京都古典紀行 2

京都紀行二日目、醍醐寺篇。
お暇と心の余裕のある方は、下からどうぞー。



二日目の朝は7:00起床、沖田番が。
まだだらだらとしつつ(沖田番の方が支度に時間がかかるので)、ぎりぎりまで寝ていましたが、8:00近くになったのでやっと起き。
今回のツアーは朝食ついてなかったので、朝食求めてホテルを出ます。行く先はまた寺町。



えー、京都では結構有名な進々堂と云うパン屋が寺町にあるのですが、そこのモーニングが美味しいと、何かで見たからです。雑誌だったかな?
うちの親父が元パン屋系の会社で、その進々堂の新聞記事を事前に見せてくれてた(但しそれだと、京都大学の近くに店舗があった頃の話が書いてあった)のですがね。
もちろん、他にもモーニングが有名なところは幾つもあって(例:イノダコーヒー、スマート珈琲)、そこもいいかな、とか思ったのですが、しかしパン屋のモーニングって気になるじゃないですか!
と云うことで、沖田番を引きずり進々堂へ。
場所的には一保堂(お茶屋――しかし、個人的には近くの柳桜園が好み)の斜向かいあたり? 老舗のパン屋だそうですが、建物はごく新しい。明るい感じのお店です。
市役所の近くだからかな、結構人が多い――って云うか、外国人率高い。しかも(もちろん)ツアー客じゃなく、欧米系の個人旅行者。
とりあえずモーニングセット――沖田番はミネストローネの、私はスクランブルエッグの+ヨーグルト。足りなきゃもうひと品いけばいい、と云うカンジで。
ここのモーニング(トースト系)は、パンが5種類から選べます。沖田番は雑穀生活、私はコティディアンと云う田舎パン。要は“パン・ド・カンパーニュ”と云うやつですね。
とりあえず。コティディアン美味しかった……! 思わず家に買って帰っちゃった。いいお値段ではありましたが(うちの店と同じとこに入ってる、アルザスかどっかのパン屋の方が安いかも……)、しかしまぁ、うん、美味しいのは美味しかったです本当に。
でもって、まだ腹六分目くらいだよなーと、その後沖田番がクロックムッシュ、私がフレンチトースト、を追加で食べた、ら! ものっそい腹ぱんぱんに……
これはもう、がっつり歩くしかない、と云うことで、本日のお寺、醍醐寺へGo!




醍醐寺は市営地下鉄東西線で、醍醐駅で下車。そこから歩きです。
実は昔々(平安遷都1200年の時だから、1994年か)、大学の友人で職場も一緒だった(今は店舗が違う)かふ先生と一緒に醍醐寺に行ったことがあるのですが、その時は確かバスでしたね――山科行きのバスで、京都駅あたりから乗ったかな? 夜行バスで往復、つまりはほぼ日帰りの、若くなきゃできない旅でした。
今回は、その時は行かなかった上醍醐寺まで行こうと云う野望があったわけですが。


「アンタ、醍醐寺では“サル”発言禁止ですぜ」
「あー……」(←かふ先生と行った時、秀吉をサルサル云って、急な雨に降られた過去あり)
「俺ァ水濡れ厳禁なんで(←濡れると即風邪をひく)、ただでさえ雨降りになり易いアンタとの旅で、これ以上危険を冒したくねェんでさァ」
「……わかった、気ィつける」


と云うわけで、醍醐寺あたりでは“サル”禁止に。



醍醐駅で降りて、住宅街の中をたらりと進み(自転車+歩行者用の道路が途中まで有)、そこからは標識を頼りに、20分弱で醍醐寺
普段は三宝院+伽藍は拝観料が必要なのですが、今日は節分会で、伽藍は解放されてる様子(三宝院は拝観料が必要でした)。“五大力さん”とか云う幟がずーっとはためいてるなーと思ってましたが、どうやら2月23日にそう云う名前の行事があるようで。
ところでこのお寺は、阿闍梨の孫弟子(真雅と真然の弟子らしい)の聖宝さんが開基とのこと。この人、山岳系密教って云うか密教修験道の世界でも有名な人で、どうも出自は貴族らしい――っても中級〜下級貴族と云うことらしいんですが。
阿闍梨と聖宝さん、両方を祀ったお堂にお参り、それからたらたらと(いろいろお参り)しつつ、いざ上醍醐へ。



えー、上醍醐は別途\600-の拝観料が必要です、が、それを払うのは、下の女人堂のところ――下醍醐の伽藍からは一旦出たところになります。


「一時間くらいかかるけど、お手洗いとか大丈夫ですか?」


と訊かれ、沖田番は行く。私は駅で行ってたから大丈夫。
自販機もあったので、水気を確保して、いざ!
――が、えーと、ものっそい山道! 歩いても歩いても歩いてもつかない! 町石(高野山のアレと似たような)が道々にあって、確かに十一丁とか書いてあるなーとか思ってたのですが、これは!
不動滝と云うのが途中にあって、そこまで行ったらすぐ、みたいに案内図では見えたのですが、ひーこら云って不動滝に行ってみると、“伽藍まで1.2k”とか書いてある――ちなみに女人堂からここまでは1.3k(確か)だったような……って、山道2kか! そりゃ一時間かかるわ!!
ちなみに不動滝からはいよいよ山道で、ひたすら階段的なものを登る。登る。登る。途中、お稲荷さんか何かのところで下を見たが、昨日の伏見稲荷石清水八幡宮なんか目じゃない高さ。
ひーはー云いながら登っていく。コートがダウンで、タートルのセーター、下にヒートテック(長袖)と云う恰好で登ってたら、汗だくだくになったので、コートを脱いで腰に巻いて上がる。気温低い(枝から氷が落ち、雪が舞う程度)ですが、暑い!
やっと傾斜がなくなった、と思ったら、今度はゆるやかに下り。マジか、これ、帰りは登りだよな、と思ったところで、やっと伽藍らしき建物が見えてきました。その辺で町石は十九丁でしたよ――ってことは、2km overだな……



最初に見えたのは寺務所で、もう少し先に行くと、落雷で焼けたと云う准胝堂があるのですが、その下に、醍醐寺の名前の由来になったと云う醍醐水があるのです。自由に飲めると云うことだったので云ってみると、お社と云うかお堂があって、その手前に蛇口とプラスチックのカップがある。
お堂に手を合わせてから、プラカップで水を戴く。うん、美味しい。埃っぽさもほとんどなく、もちろんカルキ臭もない。「雪解け水ですねィ」と沖田番は云うが、うん、しかし山の上なので排気ガスとかも全然かかってない雪だし、美味しいですよすごく! ……ここまで上がってきたって達成感とも関係あるのかも知れませんが。
ともかく喉が潤ったので、お堂の横の階段を(まだ)上がって准胝堂跡へ。
うん、確かに礎石とかしかない。結構大きなお堂ですね。ここは西国三十三カ所巡礼の札所なのですが、今は肝心のお堂=准胝堂が焼けちゃっててないので、下醍醐観音堂=旧・大講堂が札所になっているそうです。奥に石塔があるのでそっと合掌し、次は薬師堂。
上り坂をだらだらと上がり(途中に“二十丁”の町石)、薬師堂へ。もちろん開扉はされてない。すぐ近くに清滝宮拝殿(国宝らしい)もありますが、どう行くのかわからんので遙拝。
お参りして後ろを振り返ると、もの凄く展望が開けている。そう云えば女人堂で“天気のいい日にはアベノハルカスまで見えますよ”と云われたっけな――天気はよくないけど、それか? 的な巨大なビル的建築物の影が見える。多分あれ、と云うことにしておこう。写真を(沖田番が)撮り、次は五大堂&開山堂!



が、この先がまた登り……何だここ。
歩いていくと、途中でT字路的な分かれ道になり、とりあえず五大堂へと、左。
と見ると、手水鉢の水が凍ってる……! マジか。そう云えば、寒くなってきたのでコート着よ、と思ったら、背中一面真っ白になってたんでした――汗の水蒸気的なものが、セーターの表面で凍ったらしい。雪はちらついてたけど降ってなかったもんな。
うっはぁ、どんだけ寒いの、と思いつつ五大堂――の前には阿闍梨とか聖宝さんとかの像が立ってました、ので、お参り。
五大堂は開いてた、ので中に入ってお参り。奥に五大力明王(あれ、前東博密教展に来てたアレかな?)らしき軸がかけてありましたが、暗いのでよく見えず。とにかくお参りだけして、次は開山堂。
開山堂と、如意輪堂が並んでるので、かるくお参り。よし、ミッションコンプリート!
あとは降りるだけ。



しかし、この上醍醐、もともとは修験の山だったのだそうで――って云うか、他の札所は知らんが、ここを下醍醐から上がるって、もの凄い修行だわね。片道2k強の山道を、多分往復したんだろうしな。
ちなみに醍醐山は標高430mだか450mだかで、地図で見るとほとんど大津市みたいなカンジです。グーグルマップの3Dのでも結構な距離&高低差!
ちなみに、五来重氏が『西国巡礼の寺』(角川ソフィア文庫)で書いておられた横嶺峠から歩くルートと云うのは確かに近いのですが、今は通行不可な上に、その府道782号線と云うのが(女人堂の前も通っているのですが)、細い&暗い! (←グーグルアースによる) 確かに標高的には楽だと思いますが、道らしい道もないようなので(昔はあったのかな?)、素人は厳しいのではないかと……
五来氏は、“昔は今と回り方が違って、岩間寺上醍醐→御室戸寺の順だったから、それほど大変じゃなかったんじゃないかな”的なことを書かれてましたが、しかし岩間寺って大津だし、確かに御室戸寺(宇治)よりは標高高いけど、やっぱ大変だったんじゃないのかなぁ、まァ、当時の巡礼路が横嶺峠回りだったのならアレかも知れませんが。しかし、修験の巡礼路で、普通の峠とか通るのかな……
ともかく、ものすごい山道だったので、正直観光気分の方にはお勧めしません。かるくハイキングいく恰好での登山をお勧めします。私と沖田番は、ウォーキングシューズやアウトドア系の靴で行きましたし、何だかんだで山歩きもそこそこ慣れてる(弥山とか松本峠とか)のでアレですが、パンプスとかだとマジ辛いです。登りも辛かったけど、下りもね……ふくらはぎとか、マジ筋肉痛になりました……



でもまぁとにかく下りは楽めかな? と云いながら降りる。下りは30分くらいで下りた、かも。
途中、山ガールっぽい恰好をした若い女子が、軽やかな足どりで私どもを追い抜いて行きましたが、基本的にすれ違ったのは中高年男性がほとんどでしたね……中高年女性も二名ほどお見かけしましたが、男性の方が多かったです。そして皆さん健脚! でもまぁ、健脚じゃないと上醍醐は無理だ。下りも最後の方で、アラセブっぽい男性がひいひい云ってるのに遭遇しましたが(町石は五丁のところだった)、どこまで行けたかしら……一応、伽藍は十九丁のとこですよと云っておいたので、駄目なら早めに引き返しているはず。
ちなみに、サル、じゃなかった秀吉のやった醍醐の花見の会場は、実はこの上醍醐へ至る道の途中、五丁〜六丁のあたりの高台だった模様。そこまでの間に屋敷を建てて、そこでいろいろ茶会とか催したそうです。って立て看板に書いてあった。あれから四百年、経つとすっかり山の中なのね……夢のあと、と云うやつでございます。



下醍醐に辿りつくと二時半!
頑張れば行ける! と云うことで、目指せ仁和寺。数珠玉巡礼の数珠玉が欲しいので!
地下鉄醍醐駅から、終点の太秦天神川まで行って、そこから嵐電に乗り替え。帷子ノ辻北野線に乗り換えて、御室仁和寺へ。やばい、既に筋肉痛やばい……ついたら三時!
しかし、朝飯食ったあとはほぼ何も食わずに(水分は摂った)山登りした私ども、山頂は寒かったし、腹は減ったし、よし、以前行って旨かった蕎麦屋
……と思ったら閉まってた……蕎麦屋閉店多過ぎ(泣)。
仕方がないので、次点の飯屋? へ。あんかけの湯葉蕎麦を戴く。沖田番はキツネうどん。好きだな。お味はまぁまぁでございましたよ。



生姜入りのあんかけ蕎麦であったまり、腹も膨れたので仁和寺。三時半過ぎ!
前回入らなかった御殿に入る――が、何か閉門4:30とか云ってるよ。マジか、急げ!
えー、御殿は流石に立派。何たって法皇の御座所だもんな。庭も枯山水(のはず)で良い。沖田番、時間の許す限り写真。あとで私の話の素材(サイトとか支部とかの)に化けるはず。
途中の売店で数珠玉Get――しかしここ、他所より若干高くないか? 赤瑪瑙のとか\600-って! 何、法皇の御座所だったから特別? それにしても高い!
がまぁ、野望(赤瑪瑙のを四天にして数珠を作る)があるので仕方ないと諦めるか――うぅぅむ。
でもって、本堂って云うか金堂? だけお参りして、さくっと出たら四時二十分でした。ギリ!
ちなみに四時半過ぎたらどうなるかと云うと、南の正門? 山門? 南大門? が閉まってしまい、ぐるっと回って東門とかから出なくてはならなくなるのです。が、仁和寺の境内って結構広い(五重塔とかあるからね)ので、回りこんでると駅に着くのがどれくらいになるか……いや、この後東寺にも行きたかったので。
しかし、どう考えても四時半に御室仁和寺駅で、五時までに東寺につくのは無理! と云うことで、東寺は翌日に持ち越すことにして、かわりにお土産物色しに錦市場へ行くことに。



元来たように戻って東西線に乗り、市役所前で下車。
まずは私のお土産と云うか何と云うか、亀屋良永でお茶菓子を。翌々週の火曜日がお茶の稽古の予定だったので。干菓子と半生菓子、両方で結構いいお値段……濃茶と薄茶、両方あわせたよりも、って、お菓子高いわマジで……
お茶はいつも柳桜園なのですが、まぁ高島屋でも買えるしな(しかもこないだ新しいの買ったばっかだしな)と云うことで、そっちは今回はなしで。
沖田番は、おいてけぼりにした母親宛に大量のお土産を。って云うか、何かちょっと甘やかし過ぎじゃね? って思うくらいの量でした(←正直、いろいろ含むところはある)。
佃煮屋で佃煮大量に。ついでなので、うちの親父用にちりめん山椒(山椒多め)をGet。
でもって栗屋で焼き栗買ったりとか。つき合いつつも、何だろなーとは思う。思うよいろいろと!
最後は寺町で八つ橋を買い、ちょっと疲れたので御池の地下街でお茶。喫煙可の店だったので、沖田番的には(肺がアレだから)どうよと入ってから思いました、が、お茶(柚子ティーホット)はたっぷりで良かった。おっさんが多くて、こじゃれたカフェー的ないたたまれなさもなかったし。←おっさんが多かったのは、やっぱ市役所傍だからでしょうかね……
でもって、一旦(荷物置きに)ホテルへ帰る。何か寒い、ので、薬屋で葛根湯を買い、飲んでからお出かけ。葛根湯は、筋肉痛にも効くんだって。



昨日目をつけてた店(やはりビストロっぽい)を探す、が、看板も出てない――休みかよ!
仕方ないので寺町をたらたら歩き、そう云えばと、以前行った下御霊神社にお参り。結構いろいろ奉納されてたりして、今日は明るい感じ(当社比)。そして梅はまだ早い……
だらだらしていると、エスニック系と云うかアジアンなお店発見(店名失念……)。まぁまぁ良さそうなので入ってみる。
タイ料理とかかと思ってましたが、それだけじゃないようだ――ベトナムとかインドネシアとか、アジア系雑多なカンジ。インテリアもそんなんで、雰囲気良かったです。女子率高いが、リーマン男子二人組とかもいたりとか。ご飯も美味しかった。何よりリーズナブル。
まったりとして、九時過ぎにお店を出る。
ホテルに戻って風呂に入り、念入りに身体を温める――明日絶対筋肉痛酷いよ。
風邪が怖いので、またしてもお風呂に湯を張って就寝。が――


ってことで二日目終了。最終日に続きます〜。