2010-01-01から1年間の記事一覧

半色 二

成親に連れられてやってきたのは、内裏の奥、後宮の一角にある、とある局であった。 この局の主である女房と浅からぬ縁があるのだと、成親は、密やかな笑みを浮かべて云ったものだが――その“縁”とは、すなわち、この女房が後宮に上がる前に、かれがかの女のも…

北辺の星辰 52

三月二十一日、幕府海軍の回天、蟠龍、高雄の三隻は、ストーンウォールこと甲鉄艦を含めた南軍の艦隊が停泊する、南部藩領宮古港へ向けて出港した。 歳三の乗る回天には、海軍奉行・荒井郁之助、仏人海軍士官・ニコール、軍監として相馬主計と野村利三郎、大…

神さまの左手 27

コモ湖についた翌日から、レオナルドは精力的に湖畔を歩き回った。 サライとしては、せっかくの保養地であるのだし、少々のんびりしたい気分があったのだが――滞在期間が限られている上に短いときているのだから、一分一秒たりとも無駄にはできない、とレオナ…

三浦半島散歩

こないだから行きたい行きたいと思っていたので、行ってきました、三浦半島。 っても源平中心と云うわけではあんまりなく、浦賀と鎌倉と云う、源平+幕末折衷的なカンジ。 えーと、8時ちょい過ぎに、沖田番ちの最寄り駅で合流。→新宿→湘南新宿ラインで横浜→…

半色 一

濃紫と薄紫の間のいろを、“半色”と呼ぶのだと云う。濃くも薄くもない、半端な色と云う意味であるのだと。 まるで、己のようではないか――平重盛はそう考えて、小裂をひねり回しながら、小さく吐息した。 重盛は、武門のほまれ高き伊勢平氏の人間である。祖父…

北辺の星辰 51

三月下旬、かねて療養中であった玉置良蔵が死んだ。労咳で、衰弱しきってのことであったと聞いた。享年十四であった。 預けられていた高龍寺の箱館病院分院で、眠るような死であったのだと云うのだが――その死に際に立ち会ってやれなかったことが、歳三の胸に…

源氏vs平氏!

ただ今、鎌倉話を書くためにいろいろ資料を読んでいるわけですが。 その辺で出てきたあれやこれや。の、源氏vs平氏。いや、争いじゃあなく、源平の差異についてと云うか。 相変わらず文が乱脈なのは、ちまちまとモバイルPCで打ちこんでたからですよ……ふふ…

神さまの左手 26

コモ湖までは、徒歩でほぼ一日の道のりだった。 なるほど、ミラノ貴族の保養地としては、絶妙な距離だ。すぐに呼び戻すには、使者の往復に二日を要する――もちろん、火急の使者となれば、馬で半日もあれば行きつくだろうが――が、さりとて遠過ぎて帰還が困難と…

打城丸の話&源頼朝と云う男。

見切り発車コモ湖! とか云ってたのに、打城丸と佐殿の話です。って云うか、考察的なものをぐだぐだとメモると云うか。いや、こないだからちまちま打ってたんで。 あ、わからない方のために書いときますと、打城丸は、普通に(?)沖田番の夢の話です。ここま…

北辺の星辰 50

三月半ば、偵察に出していた間諜が、津軽より戻ってきた。薩長軍の軍艦五隻、及び輸送船二隻と亜米利加の飛脚船一隻、計八隻を品川から出帆させ、宮古湾に入港させるらしい、との知らせを携えての帰還だった。 その薩長の軍艦五隻のうちの一隻が、例の甲鉄艦…

倉敷・鞆の浦行 その三

と云うわけで、倉敷&鞆の浦行、最終日。 興味とお暇がおありの方は、続きからどうぞ〜。

倉敷・鞆の浦行 その二

と云うわけで、倉敷&鞆の浦行、二日目。 興味とお暇がおありの方は、続きからどうぞ〜。

倉敷・鞆の浦行 その一

と云うわけで、行ってきました、倉敷&鞆の浦。 興味とお暇がおありの方は、続きからどうぞ〜。

穴埋め的に。

最近の読書ノート。 「殺生石」 (富樫倫太郎 カッパノベルス) 他所サイト様で、箱館戦争がらみだと書いてあったので+ブッ××フで¥105-だったので、買ってみた本。 作者は「陰陽寮」とか書いた人だとは知ってたのですが、読むのは初めて。 えーと、結構楽し…

北辺の星辰 49

二月は、何事もなく過ぎ去った。 案の定、貨幣の改鋳――“改悪”――と、その流通に伴って、箱館市中では、細かな騒動が起きてはいたが、それにしても、箱館の民草が一丸となって、旧幕軍に反旗を翻す、と云うほどでもありはせず、概ね平穏な日々が続いた、と云っ…

いきなり、源平の波が。

“考察”枠かコレ、とは思うのですが、“日常雑記”でもないと思うので、このままいきます。 † † † † † 来ちゃったよ、源平の波。 っつーか、ぶっちゃけ佐殿=源頼朝熱と云ってもいいのですが。 何かこう、『吾妻鏡』(原文面倒なので、もちろん漫画ですぜ)とか読…

小噺・規律の鬼

「ねェ、土方さん」 「(書類から顔を上げずに)何でェ、総司」 「すっげェ残念な話なんですけど」 「おう」 「一番隊の隊士で、外で借金してやがったのがありまして」 「あァ?」 「だから、花街で女買ったあと、金がねェってんで、金貸しから借りやがったの…

神さまの左手 25

レオナルドは、いよいよ“馬”に手をつけはじめたようだった。 “ようだった”と云うのは、例によって例のごとく、レオナルドの移り気が、“馬”ばかりにその注意を留めておかなかったからだ。 もちろん、まったくほうりっ放しと云うわけではなかったのだが――元来…