箱館雪中行 その1

と云うわけで、雪の箱館、初日。
お暇と興味がおありでしたら、続きをどうぞ〜。


今回は、一昨年('09年)11月のリベンジです。
沖田番も一緒。
本人、冬の北海道は寒くて厭だとか、どうせなら札幌もとかいろいろ云ってたのですが、まァ基本的に、私横暴なんで。大体、オーロラ見に極寒のフィンランドに行った人間が、箱館くらい何だ!


と云うわけで、7:40分発のJALで、箱館へ。
前日見たやほーの天気予報では、この日の箱館は暴風雪となっており、無事に着くのかどきどき――運行表にも“この便は、行先が千歳空港に変更になるか、引き返す可能性がございます”とか書いてあったもんな……
が、特に揺れもせず、無事に函館空港に着陸いたしました。
上空から見てて、そんなに森が白くなってはいないなーと思ってたのですが、下りてみたらばまァまァ積もってる模様――風花っぽいのがちらちらと舞っている。何となく歓迎されてる気分。
空港からシャトルバスでベイエリアへ。
今回のお宿は、こちらもリベンジ、ラビスタ函館ベイです。温泉付の、'08年開業の新しいホテル。今、函館で一番人気らしいですよ。
と云っても、まだ10時くらいなので、チェックインは当然できず、荷物を預けるだけなカンジ――あ、でも、この時点で部屋番号はわかりました。9階の部屋っぽい。


朝が早かった(4:30起床!)ので、もう空腹に……早。
どっか喫茶店でかるくお茶(昼飯は野望が……)と思って彷徨うのですが、赤レンガ近辺のお店は、11:30開店の店がほとんどで、とても待てん! と云うことで、ホテルのティールームでモーニングセットを。パン2種+フルーツ、ドリンクで¥1,000-、ホテルの中だと考えると安い。
ジャムが2種ついていたのですが、ブルーベリーもアレとして、りんごのジャムが! シナモンきいててうまうま♥ りんごにはやっぱシナモンですよね!
コーヒーも美味しく、満足して、さていざ碧血碑へ。


一日乗車券(¥600-)をGETして、十字街から谷地頭へ。
天気がいいのはありがたいのですが、積雪が凍結してて、かつそれが融け出してきてるので、足許が非常に危ない。谷地頭で行き会った老婦人が、「靴にスパイクがついてても滑るのよ」と云うくらいに危ない。
途中、函館八幡の前で一息いれつつ、このお社の由来を見ると、えーと、ここって昔は八幡坂の上にあったんだ。で、そこで2回も火事で焼失したので、谷地頭の方に移したんだそうな――えーと、教会と同居的なカンジがお厭でしたか?
まァ、碧血碑の傍にあるのはお厭じゃないようなので、いいよね、などと思いつつ、(しかし社殿前までは行かずに)一礼して先へ。
私が転んだり、沖田番がずるずるしたりしながら、何とか碧血碑の前へ。
えーと、結構まめに手入れをしてくれる方があるんですね――石段のところに砂(=滑りどめ)がいっぱい撒いてありました。そうか、夏に来たときに、“何でこんなに砂が”(足をかけるところが狭くなって、ちょっと危ない)とか思ったのですが、このせいだったのね。冬場の雪のある時期にはありがたい、が、雪が凍っちゃうとあんまり……
ともあれ、一礼して、碧血碑を後に。


さて、1時も過ぎたし、腹も適度に減ったし、で宝来町へ移動――ええ、函館と云えばBons amisですよ!
今回も、沖田番はAランチでメインが牛の煮込み、私はBランチで自家製ラザニア。
旨! 前菜盛り合わせもどれも美味しかったのですが、ラザニア! ベシャメルソースとミートソースが、混ざったり混ざらなかったりでどっちも旨い。沖田番の煮込みもうまうま。相変わらず美味しいわ……
ここで沖田番、前回(奴の前回は'07年の7月)から食べたかったものについて、奥様(だったはずだ)に質問を。


「あの、子羊のメンチカツってな、食べられねェんですかい?」


前に食べて、非常に好みだった沖田番、“駄目もとで!”の質問ですが。


「あー、最近はやってないですね、そう云えば」


とのお答えで、玉砕(この時はね……)。
まァまァ、夜があるじゃないか、とか云いつつ(ええ、また来るつもりですとも)、とりあえず堪能して、お店を出ます。


さて、次は五稜郭
今回の旅行の三分の一は、新しく出来た箱館奉行所が目当てだったのです(残りの三分の一以上は飯)。
まずはタワーに昇り、上から展望。うん、まわりの囲いとかも取れてますが、入り口のところの幔幕的なあれは取れないのかァ……(理由はあとでわかりましたが)
とにかくぐるっとまわって(今回は沖田番も鬼の像と写真は撮りませんでした)、タワーを出、五稜郭の中へ。
えーと、何か段々雪がひどくなってきた……何、さっき(碧血碑あたりで)「雪がちっと物足りねェなァ」(だって、杉の木とか葉の残ってる木が黒々としてるんだ)とか云ってたせいか!? まだ昼ですが、あんまり降りがひどくなってきたので、写真屋さんも撤収しはじめてる……ううぅん。
とりあえず中へ――ああ、この幔幕的なものは、入口の風除けのためなのね。
靴を脱いで袋に詰め、屋内に入る。ここで入場券を買い求め(¥500-)、いよいよ内部です。


えーと、最近流行の、当時の工法によって建てられた建物です。うん、壁も土壁(これね、10年ぐらい経つと罅が入ってくるんだぜ)、柱も立派。
使者之間から、再現ゾーンの四之間→参之間→弐之間→壹之間と順に見ていきます。壹之間の違い棚、塗りが美しい……! 京都かどっかの職人さんに発注したものだそうですが、うん、綺麗な漆だ。金かかってんなァ。
床の間の掛物は、箱館奉行所関連の人のもの(釜さんとか、過去の箱館奉行の人とか)でしたが、名前がわからない人が多く、やっぱ知識に偏りがあるんだなァと痛感。まァ、これ以上、歴代箱館奉行にまで手を伸ばしてもなカンジはありますが。
再現ゾーンの床は暖かいのですが、その横の廊下は寒い……床暖房?


「畳張りですぜ、そんなわきゃあねェでしょう」


と沖田番は云いますが――じゃあ、ボイラーの管みたいなのでも下を通してるのかなァ? 外は多分マイナスでしたが、非常にあったかかった。奥の表座敷は寒かったけどね……
そこから歴史発見ゾーン(関係者のデータを見れる端末の選択肢に、永井玄蕃さんがいなかったのは何故……甲賀さんとか中島登もいたのに)、建築復元ゾーンを見て、さらっと外へ。


外に出ると、さらに雪が! 視界が白い! ちょっと吹雪っぽくないか?
その中を、ぐるっと散歩。
と、ちょっと行ったところに案内板的なものがあり。見ると、やはりこの奉行所の建物は1/2〜1/3くらいの規模でしか修復されてないっぽい――実際には、まわりにもっと大きく建物が展開していた模様。復元されているところは正面(玄関は、確かに昔も玄関だった)まわりだけで、あの建物の左側〜奥一帯に、台所だの女中部屋だの、勘定方だの公事方だの組頭詰所だの、が、大きく広がっていた模様。
でもって、前に自分が書いたタロさんの話の、鬼の馘を置いた小間ってどこだろう、と探したのですが――可能性として、建築復元ゾーンの奥に当たる、“溜”と書いてあるところ、ここじゃあないかと。いや、何か、この規模の部屋だと、普段使ってなさそうかなと。それだけの話なのですが。何となく、玄関入って左手、の奥の方と云うイメージで書いてたので、ぴったりくるのがこの“溜”か“近習控所”か二択だな、と。


でもって、仮牢やら土蔵やらの跡をまわった段階で、もうちょっと雪がヤバイ、と、撤収することに。
とりあえず、タワーに戻り、寒いので&沖田番の野望、濃い牛乳を! を満たすために、一階のショップで暖かい牛乳と、私はコーヒー牛乳を戴く。あったかくてうまうま。確かに濃い。コーヒーも濃い目だった……
で、ちらりとお土産物も見てみたのですが――何か、前回(’09年11月)きた時よりも、鬼の関係の土産物増えてないか……?


「前回(こっちは'07年7月)より、確実に増えてますねェ」


と沖田番は云う――そうだよな、前はもちょっと少なかったし、こんなに棚にみっしり詰まってもいなかったよな?
うううむ、と思いつつ、イカール星人を探す、と、入口近くに移動してた。おお、かぶりものがある!
沖田番は、流してる動画に食いついておりました。レジでねーさんに「あれァDVDとか売ってねェんですかい?」と訊いてましたが、しかしかとした返事がなく、がっかりしておりました。だから、動画探せば出てくるって云ってんだろ! ったらば、探して焼けと云われましたよ……
しかし、イカール星人、1869年に侵攻開始、って――って云うか、サトリ星人、何で鬼を勧誘! 太鼓楼で脱出するのは釜さんじゃないとおかしいだろ! まァ、釜さんじゃあ作戦指揮の役には立たないけど!
とりあえず、イカール星人は沖田番のツボに入ったらしく、しばらく「タワーロボはいつ発進するんですかねェ」などと云っておりました……


3時になったので、頃合いもよし、一度ホテルへ戻ります。
市電に乗っていると、目の前に立った女子高生の一人が、何かこっちにアピールするように髪を手で梳く――えーと、誰かイケメンでもいますかね……?
十字街で下車、赤レンガ倉庫のところで今晩&明晩の酒をGET。チェックイン後、温泉(が、ラビスタ函館の売り)に入るのです。谷地頭と同じ泉質!
えーと、部屋は、函館山の正面でした。ちょいと左手に二十間坂が見える、わりと端っこの部屋。そんなに広くもないのですが圧迫感はなく、ベッドの足の方に窓が大きくとってあって、中々いいカンジ。窓の前がカウンターになってて、そこにいろいろ置いてあるのです。
温泉付なので、部屋にはシャワーブースがあるだけですが、温泉目当てだから別に内湯あっても使わないしね。
籠に一式温泉用のタオルが詰めてあり、それを持って行けと云う――谷地頭の泉質と同じってことは、褐色のお湯なので、部屋用の白いタオルだと変色するからですね。
いそいそと籠を抱えて、いざ最上階へ! 女湯は北向きですが、露天風呂が建物の端っこなので、五稜郭方面も函館山方面も両方とも見えるのです。
ざっと身体を洗い、まずは内湯で温まったら、いざ露天!
マイナス温度+雪が舞い散ってますが、これはこれで、っつーか、心臓が弱くなければまっぱでも充分にいける! 外気温が低いので、結構長湯してものぼせません。
じっくりゆっくりお湯につかり、街灯が点りはじめたあたりでようやっとあがります。


でもって、夕食の前に、函館山
が、吹雪がものすごい! やほーの天気予報は正しかった! ロープウェーは動いてるのか、とか云いながら、二十間坂を上がり、山麓駅へ。途中、凍った路面に降り積もった新雪に足をとられ、派手にすっ転ぶ私……コートが雪まみれで真っ白に。


「危ねェから気ィつけてくだせェって、何度も云ってるじゃねェですかい!!」


と沖田番に怒られつつも、何とか山麓駅に到着。
途中の駐車場はガラガラでしたが、それでも何とか動かしてるっぽい……
と云うわけで、往復乗車券を買って、山頂へ。中国人の団体さんと同じ籠で、五月蝿いには五月蝿いのですが、人口密度は低かった……
とりあえず、展望台に参りましたが、吹雪で真っ白で、夜景どころじゃない! 
とか思ってたら、いきなり風が吹いて、とりあえず街の灯りが見えた! 百万ドルとはいきませんが、それでも嬉しい! 寒さで耳が痛くなるまで、展望台で夜景を見下ろしました。
しかし、これは耳あてが要る、と云うことで、下の土産物屋で安いのを購入。これが結構優れもの。薄いので音はわりと良く聞こえるのに、風はしっかり防いでくれる。これが滞在中とっても活躍いたしました。
しかし、耳あて+キャップ系の帽子+黒のマキシコートの組み合わせって、何か八甲田山とかそう云うカンジっぽい……(冬の旧日本陸軍将校みたいな)
沖田番も「俺もそう思っちまいましたぜ」とか云う。まァ、女にァ見えねェなァ。


でもって山を下り(帰りの籠から見た麓は真っ白で、ホント夜景どころじゃなかった……)、護国神社坂を下って(また転んだ)、再びBons amisへ。
今回はプティコース+沖田番がジュース、私はラズベリー風味のスクリュードライバー
お通しが牛肉のたたき、前菜は蛸のカルパッチョ
蛸のカルパッチョ、上にマスカルポーネがのっていたのですが、これが、柚子風味で、マスカルポーネも臭みがなく。何だこれ! と云うお味でした。何だあの味!
次が葱のポタージュ。これも、葱! なのに臭みが感じられない。旨!
何だこれを連発しつつ、魚料理の鱈のソテー。白子も一緒にソテーしてある。旨! バター、バターが、とか云いつつ、ソースをパン(2個目――一個目はシャンピニオンで、バター塗って普通に食べてしまった……)で拭って喰う。
肉料理、が――昼間の一件を憶えていてくれた奥様が、「宜しければ、メンチカツにしましょうか……?」 小躍りする沖田番。
と云うわけで、沖田番が子羊のメンチカツ、私は普通の子羊のステーキで。
旨!! 沖田番は、野望が達成できて感無量。ちょっと貰いましたが、いや、確かにあれは美味しい。もちろん、普通のステーキも美味しかったですよ。こちらもソースをパンで拭い、完食。
デザートはラムレーズンの入ったプディングマスカルポーネのムース、それにバニラアイスでした。甘みが控えめで、油分が洗い流されていくカンジ。紅茶を戴き、満腹満足でお店を出ます。たっぷり1時間半の食事でした。また明日! (←え)


外に出ると、ちょっと雪が小降りになってたので、そのまま歩いてホテルに戻る。
身体を温めるためにまずは温泉、で、上がったら酒。今回はスパークリングワイン。
函館のワインは、ここしばらくで美味しくなったような気が――スパークリングワイン、やや甘口で美味しかった。しかし、例の「土方歳三の血」や「ゆかりの人」は消滅しており、代わりに鬼の過去やら未来やらと云う名のついたワインが売ってました――釜さん、人気なかったんだね、やっぱ……
半分以上私が飲んで(沖田番は炭酸のきつい飲み物が苦手)、いい気分でまた風呂(←って、飲酒後の入浴は気をつけろって云うよな……)。
ぬくぬくになって、水分を補給し、寝たのは2時近くになってからでした。


† † † † †


この日は終了。
2日目に続きます。