2011-01-01から1年間の記事一覧

奇しき蓮華の台にて 〜青〜 前篇

※男×男の性的描写シーンが出てきます。閲覧の際は、自己責任でお願い致します。

半色 八 (完結)

案の定、重盛の云うようは、父にあっさりと退けられたのだが。 池禅尼は、確実にその目的を達しようとしていた。 聞くところによれば、禅尼は、父の使いの者の前ではらはらと涙を流し、 「何と云うこと――もし大殿がご健在でありましたら、妾もかように軽う扱…

北辺の星辰 60

五稜郭の庁舎で歳三に割り当てられていたのは、かつては公事方の詰めていた部屋であった。白洲に近く、“陸海軍裁判所頭取”の職には相応しいと云うべきかも知れなかった。 いつもならば、その部屋には、陸軍奉行添役たる安富才助や相馬主計などが詰めているの…

神さまの左手 35

「……なぁ、俺が要るって、何があるのさ?」 大股で歩くレオナルドの横を小走りに行きながら、サライは当然の疑問を投げかけた。 レオナルドは、『最後の晩餐』のモデルを探していたはずで、実際、スケッチのための画帳も抱えている。 そうである以上、サライ…

高尾山散歩。

と云うわけで、高尾山。 や、この辺(多摩北部とか)って、子どものころに高尾山に遠足にいったりすると云うことだったのですが、私は親が転勤族だったり何だりで、そのころには東京近辺にはいなかったのでね…… 11:00に待ち合わせだったのですが、案の定(てへ)…

花がたみ 〜雪〜 四

「四郎叔父貴、己を得度させてくれそうな御坊をご存知ないか」 やってくるなり、五郎は両手をついて、そのように切り出してきた。切羽詰まったような、すがるような声音であった。 「そ、それはいくつか知ってはおるが――お前、座はどうするつもりだ、兄者の…

半色 七

「前播磨守殿の御嫡男が捕縛されましたぞ」 と、重盛に告げてきたのは、叔父・頼盛であった。 「は、それは……」 と云いながら、重盛の胸のうちには疑問がわき上がっていた。 何故、この叔父は、自分にかの小冠者の話をするのだろう? 「私の郎党の――平宗清と…

北辺の星辰 59

心の区切りは、外からの力によってつけさせられることになった。 宮古湾の敗戦の傷も癒えぬ四月六日、英国船アルビオン号が箱館に寄港してきたのだが――そこからもたらされたのは、薩長軍が九日に乙部村に上陸、侵攻してくると云う知らせであったのだ。 「箱…

箱館雪中行 その3

と云うわけで、雪の箱館、最終日。 お暇と興味がおありでしたら、続きをどうぞ〜。

箱館雪中行 その2

と云うわけで、雪の箱館、二日目。 お暇と興味がおありでしたら、続きをどうぞ〜。

箱館雪中行 その1

と云うわけで、雪の箱館、初日。 お暇と興味がおありでしたら、続きをどうぞ〜。

空海の話とか。

……ってわけで、穴埋め空海がらみの考察。 えー、角川ソフィア文庫『仏教の思想9 生命の海空海>』を読了したわけですが。 ……何かこう、空海の思想、って云うか密教の思想か、って、言葉にするとすっげ単純明快ですね…… 要するに、「世界はそれ自体が仏性その…

神さまの左手 34

レオナルドは、ようやっとモデルの選定に入ったようだった。 ようだった、と云うのは、有体に云えば、画帳を持って、街中をほっつき歩いているだけ、のように見えなくもなかったからだ。 西に行っては道行く人の姿を画帳に納め、東に行っては気に入った人に…

泰範の話とか。

……唐突に、空海語り。 いや、ちょっと先生の話は考え中&若干リンクしてなくもないような……? で、表題の“泰範”ですが。 知っている人は知っている、空海と伝教大師・最澄の訣別の原因となったかもしれない男、ですね。 この泰範と云う男、最澄より11、空…

花がたみ 〜雪〜 三

新たに座を立てるにも、金が充分にあろうはずはなく。 金策は、伊賀の長兄・小太郎に頼んで、都合をつけてもらうことにした。 「三郎も三郎だが、お前も大概無手法だな、四郎よ」 杉ノ木の館で迎えてくれた長兄は、そう云って溜息をついてきた。 小太郎兄は…

半色 六

「内裏を戦の場にするわけにはゆかぬ」 と云う父の言葉に従って、重盛は、叔父である頼盛とともに出陣することになった。 とは云え、三条殿に攻め寄せるわけではもちろんなく、敵をこちらに引きつけるため、六波羅の近隣に兵を散開させる、と云う布陣であっ…

「新春戦国鍋祭」観劇記。

ってわけで、行ってきました、「新春戦国鍋祭」。 ネタバレあります、が、畳みませんのでご注意下さい〜。 † † † † † 今回は、珍しく沖田番との観劇。 えー、ぶっちゃけ何が見たかったって、「ミュージック・トゥナイト」が見たかっただけ、と云う今回の舞台…

北辺の星辰 58

箱館までの帰途の間、自分が何をしていたのかを、歳三ははっきりと憶えてはいない。 ただ、ひたすら今後のことを考えていたのは憶えている。 開陽が沈み、甲鉄艦の奪取にも失敗した以上、箱館府の命運は尽きたと云っても過言ではなかった。本土と蝦夷地の間…

小噺・小野妹子の儀

「(跪いて)――厩戸皇子様、小野妹子、お呼びと伺い、まかり越しましてございます」 「(破顔して)おや、妹子、よく来たね」 「(胡散くせー)……して、御用の向きは」 「うん。実はこの度、隋へ使者を遣わそうと思うのだがね」 「……はぁ(七年前の続きか、ご苦労な…