこ起き上がり小法師の絵の入った杯のセットをGET。酒好きの桜王子とかふ先生とで山分けにしてもらおうという肚。


でもって、また七日町をふらふらと歩いて、昨日気になってたお店(骨董屋、にしてはあんまり……)で、木製のスプーンとフォークをGET。職場関係の親しいあたりに配る用。お弁当の時とかに使えそうだったので。でもって、やっぱり昨日気になってた、塗りの片口(根来っぽい塗り)もGET。たれとかソースとか入れるような、日常使いに良さそうな器だったので。
他にも会津塗のお店でアウトレットに引っかかってみたり(沖田番が、茶卓のセットの可愛い函入りのに引っかかって、結局GET)。


さて、お昼になったので、と、またしてもハイカラさんに乗り、慶山へ。昨日気になってた蕎麦屋へ行こうという。
気になってた蕎麦屋は、桐屋・夢見亭。古民家っぽいつくりの、ちょっと雰囲気のあるお店。和田の方のお店は、ちょっと店構えが普通だったので、こっちの方が良さそうと云う判断で。
入ると、ちょっと時間過ぎてた(二時近く)からか、お客は他にもう一組だけ。
座敷が良いと主張する沖田番に譲って、席につき、十割蕎麦と餅と蕎麦のセット、それから水で戴く(!)蕎麦を注文。ふたりで三人前だな――太りそう。
と、最初に出てきたのは水蕎麦――ホントに水だけで食べる。おお、確かに“蕎麦!”って感じのお味。
後で出てきたセットの蕎麦には、ちゃんとつゆがついていたのですが、ちょっとこれがしょっぱかったので、こっそり蕎麦を水にくぐらせてから食べてました。が、蕎麦は確かに美味しい。うむ。
一緒についてた野菜の煮物とかも美味しかった――うむ、来て良かったな。


で、ちとまったりしてから、腹ごなし(だって、結構量があったのに、三人前も頼んだから――完食はしましたが)にと御薬園まで歩くことに。
が、その途中、慶山焼のお店でひっかかる。ちょうど“慶山入口”の停留所の近くのお店。中に入ると、紫色の焼き物がずらりと並んでいる――いや、白とか黒とか、他の色もあるんだけどね。
応対してくれたお店の方、


「紫色は、ちょっと洗いが雑でも目立たないから、飲食店なんかで使うのに向いてるんですよ〜」


って、ぶっちゃけ過ぎです!
とりあえず、先刻の七日町駅cafeで、マイ猪口(仕覆付)に引っ掛かっていた沖田番、今夜使う猪口を買いたいという。ので、店内ぐるりと見回して、結局、投げ売りの猪口をそれぞれGET。沖田番は白、私は黒の釉のものを。ホントは、楊枝入れと買いてあった小さい器の、耳がついてなければそれがベストだったんだけどなー。


麦茶をご馳走になって一息ついて、いざ御薬園へ。
赤べこなんぞ待ってられるか(まァ近いし)、ってことで、てくてく歩いて参ります。
昨日だったら、鶴ヶ城のチケットで、¥100-で入れたのになー。でもまァ、ハイカラさんのチケット見せると、¥20-くらい安くなるんですが。
御薬園は、会津小石川植物園的なしろもので、敷地の中にたくさんの薬草や薬効のある木が植えられているのです。
会津戦争終結後、容保さんが謹慎していたところでもあります。秩父宮妃が会津松平家の出身なので(お輿入れの時、“これで朝敵の汚名も返上できた”って、大変な騒ぎだったらしいですね)、その関連で、お手植えの木とかいろいろあります。
蓮池でザリガニの観察したりして、日本庭園へ移動。流石に広い! 手入れもちゃんと行き届いています。
っつーかあれだよね、会津って、御薬園とか歴代藩主墓所とかに限らず、全体的に手入れきちんとしてるよね。いや、予算がないのはよくわかる(道路とか、結構ガタガタだしな)んだけど、その中で手だけはしっかりかけて、お金が無いなりに小綺麗にしてあるよな――普通の民家とかも。
だって、道端とか田圃の傍の用水とか、ほとんどゴミ落ちてなかったよ? 古い建物でも、それなりにきれいに使ってるよな、って思うと、これはあれか、例の“什の教え”とやらの成果なんだろうか。だとしたら、気に食わない部分はなくもないけど、とりあえずすごいぞ会津魂。
ともかくぐるっと回って、売店でお土産を物色したら、御薬園を後に。


歩いて戻る途中で、道端のスクラップ置き場に、木苺っぽい実がなっているのを見つける――蛇苺ではないっぽいので、ここはやっぱ食べてみよう(笑)。


「――ぬるい、けど、甘いな」
「ちょっと甘みが少ないですけどねぇ」
「うん、酸味もすこし足りねェなァ。まァ、これが家の傍だったら、摘んで帰るんだがなァ」
「まったくでさァ」


……うん、まァ、そんな奴らなんで。つか、クランベリーとかラズベリーとか、家に植わってるといいよね。うちはブルーベリーはあるけど、クランベリーとかはないからなァ。
あ、ちなみに、スクラップのまわりに生えてた木苺(?)ですが、食べても全然問題ありませんでした。問題があるとすれば、雑草的な感じだったとは云え、他所様のうちに生えてるものを、取って食っちゃったってことくらいですかね(笑)。


でもって、また天寧寺をスルーして、そのまま東山温泉へ戻る。昨日と同じように、てくてく歩いて足湯まで。いや、昼ちょっと前くらいから夕暮れ後まで、そもそもハイカラさんが会津武家屋敷で折り返しちゃうので。
足湯のところまでやって来て、そう云えば、あの辺に、鬼が入ったという噂の元・さるの湯があるらしいと、宿のパンフレットにあったのを思い出す。
橋を渡って、お宿の方へ。行くと、鉄の欄干のところに「東山温泉発祥の源泉跡 土方歳三戦傷湯治の岩風呂」って書いてあるよ――うひゃ。
沖田番が喜んで手を叩く。


「見なせェよ、土方歳三湯治の岩風呂、ですってさァ!」
「うるせェな!」
「愛されてますよねェ、土方歳三(くくくくく)」
「うるせェって云ってんだろうが!!!」


ホントマジ、うるせェんだよ!!!
ともかくも風呂の際まで行って、指先だけつけてみる――うん、あったかいね。でも、長年誰も風呂としては使ってないっぽいから、結構苔? みたいな緑の何かがふよふよしてる。うーむ。
とりあえずは満足して、川向こうの足湯のところへ戻る。


ここの足湯、昨日なんかは地元の学生さん(部活帰り)なんかが集団で足突っ込んでたりしてたのですが、今日はねーさん(旅行者っぽい――歴女か?)がひとりいるくらい。
実は新しのサンダル(ウォーキング系だけど)だった私、結構擦れて、皮が剥けたりして大変なことに。
東山温泉の泉質は、切傷とかにも良いらしい(ま、銃創を負った鬼が湯治に来たくらいだし)ので、そのままじゃぼんとつける、が、


「……し、滲みる……(くぅっ)」


じわっとお湯が、皮の剥けたところに滲みる……! 疲れた足を癒すとかそういう以前の問題ですよ。
しかも、結構温度が高いんだ、ここのお湯。つけたりあげたりを繰り返していると、新たな女子二名がやってくる。えーと、歴女? しかも腐女子だったり? まァ、この時期にいる女子の観光客なんて、半分以上が歴女だよね(笑/だって、特にイベントもないオフシーズンの、しかも平日にいる若い女子二人連れってさ……!)。などと思いながら、生ぬるく含み笑い。
でもって、気が済んだら足を拭い、すぐそこのお宿へ戻る。


例によって汗だくなので、風呂に入ろう、と思ったら、今日は岩風呂に入れるらしい! 小躍りする沖田番。
しかし、行ってみると、やはり岩風呂は工事中で、3つあるうちの一番内側(? 脱衣所寄り)にある大理石のお風呂のみ解放らしい。まァ、それでも入れるだけましさァ。
こっちは洗い場がない(つかるだけ)なので、ざっと入って、その後さるの湯(露天風呂大好き!)にまた入り、汗を洗い流す。さっぱりしたら夕食へ。
今日はお酒はついてないので、すべて自腹。
っても、昨日がぐだぐだだったので、今日は自重しようと、二本だけ。昨日飲んで美味しかった“会津中将 純米原酒”と、こないだ会津に来てたかふ先生お勧めの“俺の出番”。
えーと、“俺の出番”は淡麗辛口ですね。呑み味すっきり、で確かに美味しいんだけど、濃厚辛口の好きな私ども的には、“会津中将”の方が好みだ。まァ、厳密に云えば辛口じゃないらしいんだけどね、“会津中将”は。(ちなみに、お店の兄さんが昨日勧めてくれたのは、“会津中将”と同じ醸造元の“ゆり”だった――女性の杜氏さんが作ってるんだそうです)
昨日ほどではない(昨日は、ツアーのおまけでいろいろついてたからにゃ)けれど、お味は相変わらずGood。っつーか、おまけがつかなくても、ものっそ量が多いんですが。
満腹満足完食モードで、晩飯終了。


でもって、またしても風呂に入り(さるの湯とわたりの湯をはしごで)、しんなりしたところで就寝。
寝入りばな、またしても“のっぺりさん”登場。が、今回は邪魔しに来てたんじゃなくって、何やらもの云いたげなカンジだった――何か話を聞いたような気がしないでもないが、その頃にはすっかり夢の中なのでした。……何の話だったんだろ。謎。


† † † † †


会津旅行記、二日目。今回、全般的に長いような……
この項、終了。最終日に続きます〜。