真言古寺巡礼 その2

ってわけで、京都二日目です。
お暇と心の余裕のある方は、続きをどうぞ。



二日目の起床は7:00ごろ。いや、いつものアラームの一番遅いのは生かしてたので、沖田番は6:30くらいには起きてたんですが――私がね。
風邪の具合はまァまァ。
さて、今日は、今回のメインイベント、高雄山寺=神護寺行きです。



駅ナカカフェで朝食後、北口のバスターミナルからJRバスで高雄へ。四条烏丸あたりから市バスも出ているのですが、乗り換えなしでいけるJRバスで。高雄までは約50分、運賃は\500-です。大体一時間に1〜2本の割合で運行されてます。
この日は立命館大学の入試日で、大学前までは激混み。そこを過ぎると、車内の人数は片手で足りるほどに……
仁和寺とかを行き過ぎて、いよいよ自分らしかいなくなったところで、山城高雄に到着。うわ、靄が凄い。“霧立ち上る”ってのはまさにこんなカンジか……(あの歌は“秋の夕暮れ”だけど)



高雄山寺じゃなくて神護寺には、石段をずっと下の川べりまで下りていく模様。
ちょうど雨が上がったばかりで、木々の枝の先には、水晶の粒みたいな雫がいっぱいについている……歓迎されてる気分。
いい気分で川べりまで下り、橋を渡ると目の前に石段が……ここからが長かった!
長くカーブした石段を上がっていくと、お茶屋らしきものが見え。“もうちょっとか?”と思ってさらに上がると、やや平坦な道の先に、さらに石段、そして山門が……
いや、“バス停から徒歩20分”は伊達じゃねェわ。ガイドブックとかには、“緩やかな下り坂になっているので、高山寺西明寺神護寺の順に行くと良い”とか書いてありますが、これは神護寺から行くべき! 最初の体力のある内がお勧めです!
最後の石段を上がると、やっと神護寺に到着。これは確かに“修行の場”だわ……



えー、窓口で拝観料\500-を払って、境内へ。
おお、中は結構平坦だ――本坊が、入ってすぐ右手にありますが、勅使門? 的な門がなかなか立派。こんな山の上なのに!
そう云えば高雄山寺は、『性霊集』編んだ真済が受け継いだんだよね。
かわらけ投げのかわらけを受付で買っちゃった(オフシーズンなので売店が休みらしい)ので、とりあえず大師堂だけお参り? して、かわらけ投げに行きます。
つか大師堂、何かこうなアレコレのせいで、“阿闍梨と泰範の愛の巣!”(爆)って気分で生ぬるく……まぁァいいです、愛の巣で!
で、階段を下りてずっと行って、かわらけ投げの場所へ。眼下に川が見える開けた場所です。手すり傍に立って、大きく振りかぶって! ……かわらけは、遠くもない真下の崖に、音をたてて落ちました。近いわ。
続いて沖田番がチャレンジ。やはり肩と腕の力を使って――投げたがあんまり飛ばない。難しいなこれ。
で、最澄が権利を主張した北院? な地蔵院を回り、講堂へ。



講堂には、地蔵院から緩やかでもない坂を上がれるのですが、ここはやっぱり石段で! 息切れしながらも上がります。気合い。
えーと、ここの御本尊は薬師如来らしい――厨子は開いてるのですが、厨子の中も御本尊そのものも黒ずんでて、イマイチお姿がわかり辛い……両側の十二神将や四天王はよく見えるんですが。
あと、外陣(でいいのか)に四体ほど、割と新しい仏様が。造形的には嫌いじゃないのですが、あんまりピカピカで、それがちょっとね……もっと古びたらいいのかも、って、それどんだけ先の話か……
あ、講堂の隅っこに『灌頂暦名』のコピーが展示してありましたが、東博では気づかなかった“貞聡”の名前を見つけて生ぬるく笑いました。ここと叡山、死ぬほど行き来したもんね、貞聡……お疲れ様でした。
とりあえずお参りして、お守り戴こうかと思うのですが、どれもこう……最近お寺巡りばっかだったからなー。と思ったら、前に高台寺あたりで見かけた数珠玉巡り(寺名の入った数珠玉をあつめてひとつの数珠を作るって云う)をここでも発見。今まで集めてはいなかったのですが、せっかくだし、自分で数珠作る時の四天=小玉の間に入ってるアレにすればいいや、と思って柘植玉と赤瑪瑙玉をひとつずつGET。
境内の写真を撮ったら、次は西明寺



えー、槇尾山西明寺は、そもそもはちぃ=智泉が高雄山寺の別坊として建てた庵を、のちに切り離して別寺にしたもの、ってことらしいです。
本当はバス通り=周山街道から行くんでしょうが、ぶっちゃけ階段上がりたくない〜と云うことで、川べり→裏参道でお参りを。
西明寺は、高雄山寺の別坊らしく、非常にコンパクトなつくりのお寺です。神護寺の五大堂とかの方が大きいくらい。ホントに可愛い。
しかし、本堂にお参りしようとしたら、“インターホンで呼び出して下さい”とあったので押してみたのですが……「住職が不在なので案内できません」って! おぉおい、どういうこと!?
まァ、どうせちぃの何かがあるわけでもないと思うのでいいんだけどさ!
ってわけで、境内でかるく写真を撮って、次の高山寺へ。



栂尾山高山寺は、例の「鳥獣戯画」で有名な鳥羽僧正の住寺だった(?)のと、明恵上人で有名なところですね。さつま芋と小豆を一緒に煮たのを“栂尾煮”と云うのですが、多分この寺で発明されたんじゃないかな……
何か、国宝の石水院とか云う建物があるらしいのですが、まずは普通にお参り、と金堂へ。
金堂は、アレだ、会津の歴代藩主の墓所にちょっと雰囲気が似てました。木立の鬱蒼としたカンジとか、高雄山寺とは全然違います。
お参りして、次は石水院。
\500-の拝観料を払って、石水院の中へ。
……えーと、過剰な期待をすると、多分がっかりすると思います。
古い朽ちかけたような橋(?)を渡ると、小さな庵があるのですが、それが石水院です。それだけと云っても過言ではない。有名な明恵上人の掛軸(もちろんコピー)なんかもかけてありますが、まぁ何てことはありません。
庭もね……まぁそんなでもない。ただ、縁側に坐って近隣の山を見ると、昔の山寺の空気を味わえます。そんなもん。



で、栂尾のバス停からバスに乗り、せっかくだからと御室仁和寺へ。世界遺産
お参りの前に、あまりにも空腹で堪らんかったので、門前の蕎麦屋へ。
うん、結構美味しかった。寒かったので、二人とも鴨入り葱蕎麦でしたが、うまうま。腹拵え済んだら、いざ仁和寺
ここは、宇多天皇が出家した時に建てた寺で、現在は真言宗御室派の総本山です。
流石は天皇の建てたとこ、山門とか勅使門? とか、超立派! 特に勅使門? の唐破風の美しさと、格子の繊細さは必見。すごいよ!
っつーか、すごくおっきいね、仁和寺! 五重塔? もあるし、東寺よりおっきいような気がします。これに対抗できるのって、東大寺と、総体としての高野山くらいじゃないか? まァ、その辺はやっぱ天皇(正確には、出家後だから“院”だけど)の建てた寺だからなんだろうけども。
とりあえず講堂へ、でもって大師堂行って、ぐるっとまわって帰る。
あ、有名な“御室の桜”がいっぱいに植わってましたが、なるほど、花の位置が低い。木が背が低いんだね。それで“御室の桜”っていうと“鼻が低い”になるのか。納得。(前に沖田番が見た夢の中で、京美人の姐さんが、恋敵の女のことを“御室の桜”と呼んでたそうなので)
ここは、花の季節は綺麗なんだろうねェ――人もすごそうだが。



で、嵐電に乗って、太秦へ。
実は行ったことがない広隆寺で、かの有名な弥勒菩薩半跏思惟像を見たい、と云う、ただそれだけ。
しかし、行ってみて驚いたのですが――広隆寺って、真言宗のお寺だったのね! や、何か秦河勝聖徳太子から下された仏像を祀るために建てたとか云う話だけ知ってたので、奈良六宗のどれかかなーと(清水寺法相宗だし)とか思ってたのですが。阿闍梨の弟子のひとり道昌(←弟子伝とか弟子譜に載ってる)が秦氏の出身で、弘仁九年に広隆寺を再興したのがこの道昌だったので、ここは真言宗になったらしい。つか、弘仁九年って、阿闍梨まだまだ現役時! 最澄と物別れになってすぐの話じゃん。何だこの取り合わせ。
とりあえずお参りして、宝物館へ。これがね! 結構凄かった。何かこう、弥勒菩薩がかすむくらい、いろんな仏像がありました。平安期の仏像ってやっぱ好きだが、しかし確かに鎌倉期のも捨てがたい。ここは結構来てみる価値がありました。
あ、ここには秘仏聖徳太子像があり、着物を着せられてるのだそうですが、その着物は歴代天皇の即位の時に来たものなのだそうです。ってことは、今着てるのは、平成元年に着せかえられた、ってことですね。ちなみに11月の下旬? か何かが公開日だそうですので、見たい方はその時期が宜しいかと。



で、再び嵐電に乗って四条大宮へ。
そこからバス(バス停に見た顔のポスターが、と思ったら、新撰組の大会か何かが宮古であると云うのだった)で京都駅、ホテルに戻ってまた仮眠――だって、流石に高雄〜栂尾間の山歩き? は疲れた……
夕食部屋でお弁当でも、と思ったんだけど、何かお互いに、気分的に温かいものじゃなきゃヤダってことで、四条へ出ることに。ホテルのバスがあるって便利だわ。
どうしようかと思いつつ、初めて先斗町に足を踏み入れてみる。木屋町は、以前探検して、まァそこまででもないカンジだったので。
ぐるっと一周して、一番気になったフレンチのきしもとがお休みだったので、三番目(二番は、ここもお休み開陽亭)に気になったみます屋へ。
えー、みます屋は、美味しかったけど、全体的に料理がぬるかった――鴨川ビューの席は良かったですが、熱くあるべき料理がぬるいって! しかもそんなに安くもないし! ってことで62点。
次に先斗町に来たら、きしもとか開陽亭にいってみようと思います。



で、流石に歩く気力がなかったので、四条河原町からバスで京都駅。時間が時間だったからか、めっさ混んでた。しかも当然のように時間通りに来ない。京都ではバスに乗るべきじゃないと思いますね。っつーか、車は良くない。電車か地下鉄+歩きにするべき。
部屋に戻って、昨日飲まなかった酒を飲む。
こっちでタイバニやってるかなーと思ったら、放送してない……仕方がないので、平等院スペシャル番組見て、例の望月の歌で悶絶。そろそろ止めて下さい黒歴史なんだから。実資が余計なこと書き残すから! ホントマジ勘弁。鬼のアレコレ並みに。
とか云いつつ、気がついたら撃沈してました。



二日目終了。最終日に続きます。