重盛怖い。

夜の闇の彼方で、平重盛氏(だけじゃないけど)に遭遇。
佐殿に引っ張られてるのかどうか、すっごく怖くって、10分と同じ部屋にいられず、早々に退散。翌日目が醒めてからも、心臓のあたりを掴まれたように怖さが残ってたので、ちょっとしばらく源平は間をおく感じで。
と云って、ついこないだまで『夏草之賦』で箱館戦争末期を書いてたとこなので、中々アタマがルネサンスにも戻れません……(ま、でもやっとアウレリオ・アメンドラの『ピエタ』を回収してきたので、それ見ながらじんわりと戻る気でおりますが――って、それはみけらにょろだ!)
なので、ちょっと一服置く感じで、こないだGetした、野口実『武家の棟梁の条件』(中公新書1217)なんかを読んでて思ったこととか、とか。


えーと、いや、↑この本にちらっとね、“鎌倉武士はヤクザと同じ”的なことが書いてありまして。
うーん、まァそうなのよねー、否定できないのよねー、あの連中、荒っぽいしすぐ殺し合いだし名誉より所領だし。
って云うかアレだ、ホントにゴロツキっぽいんだよね、雰囲気とかね(←ええ、夜の闇の彼方でちょっと……)。ガタイも(当時にしては)でかいしね。170cmとか結構いるっぽいし。
ああ云う中に小柄(150cmくらい?)な佐殿が入ってると、そりゃあ“貴種”ってカンジがするでしょう。トヨ.エツと江口洋介と内野さんの間に勘三郎入れてみて下さいよ。こう、血筋の違いっぽいものを感じるでしょ? そりゃあ、皆大事にするよね、ノーブルな感じがするもんね。あくまでも比較の問題ですけれどもさ。


って考えてくと、正直、やっぱ佐殿って、鬼とあんまいろいろ変わんないのよ。
平安〜院政期の、宮中における“武士”ってのは、後世の武士、つまり職業的戦闘者、ではなくて、一種の職能民、しかも武芸でもって魔を払う的な職業人だったらしいです。ちょっと蔑視された部分もあるらしいのですが、まァ、“職業的殺人者”ではなかったっぽい。だって、宮中の武士と云えば、な滝口の衛士ってのは、内裏に入りこんだ賊を討ったりはしなかったっぽいしね(しかし、そうだとしたら、誰がそう云う賊をとっ捕まえたんだろう……)。
一方の鎌倉武士ってのは、もう完璧“戦をやる人”ですわね。例の『平治物語』には、義朝につき従って平氏と一戦やらかした面子として、三浦義澄、千葉常胤、上総介広常、なんかの名前が挙がってましたが、まァそう云うカンジ? 滝口の衛士みたいに、梓弓の弦打ちしたりとか、そう云うことはしなかったっぽいです。いや、したのかも知れないけど、主たる職掌ではなかったっぽい。だから、西行法師が鎌倉に立ち寄った時、佐殿が捉まえて、武士の作法の古式についてしつこく訊かれたりしたんだろうけどね。


んでもって、ちょっと山南役とかと話していて考えたキャスト。
源頼朝 … 橋之助(個人的には勘三郎の方が近いと思うけど……いえ、迫力が)
源義経 … 大野智(たっきーでもいいけど)
平清盛 … 中井貴一
後白河法皇 … 高橋克実(打城丸とおんなじで)
梶原景時 … 北村一輝(こちらも打城丸キャストで)
三浦義澄 … 豊川悦司
和田義盛 … 内野聖陽
畠山重忠 … 江口洋介
大江(中原)広元 … 池端慎之介
で、すまっぷの皆さんはお公家連、ときおと嵐は鎌倉武士、平成じゃんぷは平家の若い子たちでいんじゃないかなー。や、すまっぷさんは洗練されてるけど、ときおと嵐は、それにくらべると泥臭いから――ま、大野君が九郎たんなので、他メンバーも一緒にさせてやろうって云う、それだけの話なんですが。
平成じゃんぷはね、ああ云うぽやぽやした乳臭いお子様をあそこに配置するなら、平家の若い子ぐらいしか無理、と云うことで。
しかし弁慶どうしよう……松×健はちょっとヤだしなァ……


でもって、永井路子北条政子』(ブッ×オフで¥105-で出てたのでGET)を読んで思ったことですが。
えーと、政子が亀の前の住んでた家を打ち壊させたのって、佐殿が、政子を抱きつつ亀の前にも手を出してた、からではなく、政子には「忙しくって暇がない」とか云ってろくろく手も出さなかったくせに、亀の前に浮気してたから、じゃないのかな……?
や、単に浮気をしたくらいじゃあ、流石の政子だってマジギレできないでしょう、鎌倉武士だって、別に一夫一婦制じゃなかったっぽいし(側室持つのはあたり前って、あの辺とかも云ってたぞー?)。それに、政子に充分構ってやった上で浮気したんであれば、“情の多い、仕方のないひと”枠で、ちょいギレくらいで済んだんじゃないかと思うのですが。
となると、やっぱマジギレする理由ってったら、「忙しい忙しい」って云って構ってくれなかったくせに、他所に女作ってた! ってのだと思うんですよね。どうですか、世の男性諸氏的には、そう云うのって心当たりございませんかね? 女性の皆様的にも、単に浮気よりヒドイ! と思われ……思われますわねェ……
まァまァ、政子が単なるやきもち焼きってわけじゃあないと思って戴けるかと。うん、だからその後の浮気(頼家出産時のアレコレとか)では、家打ち壊すほどの暴挙には出なかったのかもねー。と思っておく。


ところで、最近ちょっと胸の底に芽生えたオソロしい疑惑。
よもやと思うが、松平忠輝の謀反疑惑って、五郎八が唆したからじゃああるめェな……?
とか云う疑惑は、夜の闇の彼方で持った娘の性格が、非常にこう、テ.ロ.リ.ス.ト気質だったからうっかり思ったこと。しかも若干五郎八&大姫系なんだ。いやァヤヴァい。あれはヤヴァい。女の子で良かったと思いつつも、本人的にはきっと、男の子に生まれたかったんだろうなァと思うと、可哀想な気も――いやいや、男の子だったら、まわりが大変なことに! 女の子で良かったんだ、うん。あとは普通に幸せになってくれると――頼むから、旦那を焚きつけたりしてくれるなよ……(汗)


与太話的な感じですが、とりあえずは気が済んだので、次こそルネサンス! み、ミラノに帰ろう……


でもって、ここからは、自分的源平組覚書。


佐殿 : 身長150cmくらい。“大頭殿”と呼ばれてるのは、頭が大きい=頭が良い、と云う考え方(が、江戸時代までは大勢を占めてたようです。小顔はおバカなんだってー)から。勘三郎橋之助を足して二で割ったカンジ、で、威圧感が凄いらしい(by和田)。衆道が嫌い。
三浦義澄 : 荒次郎と呼ばれてた(by平治物語)。若いころも結構ブイブイ云わせてたに違いない。三浦大介義明の次男、だけど三浦を継いだ。八重歯が凄い。
和田義盛 : 荒っぽいように見えて、意外にクレバー。ものの本では、義澄の甥(義明の長男・義宗の息子)ってことになってるのですが、確か義澄の弟だったよな? と思ったら、どうもどっちも正しいらしい――要するに、義宗が父親の女を寝取った、と。ってことは、義澄が三浦を継いだのって、↑の件で、義宗が廃嫡されたからか? そんな気がしてきたな……
三浦義村 : 義澄の息子。謀略大好きなにおいが芬々と。しかし、長期的な展望があっての謀略と云うよりは、単に性分のような気も。和田と兄弟のように仲が良い、って、和田……15くらい年上だろオマエ!
佐原義連 : 義明の十男。佐殿の挙兵時、19歳だったと云う話が残ってるそうですが、実は15くらいだったらしい……(by怪しげな自己申告) って、その時、義明89だよな!? 佐原、オマエ幾つの時の子どもなんだ! ……男はずーっと子どもが作れるって、ホントの話なんですね……
上総介広常 : 挙兵直後に2万騎を率いて佐殿に加勢した――が、遅参を咎められた人。口から出まかせ的にでかいこと云うのはよした方が……っつーか、遅参って、4日くらいに和田が助太刀を求める使者として出向いて、遅れるって2回くらい云ってきて、「もういいよ、行くから」って上総国を通過する頃(19日)に初めて到着、って……! そりゃあ、佐殿キレますよ! っつーか、ああ云うのって、頭数はともかく、その人が幕下に入ったことが重要なんだから、2万騎とか集めてないで、まずは来いよ! そんなことやってるから、斬られるんだよ! 口は災いのもと。
千葉常胤 : 吾妻鏡では“居眠りしてるような”とか書かれてる人ですが――安定感はある、って云うか、広常とか義澄とかに較べると野心がない。安定志向? 自分の所領が確保できてればいいとか云う人なので、調停役にはいいかもね。
大江広元 : っつーか、佐殿が健在のころは“中原広元”だったらしい。割と野心家。鎌倉下向は、35〜6歳のころ(by怪しげな自己申告)だけど、ってことはその当時、佐殿まだ復位してなかったはずだから&広元は従五位上だから、朝廷の位階から云えば、広元の方が位が上だったんだよね。オマエホントは佐殿のこと舐めてたろ、と、思わずにはいられません。舐めてたろ。
安達景盛 : 藤九郎盛長の息子。実くんの近侍だったはず、だが、あんまり信用されてないっぽい。政子にべったりだったから? でも、実くん死んだらすぐに出家しちゃったくらいには、実くんloveだったらしいんだけど。愛が報われてないね……景盛曰く、島田は藤九郎盛長(すなわち景盛父)に性格が似てるらしいよ……
愛甲三郎 : 実名何だっけ? 弓の名手。ちょっとチャラチャラしてる。畠山重忠を射殺したので、そことは相変わらず一触即発なカンジ。
畠山重忠 : 鵯越の時、馬を担いで下りたとかで有名な人。実は割と衆道好み。まァ、昔は結構、衆道に批判的な方が無粋だって云われるんだけどね……佐殿無粋な類らしいんですけどね……まァいい。
平敦盛 : 熊谷直実とのあれやこれやで有名な、悲劇の美少年――ってことになってるけど、結構意外にやんちゃぼーず。まァ確かに、鎌倉連中の子息と較べれば、たおやかな感じはしないでもないけどね……
平重衡 : 南都・奈良を焼き打ちした男。どうも、平家氏長者のロボット的な感じらしい。自分で動くと大変なことに、って見本が南都焼き打ちだとか。頭は悪くないんだと思う(云われたことはきちっと遂行)けど、何かな……
平知盛 : 都落ち〜壇ノ浦の、平氏の実質的総指揮官。イケメンで賢い。病弱で若干皮肉屋さん。重盛のことが若干鬱陶しいらしい。
平重盛 : 殿上乗合事件で有名な、清盛の長子。後白河院の愛人説あり。身内に甘いが他人には容赦がないらしい。厭味を、はっきり云うんじゃなく、微妙なラインでちくちくちくちく云い続けるらしい。


ってカンジで。
大庭とか江戸とか比企とかは、そのうちはっきりわかるネタが出てきたら、またどっかで書くと云うことで。


しかし、こんなに重盛怖くって、「秘色」とか書けんのかねェ……