箱館雪中行 その2

と云うわけで、雪の箱館、二日目。
お暇と興味がおありでしたら、続きをどうぞ〜。


二日目の起床は8時。
今回はちゃんとアラームを切っていたのですが、沖田番が7:30くらいから起き出していたので、それで何となく目が醒める。
起きたらまずは風呂! 朝風呂は温泉宿の醍醐味ですね!
露天から見ると、箱館市街は真っ白でしたが、天気はまァまァ? ちょっと小雪がちらついてますが、昨日ほどの暴風雪にはならんだろう。
しかし、気温はかなり低く、本日も防寒をきっちりしていかねばなりません(っても、ヒートテック+薄手のセーター、80デニールのタイツとジーンズ、にマキシコートとマフラー、帽子と耳あてで、懐炉は使いません)。
朝食は2階の“北の番屋”で、ビュッフェ形式。ここは海鮮が充実してます。いくら! いくら! お粥注いだのに、いくらもたっぷりのせてしまいました……だっていくら!
沖田番は制限がゆるくなったので、もずく酢とわかめの味噌汁を(当然、これ以外にも山のように)、私ももずく酢と海藻サラダ! 旨!
結構な量を食べ、さて出発。


とりあえず本日の野望は函館市立博物館です。
が、その前に称名寺へ。
十字街からどっく前へ、魚見坂を上がって称名寺。ここのお地蔵さんには必ずお参りしなければなりません。
供養碑なんかは遠くから一礼するだけで、お地蔵さんにはきちんとお参り。
隣りの実行寺――どうしても入れない。妙心寺? もそうですが、日蓮宗のお寺はどうも駄目。京都でも、本能寺の境内に足を踏み入れたことがありません。鎌倉でもそうですね。日蓮にトラウマでもあるんだろうか。
で、門の下からかるく一礼だけして、元町公園へと向かいます。もちろん歩き。
元町公園までは1km弱らしいのですが、まァ水平移動(って云うか)なので、別にそこまで大変でもなかろう、と云うことで。
しかし、道路の移動はともかく、公園内が……雪でどこもかしこも埋まってる! もちろん、誰かが踏み固めた細い道はあるのですが、階段とか危ねェ! 手すりにつかまったりしながら、そろそろと下ります。
公文書保存庫を見たり、“箱館奉行所跡”の標を見たりして、旧英国領事館へ。


ここでの野望はもちろんヴィクトリアン・ローズ。
アフタヌーンティを戴きたいのですが、結構御腹いっぱいで、沖田番と折半して、アフタヌーンティを1つと、単品でお茶+スコーンを。サンドウィッチも食べたし、スコーンは美味しいし、うむ満足。
後から入ってきた女子三人組が、アフタヌーンティを3つ頼んでましたが、あとで「結構多い……」と呟いてました。うん、そうだろうとも。


満足したら、今度こそ函館市立博物館へ。もちろん歩いてまいりますよ。
東本願寺別院前を通り、ずっと東へ歩きます。二十間坂から東のこのあたりは、はっきり云って裏通りなのですが、それが逆に、生活感のある感じで、中々良い。北海道に来たなァと云うカンジが致します。
てくてく歩いて、青柳小学校の前を通り、そこから曲がって函館公園へ。
公園内ももちろん雪で覆われているのですが、通路やベンチは結構雪がどけてある――見ると、職員の方がシャベルや何かで作業をしておられる。こういうところが凄いよなァ、と思いながら、博物館へ。


博物館は、とりあえず寒かった……
や、見たい絵があって行ったのですが、それは展示してなかったので。
でもまァ、海の生き物や鳥の剥製、お雛様の展示なんかあって、結構楽しめました。あと、企画展(?)の三平碗(三平汁専用の食器)がずらっと並んでいて、それはそれで壮観でした。
っつーか何、三平汁って、函館では特別なの? 会津のこづゆみたいなもの? お皿が結構洒落てて、ちょっと欲しくなりました――古いもののなかでも出来のいいのを展示してるんだから当然でしょうけども。
あと、干支にちなんだ鍔の展示もしてあって、兎の餅つきのとか可愛かったです。
箱館戦争関係は――さらっと見流したカンジで(汗)。ははははは……(汗) あ、伊庭の迷子札見た。お前あれずっと身につけてたのか……微笑ましいような、そうでもないような。迷子札のかたち自体は可愛かったけどね。


えー、2時近くになったので、五稜郭公園前へ――ペシェ・ミニヨンのティールームに。それだけ。
沖田番は生ハムのサラダ(パン付)、私は鴨肉ときのこのガレット。どっちもうまうま。若干もの足りなかったので、私はクレープ2種盛を追加。これも旨。
沖田番、頼んだドリンクのマンゴージュースが、やけに青臭さが残ってることに驚愕。


「コ×・×ーラの缶スープみてェですぜ!」(←コ×・×ーラの缶スープは、バジルの青臭さまで忠実に再現しています)


って、それ褒めてねェ! ……とりあえず、生搾りっぽいと云うことでいいんだな……?
クレープは、赤砂糖? ののったクレープがめちゃ旨! これは美味しい。紅茶はニューヨーク・アールグレイ、多分トワ×ニングのレディ・グレイみたいなのでした。そんな感じ。


で、店を出てそのままホテルへ戻り(ホントにお茶飲むためだけだったんですよ)、また温泉。
でもって、4時ごろにまた五稜郭へ!
これも目的のひとつでした、「五稜星の夢」と云う冬季限定ライトアップを。
この日は晴れてたので、多分函館山は凄い人出だろうとか云いながら、タワーを目指します。
「五稜星の夢」の時間帯(17:00〜タワーが閉まる19:00)は、ちょっと展望台に上がる料金が安いのです(確か¥780-?)。ついた頃にはもうイルミネーションが点灯されてて、見下ろすとぼんやりと星のかたち。や、あんまりキラキラもしてないので。
函館山よりずっと低い位置から見る夜景も、これはこれで近くていいです。何かこう、光の中に浸ってるカンジ。
写真を撮り、ついでに公園内に行こうと思ったのですが、18:00を過ぎてたので、もう中には入れず。
折角だからと、五稜郭の外の道をぐるっと歩きます。沖田番のお散歩――まァ、旅行ってそんな目的もあるよな。


ぐるぐるっと、堀のまわりを歩く。晴れてたせいか、陽が落ちてから結構冷え込んできてるカンジ(放射冷却?)。耳あてと手袋をつけて歩きます。
歩いていくと、五稜郭のちょうど北西部に案内板的なものが。どうもこの先一帯は、かつて箱館奉行所の役宅があったあたりで、箱館戦争最終局面で、“官軍”を撃退する邪魔になると判断した旧幕軍側が、ここに火を放って灰燼と化したと云う説明が。
まァそうだろうなァ、私が指揮官でもそうするよなァ。屋敷が立ち並ぶ一帯って、どうしても死角が多くなるから、そこに例えば大砲とか持ち込まれたらことだもんなァ。五稜郭って、いつの時代の大砲を想定して城郭の高さを決めたのか定かじゃないのですが(宇都宮城の方が、砲弾に対する備えは出来てるカンジ)、役宅街のあったあたりからなら、昔の大砲でだって余裕で城内を射程に入れられたと思うもん。そうでなくたって、塀の蔭から小銃とか撃ちかけられたら、ホントマジ酷い目に遭うことになったと思います。まァ、延焼をどうしたのかは定かではないんですけどね……それが問題なんですけどね、ふふふふふ……


ぐるっとまわって、元のところに戻ると、19:00過ぎ。
そろそろ行くか、と、市電に乗って、宝来町へ。またしてもBons amis。だって、明日は水曜だから、食べたくとも食べれないんだ!
寒いせいか(多分マイナス6℃くらい)、他にお客はありませんでした。貸切〜♪
誕生日なので(プレですが)、スパークリングワインをグラスで戴き(私だけね)、さて、今回はアラカルトでいくぞ!
まずは前菜、昨日美味しかった牛肉のたたき、鶏レバーのパテ、アボカドとエビのパテ、本日のカルパッチョはサーモン。
の前にお通し。豚肉のパテ(フランスパンにのったのが二切れ)。美味しい!
で、パテ2種から。鶏レバー旨! 思ってたの(中野の旨飯屋のレバーパテとか)とはまた違った、でも文句なしに美味しいパテでした。っつーか、考えてみれば、私、レバー嫌いなんだけどな……焼き鳥とかでは絶対食べないんだけどな。でも、これは美味しかった、マジ。苦手な人でもいけると思います。
アボカドとエビのパテは、やっぱり思ってたの(中野の以下略)と違って、ふわふわの食感&非常にマイルド! エビが生っぽいのですが、臭みもなく。そのくせ、鶏レバーと交互に食べても味が霞まない! 何だこれ!
さくさく戴き、次は牛肉のたたきと本日のカルパッチョ
牛肉のたたきは、結構量を食べるときつい(味がはっきりしてるので)のですが、肉好きの沖田番的には、これくらいの方がいいらしい。
そっちは沖田番に譲って、私はカルパッチョの方を。サーモンに、またしてもマスカルポーネ。しかし、本日のには柚子は入っておりませんでした。まァ、サーモンって意外に味が淡白(蛸の方が味がしっかりしてる)なので、あんまり癖のあるのもアレかも知れませんね、確かに。
しかし、前菜についてたピクルスが、すっごい酸っぱくてびっくりしました。目が醒めるほど酸っぱい。男性でこういう酸っぱさが好きな人って珍しいなァ。でも、素材によって酢の染み込み方が違うので、いろいろ楽しめました。かぶのまろやかな酸味はよかった。蕗と人参、大根はかなり酸っぱかったです……
そのピクルスの酢を使ったと思しきドレッシングのかかったサラダ。酸っぱい! でも、グリーンサラダにはあれくらいがいいアクセントかも。
スープはごっこ(=ホテイウオ)のミネストローネ。魚でミネストローネって珍しいよな! しかも魚卵入り。これもトマトがしっかり酸っぱく、お蔭でごっこの磯臭さがかなり薄れてました。ごっこは、あんこうみたいなぷるぷるの皮(?)が面白い食感。多分コラーゲンたっぷり。
で、肉料理は、沖田番が牛肉のステーキ山葵ソース、私はまたしても子羊のソテー。
山葵ソース、山葵大好きな沖田番が思わず眉間を押さえるほどにきいてたらしい。私は謹んで辞退(山葵苦手)。子羊のソテーは、胡麻を衣のように(片面に)焼き付けてある感じ。どっちもバターがきいてる。旨。
ソースをパンで綺麗に拭い、さて完食(結構御腹いっぱい)と思ったら、何故かデザートが――頼んでないよ?
「サービスです」と出されたデザートプレートは、昨日より多い四種盛でした。チョコレートケーキ(ずっしり重たい)+ラムレーズン入りプディングマスカルポーネのムース+バニラアイス!
……デザートは別腹ってホントですね、完食致しました……
っつーか、マスカルポーネのムース! 昨日はわかんなかったけど、これと重たいチョコレートケーキを合わせて食うと、いきなり軽く食べられるのだ! 魔法! 何だこれ! 単品で喰うと、胃にずしっとくるくらい重たいケーキが……マジで魔法だ……
プディングもバニラアイスも美味しかったのですが、とにかくマスカルポーネの魔法を噛みしめました。
美味しかった……また次回! (←オイ……)
いやー、しかし、ホント今回は、シェフに“マスカルポーネとバターの魔術師”の称号を(勝手に)捧げたいと思いました。マジ旨かった!


またしても1時間半ほどのたっぷりの夕食をとって、腹ごなしに歩いてホテルへ。
しかし、喰ってるうちにまた気温が下がったものか、外は人っ子一人おりません――赤レンガ近辺も軒並み閉店後で、ホントに誰も歩いてないよ……
冷え切ってたので、いそいそと温泉に入る。
温まって、部屋に戻り、本日の酒。本日はりんごの発泡酒。シードル的な?
やや甘口でうまうま。エゾ鹿のジャーキー(“新鮮なエゾ鹿”って何だ)とじゃがぽっくるをつまみに、さくっと飲み干す。
でもって、就寝は1時ちょっと過ぎだったような。


† † † † †


この日は終了。
最終日に続きます。