「森の薪能」鑑賞記。

と云うわけで、行って参りました、第26回新宿御苑・森の薪能
まァ、前項に引き続き、烈しく毒吐いてますので、ご注意くださいませ。


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今回のお供は沖田番です――古典芸能は、沖田番の方がつきあってくれ易いのですよ。
夜の新宿御苑は暗かった……もちろん、立ち入る場所には明かりはついてますけどね。
この日の演目は、狂言が「清水」、能は「紅葉狩」。
狂言のシテ(=主役)は野村萬、アド(何で“アド”なんだろう……)は野村万蔵
能のシテは梅若玄祥、ワキ(=相手役)は宝生閑(前回の記事、シテとワキが間違ってましたね……/汗)。顧問として観世清和が筆頭(だよね)っぽいからか、「紅葉狩」は、観世流の“鬼揃”と云う演り方の模様(“鬼揃”の場合、通常(?)シテが舞うらしき中舞を、ツレ(多分“連れ”)が二人で相舞する、と云うことのようですby「能楽ハンドブック第3版」)。


とりあえず、うん、狂言はまぁそこそこ面白かった、っつーか、とりあえずホントにわかりやすい。
シテ=太郎冠者と、アド=主、の、掛け合いと云うか、太郎冠者阿呆と云うか(笑)。「待遇の改善を要求する!!」はいいけど、そんないっぱい要求したら、すぐ正体がバレちゃうでしょ! (笑) って云う滑稽さが、何とも。
何というか、現代にちょこっと通じるところはありますわね。


で、肝心の能「紅葉狩」なのですが。
えーと、予想どおりと云うか、いろいろもやっと致しました。
いえ、筋とかじゃなくて、ぶっちゃけ演出?
囃子はすごく素敵だったし、(多分)質的にも素晴らしかったんだと思うのです。
まァ、私どもの席はA席の2列目だったので、装束も面も詳細は見えずじまい(アイの末社ノ神のつけてた面は、結局尉の面のうちのどれだったんだろう……)だったのですが――でもね、それでも、舞台全体が見える位置ではあったので、進行のあれやこれや、はわからぬでもなかったと思うのですよ。
うん、所作は綺麗だったんだと思う。あれだけゆっくりの所作を、あれだけなめらかにするには、えらい修練が必要だったんだろうなーとは思います。
でもさ! 正直、無意味な停止状態が多かったように思うんだよね――いや、わかってますよ、あれが通常の、“正当な”演じ方であるのは五万も承知でございますよ。
だけどさ!!! あれをまったくの素人が見て、面白いかっつったら面白くなかろ?


昔(室町期)の能は、上演時間が今の半分だったそうですが、確かにそうだろうなー。あの無駄な停止状態を詰めて演じれば、確かに半分くらいの上演時間でやれそうだもん。
っつーかアレですね、囃子が盛り上がってくところに何にも所作が入らないってのも、どうにも戴けない――もっと! もっとやりようがあるだろ!!! って思わずにはいられないんですけども!!!!!
っつーか、いわゆる“複式夢幻能”とやら(「井筒」とかあの辺)なら、まァ盛り上がりの場もないと思うのでアレとしても、「紅葉狩」みたいな現在能なら、もっとこう、スピーディーに、エンタメ的に、スペクタクルに仕上げてよ!
だから、伝統芸能の中で、能が一番人気がないんだよ!
確かに、面白さと云う点では歌舞伎が一番だし、文楽はもう、人形遣いの素晴らしい技と、それによる人形の動きが目をひきつけるし、狂言は、まァぬるいけど笑いがとれるもんな。
けど、能は、修練の成果は見えるけど、正直面白くはない。演出変えればもっといけると思うのに。
何か、至高の芸術的な言説の上に胡坐をかいて、表現として行き詰ってることから目を背けてるんじゃないか? でも、それじゃあ座して死を待つみたいな状況に変りはないと思うんだけどね。


もうね、ホントの意味で、能が生きた表現芸術になるには、今の演劇の演出家とか招き入れて、もっと緩急のある演出にしないと難しいと思う。
だって、現行の演出、退屈なんだもん。現代のスピードに合ってないよ。
もちろん、能がこのまま、化石として、国の保護を頼りに生き延びるって云うんなら、現行のままでも良いかもしれないけど、そうでないなら、何がしかの変革は必要だと思う。
でも、表現ってそんなもんじゃん。現代アートなんか、昔の芸術家に云わせれば邪道の極みだと思うけど、今は立派な“アート”だもんね。
時代に沿うって、そういうことだと思う。そうやって、能だって完成されてきたわけなんだしね。鎌倉期の申楽能から見たら、今の能だって邪道だよ。


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どうでもよくありませんが、MS(notモビル.スーツ)のアップデートがデタラメだったお蔭で、うちのVistaさん(老眼鏡紳士的希覯本古書店主taste)が大変なことに……
ただ今、Cドライブを初期化して、再構築、と思ったら、McAfeeがインストールできなくなり。うえぇぇぇ、2年ものだったのに……! (っつーか、i Tuneも入らなくなったんですが、どうしたら)
しかも、ダイアルアップ接続の設定をインストールするためのCD-ROMが見あたらん……! うえぇ、?年目にして買い替えか……まァ、ザウルスのために買い替えてなかっただけなんだけどね、モデムはね……
しかし、マジMcAfeeはヤヴぁいですわ……何で入らんのだろう――まァ、ネットに繋げない今の状態だと、確かに必要ではないんだけど!
何か、サポセン勤務の沖田番曰く、“初期化”と云っても、Cドライブがまったく初期の状態に戻る、わけではないんだそうで……とりあえず埋め立ててみました的なカンジになるのだそうな。それで、うまくいろいろインストールできないのだとか。
……よもやと思うが、Vistaを葬り去りたいMSの陰謀的アップデートだったんじゃああるめェな?
とりあえず、そろそろMSは逝ってもいいと思います、マジで……


すみません、次も観劇記で――はい、「薄桜鬼」でございますよ〜。