ラファエロ展。

と云うわけで、やっと日付が近づきました、国立西洋美術館ラファエロ展観覧記です。
が、今回は、展覧会観覧記のくせに毒吐いてますので、ラファエロお好きな方は回避お願い致します……


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えーと、GWあけは先生の展覧会を見に行きたい(アトランティコ手稿!)ので、中日平日のこの日に行こう、と云うことで、沖田番と二人で上野。
西洋美術館でラファエッロです(←こっちの呼び方の方がしっくり……)。
まぁ正直、別にラファエッロいいかなー(パクリ野郎だし)とか思ってたのですが、一応“三巨匠”の一人枠だし、ネタとして見とくかなーくらいのカンジ。
っつーか、三巨匠のツートップ(先生&ミケ)がA日で、ラファエッロのみY売って、何か何かを表してるカンジ?
あ、ラファエッロはアレですが、チケはちゃんと買いましたよ、ええ。



えー、で、ラファエッロですが。
すみません、何かこう、薄かった――いえ、宗教画的に。
『大公の聖母』(でしたっけ?)もそうでしたが、特に初手の方にあった初期の聖母や天使、聖人なんかの絵がうっす!! 何だこの薄さ、ってカンジで、何て云うんでしょうか、ピントリッキオとかペルジーノとかに較べて、宗教画らしさが全然足りなかった……
私は正直、ペルジーノを巧いとかいいとかは思ったことなかったのですが、こと“宗教画”と云う枠においては、少なくともラファエッロのよりは“宗教画”らしい敬虔さがどこかにあるような気が致しましたよ。つまりはラファエッロのにそれがない、と云うことなのですが(苦笑)。



あと、ラファエッロって、どうもデッサンがあやしい……見た感じ綺麗なんだけど、微かに違和感があると云うか。あからさまにデッサン狂ってるわけではないんだけど、しっかりしたデッサンの絵と較べると、何かふにゃふにゃして見えるんですよね。
そう云う意味では、ローマ時代にラファエッロの協力者だったと云う、マルカントニオ・ライモンディの絵(あれは銀筆だっけ、鉄筆だっけ、それとも版画?)の方が、あらゆる意味で安心して見れました。まぁ、もしかしたらライモンディと云う人は、油彩とかフレスコとかの着彩が苦手だったのかも知れないのですが、でもまぁ、非常に確かな筆力のひとで、あれを見ただけでもこれに来た甲斐はあったなぁと思いましたです。


それに較べて、ラファエッロはね……
何だろうこの人、あの、愛もないのに薄くて高い本(笑)作って売る、みたいな、金もうけに走ってるのかな的なフィーリングを感じたり致します。
って云うのは、みけらにょろでも先生でも、あるいはこの間見に行った河鍋暁斎(三井記念美術館の、能・狂言絡みのアレ)でもそうなんですけれど、割と画家って云ういきものは、デッサンを取った後に、その隅にちょこちょこと手や足のバリエーションを描きこんだりとか、衣装の柄やなんかの覚書をメモしておく人が多いようなんですが――ラファエッロのスケッチって、そう云うの一切ないんだよね。
そう云うの見ると、そして、例の“モナ・リザ”の模写とかそう云うの見ると、どうも、ラファエッロって人は、スケッチするのは構図をパクるためで、目の前のモデルとかをしっかり見て、自分で試行錯誤とかしないのかなぁ、と思ってしまうのです。
まぁ実際、後期のラファエッロの聖母子像って、結構はっきりみけらにょろか先生が元絵のもの(もちろん+α、つまり他の画家、のもありますが)に分類できる(聖母の顔つきでわかります)し、これぞ“ラファエッロスタイル”ってものがないことを考えても、まぁそうなんだろうなぁとは思ってたんですが。
それでも、もうちょっと宗教画らしい敬虔さとか真摯さとか、そう云うの期待してたんだけどなぁ……駄目でしたね。



そう云う意味では、ラファエッロって、肖像画の方がいいような気がします。
まぁ、例の『アテネの学堂』も、半分くらいは“当世画家集合之図”みたいなとこがありましたし、豚、じゃなくてレオ十世とか、今回のビッビエーナ枢機卿の肖像とか、『ラ・ムータ』とかの方が向きなんじゃないかなぁ。いや、今さらこういうこと云ってもアレですが。
何かこう、自分でバランスのいい構図とか考えるよりも、メインの人がガーンといるカンジの肖像画描いてりゃよかったんじゃないの?
人のみならず馬とかのデッサンもあやしかったので、胸から上だけだったら誤魔化せたんだろうな――あ、でも、身体の向きと腕の向きのおかしいのがあったから、それもちょっとアレか。
まぁ、綺麗な女が好きで、そう云う女ばっか聖母のモデルにしてたらしいモテ男(そうなの?)ラファエッロのことですから、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』的、可愛い娘を可愛く描いた絵、がお好きな方には良かったんじゃないのかにゃー。
とりあえず、個人的にはマルカントニオ・ライモンディと云う人を知ることができたので、それが良かったかなー。



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ってカンジの毒吐き観覧記でした。
うん、ラファエッロ嫌いなんだ。絵と云うより、人間性が。そんだけ。
じゃあ見に行くなって話ですが、あんな奴でも一応“三巨匠”の端くれらしいので、押さえておくか程度のね。
もうアレなので観覧記立てませんが、河鍋暁斎の方が百倍良かったよ! スケッチとか、ホントこの人画家だな! って云う感じで、面白かったです。浮世絵画家のスケッチとか、あんま見る機会なかったので、余計に新鮮でした。ふふ。



さて、まだ話じゃなくて申し訳ありません、次はサラの絵も来てたよ! ダ・ヴィンチ展観覧記で!