小噺・衣装四方山

「おう、総司。どうでェ、この服ァ」
「……何ですよ、土方さん、その奇天烈な格好ァ?」
「失礼なこと云うねィ! これァ、今度の評議会用の正装だ!」
「……って云うか……それァ、例の『薄桜鬼』とやらのパクリじゃあねェですかい。あんた本当、“こすぷれ”好きですよねェ(呆)」
「“こすぷれ”云うな! (怒)……大体、『薄桜鬼』って云いやがるが、あの格好を、まんまで俺がしたって、全然似合わねェだろうが!」
「(やっぱり、『薄桜鬼』が元ネタじゃねェですかい)……まァねェ、あれの格好ん中で、あんたに似合いそうなのってったら――例の風間とやらの普段着ですかねェ? (笑)」
「俺ァ演歌歌手かよ!! ……俺としちゃあ、斉藤の洋装がまァいいんじゃねェかと思ってるんだがなァ?」
「ま、あれであんたの“きゃら”のよりは、全然普通に着れそうですけどねェ」
「だろ? ま、しかし、おめェの“きゃら”のあの衣装だって、実際着てみりゃあ、結構似合わねェと思うぜ」
「一ちゃんだって似合わねェでしょう、俺だけじゃありませんぜ!」
「おめェ、斉藤は、似合う似合わない以前の問題だろうが!」
「えェ、失礼なこと云わねェで下せェよ! 一ちゃんは、俺の知ってる一番の男前なんですからねェ」
「だから、おめェの感性ァおかしいって……いやいや、そう云う問題じゃあねェよ。大体、この服ァ、結構“あれんじ”してあるんで、『薄桜鬼』そのものじゃあねェだろうが!」
「まァ、あれまんま着てたら、本当にとんだ阿呆ですからねェ。って云うか、あんたの趣味ァ、ちっとどうかってェ、時々思うんですけどね?」
「俺の趣味ァ、至って真っ当だ! そんなこと云ったら、玉置なんかの“特攻服”ァどうだよ!!!」
「あァ、あれねェ……(溜息) あの“夜露死苦”なカンジのねェ……あればっかりは、確かに碌でもねェですよねェ……」
「碌でもねェどころの話じゃあねェだろ。しかも、私服ならまだしも、あれァ隊服だってェの! 改造してもらっちゃあ困るんだよ!!」
「だから、最近は皆、裏地に凝るようになってるんですぜ。一ちゃんの隊服の裏ァ、龍がこう、銀糸でいっぱいに縫い取りしてあって、それァそれですげェんですけど、中島登のァもっと渋くって、縫い取りがいぶし銀で入ってるんでさァ」
「いぶし銀って――隊服の裏ァ黒だろう。それにいぶし銀ってなァ、ほとんど自己満足の世界だなァ」
「何云ってるんですよ、それが真の洒落者ってェ奴じゃあねェですかい。杉みてェなのァ、邪道ですぜ」
「あァ、高杉な……あいつのあの服ァ、一体どこで手に入れてんだろうな? こないだ来てた時ァ、紫の地に龍のでっけェ縫い取りがしてあったしなァ」
「黒地の裾から火焔紋が入ってるやら、黒地に稲妻と三味線弾いてる骸骨、ってェのもありましたしねェ」
「暗い緑の地に、掌ぐれェもあるでっけェ蛸唐草が飛ばしてあるやつとかな。あいつの趣味ってなァ、むしろ『銀魂』超えてんじゃねェのかと思う時があるぜ」
「まァ、超えてるでしょうねェ。花柄とか友禅とか、そう云うかわいい話じゃあありませんもんねェ。ま、杉ァちっせェから、てめェを大きく見せるようなのが好きだってことなんじゃあねェですかねェ。腰のものだって、あの身の丈で、二尺九寸くらいのものばっかりですしねェ」
「おめェ……それ、杉本人の前で絶対云うなよ……?」
「えェ、やだなァ土方さん、俺がそんなことするわけねェでしょう(にこ)」
「その面が信用ならねェんだってェ、云ってるだろ! ……杉の奴、ごね出すと面倒くせェとこがあるんだからよ」
「大丈夫でさァ、杉に会ったときにァ、あんたの“こすぷれ”ネタにして笑ってますからねェ」
「!!!!! 総司、てめェ!!! (殴る)」
「おおっと(避ける)。あんた、その服でそんなことしちゃあ、本番前にひでェことんなっちまいますぜ」
「(はっ!) そ、そうだった……まだ本番はしばらく先なんだった……」
「まァ、その服で気合い入れていって下せェよ。俺たちァ、いつもの隊服で控えてまさァ(にやにや)」
「何云ってやがる、おめェらの分もあるんだぞ(にやり)」
「え!? (驚愕)」
「安心しろ、『薄桜鬼』まんまじゃなく、おめェらのもきちんと“あれんじ”してあるからな(笑いながら去る)」
「ちょ、ちょっと土方さん!! ……あああ、頼むから、杉もびっくりな出来じゃあありませんように……」


† † † † †


阿呆話at地獄の五丁目。
杉の話ではなく、服の話と云うか。


江戸時代は、結構表っ方を派手にするんじゃなく、裏地に凝るのが本当のおしゃれだったそうですね。一ちゃんや中島登の服は、そう云う意味では、江戸のダンディズムだよな。
鬼はもう、“コスプレ好き”で良いです――何か、こないだちらっと見た他所サイトでも、“コスプレ好きだよね”的なことが書かれてて(凹)。いいです、冥府のファッションリーダー目指します……
杉は――いや、あんな趣味ですが、何か? っつーか、杉のセンスはマジで「銀魂」超えてると思いますよ。東行庵にある笠(青地に金の唐草模様)からしてもう、さ……ふふふふふ。


しかし、「薄桜鬼」の洋装って、どれもリアル史実のあの連中には似合わないよねー。
土方歳三”の洋装を鬼(はい、写真のあのツラ思い返してくださいねー)に着せると――全然駄目でしょう。
一ちゃん(西南戦争警視庁抜刀隊時or風雲新撰組キャラデザ)も駄目、総司(黒鉄ヒロシのキャラデザ的な)もアウト。平ちゃんはもっと美少年風だからチョイアレとして、ぱっつぁん、原田、南さんもちょっとなー。
まァ、あれほど頭身高くないし、仕方ない部分はあるのですが。あの連中(リアル史実)があのコス着たら、コス雑誌にたまに載ってる、ちょっとイタい感じの「薄桜鬼」合わせ、になるんじゃないかしら……ふふふふふ……


そう云えば、先日とある方とお話してた時に、勝さんが、鬼の書状(例の、署名まで代筆な上に、宛名が間違ってるってアレ)を表装して持ってたって話を聞きまして。
えーと、何で表装なんかしたんですか、って云うか、持っててくれたんだ、って云うか。うん、持っててくれた、ってのが、すごく嬉しい。うん、嬉しいな。
沖田番曰く、“骨を拾ったつもりなんじゃあねェですかい”って感じらしいんですが、拾ってもらえたんだったら、本当に良かった。報われたな、鬼! って感じでいっぱいです。


あ、そうそう、ネット徘徊してたら見つけた驚愕の話!
「ピスメ」実写ドラマ化だって! 何考えてんだTBS!
っつーか、何、「JIN」が当たったから、二匹目の泥鰌? でも、ピスメはどうよ、っつーか、前向きな話でもなし、黒くて暗くて血みどろですが。
うーん、ピスメそのものは、やっぱ嫌いじゃない(一遍手放したけど、もう一度集めちゃったくらいには)けど、実写ドラマはなァ……ううう、変にキラキラなキャストじゃありませんように……


この項終了。
次は鬼の北海行、どどど、どうしよう……