2009-01-01から1年間の記事一覧

小噺・高台寺党

「あれ、土方さん、何読んでるんで?」 「あ? これか?――こりゃ、こういう本だ(と、本を掲げて見せる)」 「『新選組 高台寺党』――何でこんなもん読んでるんですか、あんたァ」 「や、たまたま見かけてな。面白そうだったんで、つい」 「それ買う前に、あん…

神さまの左手 18

レオナルドは、石が好きだ。 美しい大理石の小片から、道端に転がっているような、サライから見ればがらくたにしか見えない石ころまで、とにかくあらゆる石を矯めつ眇めつし、撫でまわすのだ。まるで、それが同じ大きさのルビーかエメラルドだとでも云うかの…

新撰組と云う“組織”。

本日、朝日の「週刊司馬遼太郎」5巻が出たので、仕事上がり後、ちらりと時代小説の棚を見に行ったのですが。 そこで一緒に置いてあった中村稔「司馬遼太郎を読む」(青土社)に、何やら置き捨てならない文を読んだので、ちょこっと。 まァこの本、読んだと云…

北辺の星辰 41

榎本の声に、中島がかすかに唇を歪め、一歩身を引いたのがわかった。 が、榎本は、それには一向気づかぬ風で、その空いたところに身を滑りこませてくる。 「どうですか、土方さん、楽しんで戴いておりますかな?」 歳三は、一瞬言葉に詰まった。 まさか、こ…

小噺・高杉晋作の儀

(遠くでざわめく声) 「(ばたばたと走りこんで来て)……土方さん!」 「おう、総司。何だ、慌てて」 「大変ですぜ、高杉が来ました!」 「あ? ……あいつ、ここ暫くは忙しくて暇がねェとか云ってなかったか?」 「そうだったらしいんですけど――実は先刻、久坂さ…

神さまの左手 17

※かすかに女性向けの表現があります。畳みません(それほどでもないので)が、自己責任でお読み下さい。 やってしまった。 レオナルドは、頭をかかえていた。 サライと、肉体の関係を持ってしまった――相手は、まだ十二歳だというのに。 ――やってしまった…… 三…

「ハナレウシ」DVD鑑賞記。

と云うわけで、職場のOさんからお借りしたDVDの鑑賞記を。 演劇集団Z団「ハナレウシ」です。新撰組ではなく、長州! ネタばれを含む&毒吐いてます(しかし畳まない)ので、ご注意! † † † † † えーと、うーんと、とりあえず私、長州の主要面子の性格は(…

日野・新撰組ミーハー行。

……としか云いようがない。 えーと、久しぶり(でもないか)に行ってきました、日野。 今回は、山南役と、新撰組初心者(?)桜王子と3人で。 まずは12時に、JR日野駅集合。 生憎の雨模様(多分、山南役が雨女なんだと思う――山南役と日野を徘徊する時は、大概…

北辺の星辰 40

祝賀会の会場は、人、人、また人であった。 聞けば、箱館に駐留する各国領事、また海上に停泊している各船将も、榎本が招待したのだと云う。 なるほど、云われてみれば、異国の人間の姿もあちこちに見えるし、聞こえてくる言葉も、訛りでは済まぬ異国の響き…

「BARAGA鬼」観劇記。

と云うわけで、またまた予告どおり観劇記を。 全労災ホールスペース・ゼロで上演中の、演劇集団Z団「BARAGA鬼」です。 ネタばれを含む&何か吐いてます(しかし畳まない)ので、ご注意! † † † † † えーと、今回は珍しく、山南役とではなく、職場のNさ…

神さまの左手 16

※若干女性向けの表現があります。畳みません(それほどでもないので)が、自己責任でお読み下さい。 レオナルドとそのような関係になったのは、本当に、ふとしたはずみからだった。 いつものように絵のモデルをしていたサライの肌を、レオナルドの手が滑ってい…

「暁の誓い」観劇記。

と云うわけで、予告どおり観劇記。 東池袋あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)で上演中の「暁の誓い」です。 ネタばれを含む&毒吐いてます(しかし畳まない)ので、ご注意! † † † † † またしても山南役と一緒の観劇です。 明治九年三月、廃刀令施…

北辺の星辰 39

江差駐留は、短期間で終わりを告げた。 別動隊である一聯隊が、中山峠越えで館城を攻略、鶉村を経て、乙部方面へと進軍したからだ。 松前藩士たちは、一聯隊に追われるように北上していったが、もはやこの地で戦うと云うよりは、いかにして主を無事に落ち延…

小噺・小笠原胖之助の儀

「…………(怒りオーラ発散中)」 「(どたばたどた)ひ、土方さんッ」 「(むっつり)……何だ、総司、寝てたんじゃねェのか。朔明けなんだから、休んどきゃあいいのによ」 「や、寝てたんですけど、大野右仲に叩き起こされたんでさァ。えれェ剣幕で、俺の出してた備品…

「新選組」観劇記。

というわけで、当日券が取れたので、観劇記。 またしても新宿SPACE107、劇団め組の「新選組」。 ネタばれ、激烈な毒吐きあり(しかし畳まない)なので、ご注意を〜。 † † † † † えーと、今回もまた山南役と一緒の観劇。 チラシは見てたので(かっちゃん、…

あの子と同居バトン サルベージ編2

と云うわけで、バトンです。これがラスト、かな? (いや、他にも新撰組好きはいるんだけど――残りのキャラがかっちゃんorぱっつぁんor原田だし(いや、かっしーとかでもいいんだけど)、第一やるかどうかも……どうですかね、Kふ先生?) トリ(一応)担当の寿々莉…

神さまの左手 15

リラ・ダ・ブラッチョの弦をひとつ爪弾いて。 「さて、本日は、いかなる歌をお聞かせ致しましょうか?」 レオナルドが問いかけると、居並ぶご婦人がたは、さわさわと囁きをかわし。 やがて、ひとりが口を開いた。 「例の“モルガンテ”をやって下さいな、マエ…

感想いろいろ。

っつーわけで、どうもまだルネサンス気分じゃないので、本の感想でも。 ちゃんと感想書いたの結構前なので、結構ありそげ。 ネタばれ極力なしですが、いつものとおり激烈な可能性大(俺様ですから)なので、気の向いた方のみどうぞ。 「歳三の首」(藤井邦夫 学…

あの子と同居バトン サルベージ篇

と云うわけで、予告どおり同居バトン・サルベージ篇。 何で“サルベージ”かと云うと、友人サイトの話を引き上げてきたから――っつーか、桜王子、前回(山南役vs山南敬助)から、かれこれ1年以上経ってるんだけど…… とりあえず、重いので畳みます〜。

幕末・戌辰戦争追想行 その3

京都旅行記、最終日。 お暇と心の余裕がおありの方は、下からどうぞ〜。

幕末・戌辰戦争追想行 その2

京都旅行記、続き。 お暇と心の余裕がおありの方は、下からどうぞ〜。

幕末・戌辰戦争追想行 その1

と、云うわけで、京都旅行記。 お暇と心の余裕がおありの方は、下からどうぞ〜。

北辺の星辰 38

沖合に見える船体は、大きく傾いで波に打たれていた。 「昨夜の大風で煽られて、岩場に乗り上げてしまったと云うことらしいのです」 衝鋒隊を率いる永井蠖伸斎は、そう云って、疲れたように吐息した。 「……では、開陽は動けないと云うことなのか」 と問うと…

小噺・甲賀源吾の儀

「……土方さん」 「おゥ、何でェ。……耳押えて、どうした?」 「いえね、さっき街中で甲賀さんに呼び止められて、それで耳が痛ェんでさァ」 「あ?」 「いや、あん人、すげェでっけェ声で呼ぶじゃねェですかい。で、そのまんまの声で、俺の近くで話しなさるん…

神さまの左手 14

サライは、ミラノでの二度目の新年を迎えていた。 この年、サライは十二歳になった。 ミラノでの暮らしにもすっかり慣れ、最近では――絵こそ描けないものの――レオナルドの弟子としての立ち振る舞いも、すっかり板についてきた。相変わらずの“大食らい”で、お…

北辺の星辰 37

松前藩兵の放った火によって、城下はかなりの広範囲が焼け、その後始末もあって、歳三たち陸軍兵は五日ほど、この松前城下に宿陣した。 後始末と云っても、投降してきた松前藩兵の処遇を決めたり、炊き出しの手筈を整えたりする程度のことで、実際に焼け落ち…

小噺・評議会四方山

「……土方さん」 「おゥ、何でェ総司」 「俺ァもう、ほとほと疲れましたぜ」 「何がだよ」 「何って、あんたが云い出した、この“評議会”とやらにですよ!!(怒)」 「(おっときやがった)……そんなこと云うがなァ、総司……」 「わかってますよ、最近だいぶいろんな…

ルネサンス資料一覧。

と云うわけで、そろそろ自分の整理用にもやっとこうかなーと、ルネサンス関連の資料一覧を。 結構いろいろありますよ…… 幕末関連書籍と同じく、タイトル、著者名、出版社名、ISBN(主に10桁、最近のは13桁)の順で。 「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記」 上・下 (…

神さまの左手 13

ミラノの市門を出、葡萄畑の中をとおって、その先へ。 すこし行くと、なだらかな丘陵に行きあたる。 この丘から見るミラノ一帯の風景はとても美しく、レオナルドは好んでここを訪れていた。 その上、この丘を駆け上がるように風が吹くことが多かったので、か…

幕末・伏見戦争行 その参

突発京都旅行、最終日。 お暇と余裕のおありの方は、続きをどぞ。